石破ショックで倒産連鎖がスタート…この業界はとくにやばい!内需はもはや「深刻な状況」…投資2大テーマと注目9銘柄

本稿で紹介している個別銘柄:ユタカフーズ(2806)、東京都競馬(9672)、北陸瓦斯(9537)、コーセル(6905)、チノー(6850)、共和電業(6853)、電気興業(6706)、テクノメディカ(6678)、メルコホールディングス(6676)
石破新政権誕生で株式市場は揺らいでいる。9月30日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅に反落し、節目の3万8000円を一時下回った。不透明感が増す中、投資家はどんなテーマ、銘柄に投資すればよいのか。株式評論家の木戸次郎氏にこれからの相場の見方を聞いたーー。みんかぶプレミアム特集「億り人の考え方」第5回。
目次
米国大幅利下げでも円高は進行しなかった不思議
振り返ると9月は不思議な現象の連続だった。FRBがFOMCでソフトランディング実現の為と言って0.5%大幅利下げを発表すると、米国では即座に好材料視されてダウ平均が連日で史上最高値を更新した。更に解せなかったのはこの大幅利下げにも拘わらず全く円高が進行しなかったことだ。
これに加えて日銀支店長会議後の会見でも植田総裁が0.25%を据え置くと発表したことで日本の利上げは当面ないという一方的な判断から、この後からどんどん円安に傾いていった。
植田総裁は「見通しの確度が高まって『すぐに利上げだ』ということにはならないと考える」と述べ、利上げの検討にあたってはアメリカ経済や不安定になっている金融市場の動きを慎重に見極めていく姿勢を強調し、年内にさらなる利上げが行われる可能性があるのか問われたのに対しても「特定のタイムラインやスケジュール感を持ってここまでに確認するというような予断を持っていない」と述べて、明言を避けたのは事実だが、これをもって「当面利上げがない」と判断するのは些か早合点のように思える。
同時に植田総裁の基本的な考え方は先行きの経済・物価、金融情勢次第という注釈はつけているものの、「現在も実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と述べている。つまり、利上げありきであるといっているのに何故だか誰も材料視しない。
FOMC、日銀支店長会議後の株式市場、為替市場を見ている限り、日・米においてマスコミを巻き込んだ見えざる力によって意図的に円安誘導、株高誘導されているような気がしてならない。ボラティリティを高める作業のように見えてならなかった。
石破茂・自民党新総裁誕生で一気に円高進行…石破はかねてから内需重視の姿勢
ところが、9月27日には自民党総裁選挙において決選投票の上、石破茂氏が新総裁となった。その瞬間から1ドル=146円近くで推移していたドル・円は一気に142円台まで円高進行した。
石破さん=内需というイメージでの円高進行だったのだと思う。更に石破さんは「少しでも金利のある世界というものに戻していくことによって得られるメリットもあり、それが日本の経済の構造そのものを転換することに繋がるものだということを、国会の場を通じて多くの国民に納得してもらえるように努めていただきたい」と述べている。
同時に石破さんはかねてから「日本経済は内需主導」という考え方の持ち主だ。昨今の円安の恩恵で輸出企業が史上最高益を上げて経済指標に大いに貢献していることについても「多くの労働者にとっては決して幸せなことではない」とはっきり明言している。
倒産件数は28ヶ月連続で増加…内需は深刻な状況だ
以前からこのコラムでも輸出産業だけが一人勝ちしている裏で深刻な内需、特に飲食を中心に倒産件数の増加を書かせていただいてきた。実際に今年も倒産件数の増加が続いていて、2024年1月から7月までの年間の累計倒産件数は5884件と2014年以来の高水準となり、年間1万件超えをうかがうペースとなっているのだ。月次の前年差の推移をみても、2022年4月以降、28ヵ月連続で増加が続いている。
また、先般国税庁から発表された2023年の「民間給与実態統計調査」をみると日本の平均給与は459万5000円と三年連続で増加して前年に比べ0.4%増えたとしているが、これとて2000年以前の水準には及んでいない。実際に日本が1999年にゼロ金利政策をとってから2023年まで一度たりとも2000年の水準を超えていないのである。円安恩恵を受けた一部企業を除けば、多くの国民にとっては「失われた23年間」と言わざるを得ないのだ。