第4回 長期保有に向いている日本株を探せ!
この連載は、ヘナチョコ投資家だった豆原里芽が、これから本格的に投資を始める読者のためにあれこれ調べて考える投資エッセイである。
【この記事で言いたいこと】
- 10年以上保有する株を選ぶときは、自分なりの基準を持ちたい。
- 「PER(株価収益率)」「売上高」に注目しながら、興味がある分野の知っている会社を選んだよ。
株価チャートが気になってしまうけど…
前回は、ウォーレン・バフェットの投資に対する考え方を学んで、長期保有(最低10年以上)する日本株を1~2銘柄選び出そうと決めた。
ところがそうと思ったとたん、株式市場は下落を始めた。
―――株を初めて買った直後、リーマン・ショックで株価が下がり続けたことを思い出すよ…。
この株価の下落は、ロシアがウクライナに侵攻したことで地政学リスクが高まり、世界経済の見通しが不透明になったことが原因、というのが経済アナリストの見方のようだ。
2022年3月9日に日経平均株価は、年明け以降の最安値となる2万4717円53銭の終値を記録。
前回バフェットさんは「株式市場に意識を奪われてはいけない」と言ってるって書いたけど、チャートや緊迫した市場のニュースがどうしても気になって、気が付いたら見てしまっている。
―――「言うは易く行うは難し」だね! ニュースに目が釘付けになって日々を過ごしているよ。これから世界はどうなっちゃうんだろうって不安になったりもしてる。
長期保有の株式は「数年先、10年以上先の企業の経営状態を想像して選ぶ」と意識していないとダメだ。
今は企業情報の集め方を調べることに専念して、社会情勢が落ち着いたら購入しようと決めた。
―――下落中は買わないよ。リーマン・ショックの時の教訓は生かしたいから!
「PER」「売上高」で企業の価値を見定める
さあ、気を取り直して「長期保有する株式を選ぶ基準」を決めよう。
「企業の本質的な価値」は、どんな数字を使って見定めるのがいいのかな。
「自分の能力の範囲内に投資しなさい」というバフェットさんの助言に従って、苦手な数字はできるだけ減らしたい。
―――気にする数字は少ない方がいいな。
そこで、わたしはPER(株価収益率)に注目した。
教科書的にいうとPERは「1株あたりの純利益に対して株価が何倍になっているのか」を示す指標だ。低い方が「割安」ということになる。
割安な企業を探すために、分かりやすい指標ではないだろうか。
PER(株価収益率)= 株価 ÷ 1株当たりの当期純利益 |
PERは「利益が全て株主への配当に回された場合、何年で投資したお金を回収できるのか」という見方をすることもあるみたい。
例えば、PERが10倍だったら、10年で投資した金額を回収できるということらしい。
―――じゃあ10年保有するつもりの株式なら、PERが10倍以下の株式を持てば損しないってこと??
理論上はそうだけど、利益を全て株主に分配することはないから、あくまでも目安だね。
PERは「純利益に対して今の株価は “割安”なのか」という見方をするだけで、将来にわたって今の利益が維持されるかどうかは分からないので。
純利益ってさ、本業以外の利益も含まれているから、本業が衰退気味なのに臨時収入で利益が出ているってこともあるんだよね。だから純利益以外にも目安が必要で、それは、えーっと…………売り上げかな?
売り上げが伸びていてPERが10倍前後の「割安な会社」を探せば、それは長期保有に向いている「今後成長していく会社」ではないかな。
PERと一緒に企業の売上高の推移をチェックすることにしよう。
―――「今、割安でこれからも売り上げが伸びそうな会社」という理屈なら、シンプルでわたしにもイメージできそう!
同時に、自分でも「この会社の売り上げは将来にわたって成長していきそうかどうか」を考えよう。
この点は指標から考えるのではなく、日々わたしが感じることを反映させたい。だから知ってる会社を選ぶのがいいと思う。
【ここまでの要約】
- PER」「売上高」の2つの数字を基準に、企業価値を見定めようと思う。
- 将来にわたって売上高が伸びていきそうな会社を自分で考えてみるんだ!
成長期~成熟期の企業を狙え
企業について調べていくうちに、わたしは「企業には寿命がある」という話を知った。
「企業寿命30年説」だ。
帝国データバンクによると、企業の寿命って平均37.48年だという。
―――えっ、そんなに短命なの!!? 人間よりもだいぶ平均寿命が短いね。なんとなく企業ってずっとつぶれないイメージを持ってたけど、いつかはなくなってしまうんだろうか…。
企業の成長サイクルという考え方もあるみたい。