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円安で日本は再び世界の先頭に立つ! 私たちだけが知らない、我が経済の底力

最高レベルの税収だけど、給料が上がらない日本

長引くデフレと不況感漂う日本ですが、「実は日本企業は儲けている!」という話を前回しました。企業が儲ければ、当然国も儲かります。企業利益アップはその分、国の税収アップにも繋がります。

2021年度の税収見通しは、現時点で63兆9000億円。2年連続で、過去最高レベルです。

企業は儲けている。

国も儲けている。

なのに、なぜ、こんなに日本には「不況感」が漂い、悲壮ですらあるのか。

それは、「儲けたお金」が、国内でほとんど流動していないからです。

企業が儲けたお金は、そのまま内部留保金として蓄えられ、それが480兆にも膨れあがっています。タンス貯金ならぬ、内部留保金は、生きたお金とは言えません。

これをもう少し、有意義に使いたい。そうすれば、日本経済はもっと力強く盛り返していくはずなのです。

折しも、岸田首相は「新しい資本主義」を宣言しました。その内容の詳細には是非があるかもしれませんが、少なくとも「人への投資」を強く訴えている姿勢は、私は評価したいと思います。

人への投資が浪費を喚起する

従業員の給料を上げる、社会人のリカレント教育費に回す、働き方を改革する。

「人を育てる」会社に、社会に、国に変えようという発想です。

人間を単なる労働力としてだけでなく、イノベーションを起こせる、生産性の高い人材に育成する。生産性が上がれば、企業の儲けにも繋がり、さらなる従業員の所得向上にも繋がります。そんな好循環の日本経済の仕組みを生み出す転換点としたいものです。

「儲け」を、「人への投資」に分配することで、「消費」を喚起する。

つまり「物を買ってもらえる社会にする」。日本に欠けているのは、この点です。

安倍政権下では、トリクルダウンの理論がしばしば取りざたされていました。

「富める者が富めば、自然とその富は零れ落ち、貧しいものにも恩恵が巡る。結果的に経済が良くなる」という、大雑把に言えばこのようなトリクルダウンは、結果的に幻想で終わりました。ただ待っているだけでは、その「富」は下まで降りていかなかったのです。

派遣労働者やパートタイマーはもとより、正社員としての雇用者の多くも、30年間給料が上がらずじまい。日本人の平均年収は令和2年度で436万円と、先進諸国でも最低レベル。

「所得」が上がらなければ、当然「消費」にも回せません。「消費」が増えなければ、企業も価格を上げることができず、デフレは続いていきます。日銀が求める、「消費者物価指数2%」はいつまでも、絵に描いた餅状態というわけです。

値上げした「餃子の王将」はなぜ堅調なのか

給料が上がらなくても文句を言わず、長時間労働でも、頑張って働き続ける……。

企業も、「値段を上げない」ことを美徳として、ひたすら頑張って価格を据え置き、何なら「値段を下げる」ことで、消費者に媚びを売り続ける……。

ある意味で、日本人の「我慢強さ」を示す美徳の象徴のような状態でもありますが、実際には誰得にもならない現状に、変化の兆しが表れ始めています。

餃子の王将の株価が、今とても堅調です。

理由は、「値上げ」したから。

餃子の王将といえば、安い・うまいがありがたいお店の一つ。しかし、22年5月14日に一部の商品を2,30円ほど上げることを発表しました。7年半ぶりの価格改定だそうです。

しかし、その「値上げ」が評価されて、ジワジワと株価が上がってきています。

このようなことは、「失われた30年」の中ではなかったことですが、今、少しずつ「値上げ」に転じる企業が増えてきています。これまでコストの価格転嫁を我慢し続けた企業が、もはや耐え切れなくなってきたのと、消費者の意識が変容してきたことが一致した結果です。

 ただし、現在の「価格アップ」は、原油高や円安による輸入品高騰などの影響を反映したわずかなレベル。これが従業員の賃金に紐づくとは考えられません。

 私たちの日本社会が直面している課題は、「所得が上がらないこと」です。

 消費者物価指数2%を願ってきた日本ですが、物価だけが上がり、所得が上がらないのは一番の悲劇。「価格アップ」が、「所得アップ」に繋がることを、目指していきたいものです。

日本は再び、世界の先頭に立つ

同時に、変化を起こしたいのが「中小企業」です。

私はこれまで、「日本企業は儲けている」とさんざん言ってきましたが、「それは一部の大企業の話だろう!」という声がそろそろ聞こえてきそうです。

そうです、これは大企業の話です。その他、日本産業の9割以上を占める中小企業が儲けているとは、とても言えない現状だということは白状いたします

「儲け」→「給料・教育」への分配→「業績アップ」の好循環を目指すのが大企業。

「投資」→「給料・教育」への分配→「業績アップ」を目指したいのがスタートアップ。

 では、中小企業はどうすればいいのでしょう。放出できる内部留保もないし、利益も出ていない、盛んな投資も現時点では期待できない中小企業を、どう活性化すればいいのか。

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