「内覧ゼロ」の絶望からどう逆転するか。マンションを相場以上で売り抜けるための思考法
「予算の限界を感じて、家を買うのを諦めかけている」――そんな焦りを感じているビジネスパーソンは少なくないだろう。マンション高騰の波に乗り遅れたと嘆く前に、正しい戦略を持ち、冷静に市場を見渡すことが重要だ。
本稿では、不動産ブログを運営し、本業で商業不動産の売買を手がける傍ら、自らも売買を繰り返してきた実戦派の餅つき名人氏が、自分たちの身の丈に合い、かつ将来への投資にもなる“最適解”を包み隠さず公開する。今回は、買う時以上に難しいとされる「売却」のリアルに迫る。安易な値下げの罠から、プロが実践する高値売却を実現するためのメンタルコントロールまでを徹底解説していただいた。全5回の第4回。
※この記事は、みんかぶプレミアム連載「マンション・住まいで稼ぐ――シン富裕層への黄金ルート」の一部です。
目次
愛着があるから高く売れる、という幻想。マンション売却で損をする理由
マンションを買う行為は、ある種の「ショッピング」に似ています。アドレナリンが出て、夢や希望に胸を膨らませながらお金を払う、楽しい体験です。しかし、いざ「売却」となると、その性質は180度変わり、冷酷なビジネスの戦場へと姿を変えます。
どれほど優れた立地のマンションであっても、売り方を間違えれば数百万、数千万円単位の損を平気で被ることになります。住み替えを成功させ、資産を最適化していけるかどうかは、この「出口戦略」にかかっていると言っても過言ではありません。
多くの人が売却で失敗する最大の原因は、不動産という莫大な資産を前にして「感情」をコントロールできなくなることにあります。自分が愛着を持って住んだ家だからこそ、「もっと高く売れるはずだ」と市場価値を過信したり、逆に「早く手放さなければ」とパニックに陥ったり、「買値を上回っているなら十分だ」と安易に妥協したりしてしまうのです。
内覧ゼロの恐怖に勝てるか。営業マンの「値下げ提案」に潜む落とし穴
売却における典型的な失敗パターンをお話ししましょう。売り主は期待に胸を膨らませて物件を市場に出します。しかし、最初の1ヶ月、内覧の申し込みが一件も入らない。あるいは、内覧に来ても成約に至らない。
すると途端に不安になり、仲介業者の営業マンからも「今の価格では少し厳しいかもしれません。数百万円ほど値下げして様子を見ませんか?」と提案されます。この時、次の新居の購入や二重ローンのプレッシャーが迫っている売り主は、焦りからあっさりと値下げに応じてしまいます。
一度値下げをしてしまうと、買い手側からは「足元を見られる」状態になります。「もう少し待てばさらに下がるのではないか」「何か売れない致命的な欠陥があるのではないか」と勘繰られ、結果的に相場よりもはるかに安い金額で手放すことになってしまうのです。この「焦りによる安易な値下げ」こそが、売却における最大のタブーです。