元ドイツ証券副会長「植田日銀総裁がもたらす空前の好景気」パーフェクトすぎる布陣に市場歓喜
前回、「2023年で失われた30年が終わる」という大胆な予想を披露した元ドイツ証券副会長で投資ストラテジストの武者陵司氏。その大胆な予想の裏には、リスクファクターも存在するという。
果たして、日本経済復活の障壁となるリスクファクターとは何なのか。金融界の賢者、武者氏にインタビュー全3回の2回目。
日本経済復活のリスクファクター1つ目は、日銀新体制の金融政策
日本経済復活のリスクファクターは2つあります。1つ目は、日銀が植田和男さん体制の下でどのような金融政策を取るかということ。
昨年12月、現総裁の黒田東彦さんがYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)を修正し、長期金利の変動幅を従来の±0.25から±0.50%へと変更しました。これについて、私はかなりポジティブに捉えています。すでに物価上昇率2%を超えるインフレが起きていて、金利上昇圧力が強まってきている中で、日銀はマーケットの意表をつく形で10年ぶりの「事実上の利上げ」をしたわけです。
これは、黒田さんからの「これからしばらくは何もしないよ」というメッセージだと私は捉えています。実際にその後、1月の日銀会合でも、黒田さんは金融緩和路線の継続を宣言していました。これらのことから考えると、おそらく「本当に景気が良くなったところで利上げしますよ」と黒田さんは暗にメッセージを発していたのではないでしょうか。ということはつまり、同時に「投資家は国債を売って、よりリターンの高い株などの金融資産にポートフォリオを変更しておいてください」ということを言いたかったのだと思います。利上げしたら、国債価格が下がって損をしてしまいますからね。そのタイムラグがあることを暗に伝えてくれているのだと思います。