第3回 長期運用について調べたら自分が投機家だった件
この連載は、ヘナチョコ投資家だった豆原里芽が、これから本格的に投資を始める読者のためにあれこれ調べて考える投資エッセイである。
【この記事で言いたいこと】
- ウォーレン・バフェットの「マネーマインド」に衝撃を受けた。
- 長期運用の株式選びは「未来永劫(えいごう)保有し続ける」マインドでいこう!
株の選び方が分かりません…
さっさと白状してしまおう。
「わたしは、いまだに株の選び方がよく分からない……」
―――言ってしまった! 15年も投資歴があるのに。
前回、長期的な資産形成のために「株式を保有したい」と考えたところまでは順調だった。
しかし「いざ長期的に保有する株式を選ぼう!」という段階で「どうやって?」と考え込んでしまった。
- 長期的な運用ってどのくらいの期間、持ち続けるの?
- どうやって銘柄を選ぶの?
- 良し悪しを決める基準は何なの?
具体的に考えると疑問ばかりが頭に浮かんで時間が過ぎる。
何を買おうかな、と雑誌を見て、チャートを見て、セクター、財務諸表、うんたらかんたら……。
日本の上場会社数は3827社(2022年2月17日時点)。銘柄の選び方は無限のように思える。
―――頭の中がごちゃごちゃになって思考停止! いつも株式を選ぶときには、大海原に放り出されたような気分になるんだ。
あれこれ考えているうちに、わたしは短期取引ばかりに夢中になっていて、長期的な資産形成についての知識が全然ないことに気づいた。
そのとき気になった材料に飛びついて購入していて「チャートの形が上昇トレンドで押し目だから」「話題の会社だから」「売上高がよいから」「PERが…」「PBRが…」など、その時々で買う理由が違っていた。
こうして自分の中にはっきりした基準を持たないまま15年の月日が過ぎ、なんとなく利益が出たら売り、価格が下がったら見ないように塩漬け、または「もうダメだ」と損切りを繰り返してきた。
―――溺れる者はわらをもつかむ?という気持ちで、その時「よさそう」と思った株を「えいや!」と買っちゃう。どうして最終的にその株を選ぶのか、という理由はあいまいなんだよ。ほんとにヘナチョコが過ぎるね。
うーん、困ったときは達人に知恵を借りたい!
そう思ったわたしは以前から気になっていたウォーレン・バフェットについて調べることにした。
長期運用といえばバフェット、というイメージはあったけど、どんな人なのか、どんな投資をしているのか、具体的にはよく知らなかったから。
【ここまでの要約】
- 長期保有するための株式を選ぼうと思ったけど、どうやって選んだらいいか分からん!
- だからバリュー投資で有名なウォーレン・バフェットさんの考え方を学ぶことにしたよ。
世界の大富豪ウォーレン・バフェット
ウォーレン・バフェットは1930年生まれの91歳ながら、現役で投資を仕事にしている!バリュー株投資の代表格の投資会社バークシャー・ハザウェイの会長さんだ。
つまり、アメリカで最も成功している投資家の一人らしい。
バフェットさんの個人資産は9兆円を軽く超えていて、世界で指折りのお金持ちなんだって。
―――9兆円って子供銀行(おもちゃ)でしか見たことないけど?
アメリカでは3カ月に1回、ポートフォリオを公開しないといけない。
だから、3カ月ごとにバークシャー・ハザウェイのポートフォリオはニュースになるほど注目されているのだ。
―――そりゃあ、株で億万長者どころか兆億長者になった人がどんなポートフォリオを組んでるか、みんな知りたいよね。
バフェットさんとランチできる権利にオークションで3億円以上の値が付いたり(慈善団体への寄付金になるという)、バークシャー・ハザウェイの年次株主総会では「バフェットさん本人に質問ができる」と大行列ができたり、フレンドリーで人間としても尊敬されているよ。
―――大富豪なのに、コーラとマックのチキンナゲットをよく食べているという逸話には親近感が湧いた。
ウォーレン・バフェット流「バリュー投資」
そんな世界の大富豪だから、バフェットさん関連の本はたくさん出版されている。
近所の本屋を物色したら『バフェットのマネーマインド』という本が目に留まったので、早速買って帰った。