「なぜ、好決算なのに株価は下がるのか」投資スクール社長が警戒する“決算10営業日前の上昇”
本稿で紹介している個別銘柄:アシックス(7936)、マイクロン・テクノロジー(MU)
「年末ラリーに乗り遅れたくない」「好決算で急騰した株を見ると、今からでも買いたくなる」ーー。
相場が上向き始めると、そんな焦りを覚える人もいるだろう。だが、投資スクール「Financial Free College(FFC)」を運営する株式会社Financial Free College取締役社長CEOの松本侑氏は、年末相場で重要なのは「上がる銘柄を当てること」だけではないと話す。
では、高値づかみを避けるには、どこまで待てばよいのか。決算前後では何を見て、どのタイミングで資金を入れるのか。年末相場で使える、松本氏の具体的な「買い方」を聞いた。インタビュー連載全2回の第1回。
※ 株価などは2026年9月17日の取材時点
底値を当てるより、まず「打診買い」
ーー年末に株価が上がり始めると、つい追いかけたくなります。
年末相場では、株価が上がってから慌てて入るのは避けたいですね。
上昇する期間は1~2カ月程度のケースが多く、クリスマスを過ぎると売買も細っていきます。動き出してから追えば、すでに上昇局面の後半に差しかかっている可能性があります。
ただ、私が重視しているのは「逆張りすること」そのものではなく、どの水準でどれだけ資金を入れるかです。
短い相場ほど、最初から全額を入れて底値を当てにいくより、買える水準まで待って小さく入る。そこから値動きと業績を確認しながら次の判断をします。
ーー下がったところで、一気に買ってはいけないのでしょうか。
私は一気には買いません。以前の全面安でも、大型株が50日移動平均線を割り込んだところなどを目安に、まず「打診買い」から入っていました。
チャート上で節目まで下がったからといって、それだけで底とは限りません。さらに下げたときに追加できる余力を残しておくことが大切です。
ーーでは、打診買いしてよい下落かどうかは何で見ますか。
そこでファンダメンタルズを確認します。企業そのものの業績が悪化して売られているのか。それとも、地政学リスクや金利上昇など、市場全体の要因に巻き込まれて下がっているのか。ここは分けて考えます。
前者なら安易に拾いません。後者で、売上や利益の伸びが崩れていないなら、テクニカルを見ながら少しずつ入る余地があります。
「安くなったから買う」ではなく、「この水準なら最初の一手を出せる」と考えるわけです。一度で正解を出そうとしないことが、結果的に年末相場のような短い局面ではリスク管理につながります。
絶好調のアシックスが、決算のたびに売られる理由
ーー具体的には、どのような銘柄に注目していますか。
現状で言えば、アシックス(7936)が典型かなと。アシックスは業績が悪いわけではありません。売上は伸びていますし、利益も前年比で高い成長を維持しています。
ただ、決算発表のたびに利益確定売りが出やすく、発表後に株価が下がる傾向があります。2026年8月の決算後もいったん上昇したものの、その後は下落に転じ、9月16日時点では高値から約25%下がっていました。
ーー25%も下がっていると、手を出しにくいのですが…。
そこでチャートを見るんです。4,000円前後に強いサポートラインがあり、何度か下げ止まっていました。
業績の悪化で売られているわけではなく、株価は高値から大きく調整している。テクニカル面でも下値が意識されている。こうした条件がそろえば、割高だった株が徐々に買いやすい水準へ近づいてきます。
年末に向けて私が見ておきたいのは、こういう銘柄です。
急上昇している株に「まだ上がるかもしれない」と飛び乗るより、業績を確かめたうえで、いったん売られている銘柄を探すほうが買い場を見極めやすいと思います。