「不動産投資よりもインデックス投資が優れている」橘玲氏がその理由を解説!

不動産価格が高騰する中、不動産投資に興味を抱く人も増えている。しかしベストセラー作家の橘玲氏は、「不動産投資よりもインデックス投資のほうが優れている」と話す。なぜインデックス投資のほうが優れているのかについて、橘氏が解説する。全3回中の3回目。
※本稿は『難しいことはわかりませんが、1億円貯める方法を教えてください! 普通の会社員が「億り人」になって自由に生きる超現実的ルート』(文響社)から抜粋、再構成したものです。
第1回:株式投資に時間をかけるのは「無駄」?橘玲が語る資産形成の“正しい戦略”とは
第2回:生命保険が必要なのは「子だくさんの低所得者だけ」橘玲氏が語る保険の真実
目次
マイホーム購入は「投資」
橘:マイホームの購入は「投資」です。
大橋:何言ってるんですか!?自分で住むんですよ。どうして、それが投資になるんですか?
橘:では、質問します。 大橋さんがワンルームマンションを買ったとします。それを誰かに貸して、毎月賃料を受け取ったら、それは投資ですか?
大橋:それは投資ですね。他人に貸して家賃を受け取っているのですから。
橘:では、そのワンルームマンションを誰かに貸すのではなく、自分で住んだ場合はどうでしょう?
大橋:自分で住むので投資ではありません。
橘:ワンルームマンションを買うという経済行為は同じなのに、それを他人に貸したら投資、自分で住んだら投資ではないというのは、おかしくないですか?
大橋:そう言われると、そんな気もしますね……。
不動産投資よりもインデックス投資
大橋:では、マイホームとインデックス投資だったら、どちらが良いのでしょうか?
橘:まずは利回りを比べてみましょう。 世界の株式市場は、長期的には年率7~10%程度のペースで拡大しています。 今後も人類の欲望が続く限りは、経済が拡大し、同じように上昇すると考えるのは、さほど無理な想定ではないでしょう。
一方、人口減少と高齢化が急速に進む日本において、都心以外ではもはや地価は上がらず、空き家のまま放置されたり、老朽化して“負動産”になっている物件も多いので、平均的な不動産投資(マイホームの購入)のパフォーマンスが、株式のインデックス投資を上回るということはないでしょう。
利回りの比較
・不動産投資
都心の一部の投資用物件で実質3~5%程度が目安
・インデックス投資
7~10%程度を期待できる
橘:ファイナンス理論の大原則は「卵は同じカゴに盛るな」です。 インデックス投資は世界中の業種や地域に資産が分散されているため、「地震」や「紛争」といった局地的な問題に比較的強いです。
しかしながら、マイホームを購入すると、○○市○○丁目○○番地という特定の土地に資産が一極集中しますから、すべての卵を1つのカゴに入れるのと同じです。
もし、天変地異が起きたり、欠陥住宅だったら、資産が大きなダメージを負うことになります。
大橋: でも、大きな戦争が起きたら、株式市場も大変なことになるんじゃないですか?
橘:もちろん、資産の分散にも限界はあります。核戦争が起きれば株式市場は崩壊するでしょうが、そのときは私も大橋さんも死んでいるので、そんなことを考えても意味ないと思います。
大橋:……。
まとめ
・インデックスファンドに長期的に投資すると、年に7〜10%の利回りが期待できるが、日本の不動産は人口減少や高齢化の影響で上昇が考えにくい。
・インデックス投資は世界中の業種や地域に資産が分散されているため、局地的な問題に強い。
不動産は「ぼったくられやすい構造」になっている
橘:不動産投資よりインデックスファンドが優れている理由がもう一つあります。 それは情報開示が義務付けられていることです。
大橋: 情報開示ですか……?
橘:上場している企業は、株価に影響を与えるすべての情報を投資家に告知することを義務づけています。もし、告知するべき情報を隠した場合は上場廃止にさせられたりします。
また投資家が公表されていない情報を入手して利益を上げると、インサイダー取引として罰せられます。社員がまだ発表されていない情報を家族に教えて、その家族が株を買うようなことです。
インサイダー取引………… 会社関係者から「未公開情報」を知り、その株式の売買を行うとインサイダー取引になり、罰せられます。
橘:それに対して不動産取引では、インサイダー取引の規制がありません。提供されるのは敷地面積や建築工法など最低限の情報だけです。
情報を持っているプロは儲かり、なにも知らない素人はぼったくられやすい構造になっています。
大橋:不動産屋が都合の悪い情報を教えてくれないかもしれないってことですか?
橘:そうです。さらに、不動産取引は売主が値段を自由に決められます。市場価格より高く売りに出すことも、安く売りに出すこともできます。
つまり、5000万円で売りに出されている家を見つけたら、それが高いか安いかは大橋さんが判断しないといけないのです。
一方、株式市場では、効率的市場仮説のところで説明したとおり、株価は適正な市場価格に落ち着くはずですから、素人だからといって個人投資家が割高な株を買わされるということはありません。
持てば持つほど損な不動産、得な株式
大橋:でもローンを払い終わったら、マイホームは自分のものになるじゃないですか!
橘:30年後に手に入った「我が家」に、ほとんど価値は残ってません。時間とともに建物部分が劣化するからです。
しかし、インデックスファンドで投資をする企業は、時代の変化に合わせて常に、新陳代謝(メンテナンス)が行われます。基準を満たさない企業は除外され、成長して基準を満たした会社が組み込まれます。
時間が経つと……
・不動産
建物は古くなる
・インデックスファンド
常に中身を入れ替えられ、その時代の優良企業で構成される
※例えばオルカンは、ロシア・ウクライナ戦争が起きた時に、ロシアの企業は除外されるなど、銘柄のメンテナンスが行なわれている
橘:またインデックス投資は、長く持てば持つほど、複利が効いて資産が急激に膨らんでいきます。7%と聞くと小さく感じる人もいるかもしれませんが、10年で約2倍です。
もし家を購入するときの頭金1000万円をインデックスファンドに回したとして、10年経つと2000万になり、もう10年経つと4000万になるということです。 複利とは時間が経てば経つほど増えますから、古くなって価値が下がっていく不動産とは大きく違います。
まとめ
・株式市場では、企業に情報開示が義務付けられるが、不動産取引では規制がなく、素人が不利になりやすい。
・不動産は建物が古くなると価値が下がるが、インデックスファンドは時代に合わせて新陳代謝されるため、長期で持つと複利効果で不動産よりも資産が増えやすいと考えられる。
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