「配管資材/ステンレス関連テーマ」2024年3月期 増収増益 MIEコーポレーション(3442)

今回は、金属製品の業種から【配管資材】【ステンレス】などの株テーマに関連する、株式会社MIEコーポレーション(3442)を取り上げます。
Key Points
- 4つのグループ会社を持つHDカンパニーとして、製販一体化による効率経営の実績と信頼を優位性として、さまざまな配管部材を世の中に提供し世界の工業生産から社会インフラまでをサポート。
- 直近2024年3月期決算は「増収増益」。
- 自己資本比率は1.0ポイントUPして29.2%へと推移しており、財務基盤の健全化に向けて改善傾向が見られる。
- 2024年3月期の配当金額は前期の無配から20円を実施、配当性向は6.7%。
企業能力 KFS(Key Factor for Success = 重要成功要因)
ステンレス製管継手業界のリーディングカンパニーとして、さまざまな配管部材を世の中に提供し世界の工業生産から社会インフラまで支える。
同社グループは、ステンレス製管継手の専業メーカーの「MIEテクノ」、販売会社「中部マテリアルズ」、物流を支える「MIEフォワード」、そして中国と周辺諸国を中心に展開する海外拠点「上海桑江金属科技有限公司」の4つのグループ会社で構成されます。

MIEグループの製品が使われるフィールド(ステンレス製管継手)は、産業機器、化学工場、ビル設備、半導体製造工場、浄水設備など多岐に渡ります。ステンレス製管継手を中心に、さまざまな配管部材を世の中に提供することで、世界の工業生産から社会インフラまで支え続けています。

現在、さらなる成長を目指して、製販一体となって新たなマーケットの開拓を推し進めています。製造や物流の現場スタッフも営業スタッフとともにお客様のフロントに立ち、専門分野の知見や技術をいかした提案営業を実践するなど、多様に変化するお客様の物件品ニーズに的確に対応しています。
目次
Performance:全体業績
経営環境と市場動向
2024年3月期の経営環境は、新型コロナウイルスの感染症による経済への影響が縮小し、社会経済活動の正常化が進みました。一方、地政学的なリスクによる資源価格や原材料価格の高騰、円安基調の継続など依然として先行きは不透明な状況です。
同社グループが所属する「ステンレス製管継手業界」では、各業界の設備投資等が積極的に行われ、需要は堅調に推移したものの、物価上昇や円安により調達価格は不安定であり、予断を許さない状況が続いています。

2024年3月期決算の概要
2024年3月期は「増収増益」。
P/Lは、「増収増益」です。売上高は、販売価格の上昇により、3.5%UPし68億1千1百万円となりました。
利益面では、利益率の高い受注品の売上増加に伴い売上総利益は6.9%UPし14億5千3百万円となり、営業利益は13.5%UPの5億6千5百万円、経常利益は、24.4%UPの5億3千6百万円となりました。なお、最終利益は、3.8%UPして3億7千2百万円となりました。

B/S
総資産および純資産ともに増加。結果、自己資本比率は1.0ポイントUPし29.2%へと推移。
B/Sでは、総資産は10億9千3百万円増加して83億6千6百万円、純資産は4億1百万円増加して24億7千万円へと推移しています。自己資本比率は増加傾向です。2024年3月期は、最終利益(親会社株主に帰属する当期純利益)の計上により1.0ポイントUPし29.2%へと推移しており、財務の健全性の改善傾向を示しています。

ROEは3.4ポイントDOWNしているものの、16.6% と数値自体は国内平均レベル以上です。

株主還元
前期の無配から20円の配当を実施、配当性向は6.5%。
株主還元については、これまで無配が続いていましたが20円の期末配当を実施。配当性向は6.5%です。なお、次期2025年3月期においても同額20円、配当性向6.7%の見通しです。

次期の見通し
2025年3月期予想では「減収減益」を見込む。
なお、2025年3月期の通期予想では、需要の増加傾向は一旦落ち着く見通しであり、「減収減益」を想定しており、売上高6,700百万円(前期比1.6%減)、経常利益520百万円(前期比3.1%減)を見込んでいます。
ESG Elements:環境・社会・ガバナンス
同社では、「顧客・市場から評価され得る経営品質の創造」「グループの成長・発展を目指す一体運営の実践」「株主・社員・社会への調和のとれた成果の還元」という3つの経営理念の具現化に向けた事業活動を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献することを目指しています。
地球環境の継続的改善・向上が企業の最重要課題の一つであると認識しており、「環境管理委員会」を月1回実施し、事業活動によって生じる環境への影響を的確に把握し、目標設定や計画に対する進捗状況のモニタリング、実施内容の評価を行い、顕在化した課題やリスクは取締役会に報告され、監督される体制を構築しています。
環境関連では、CO₂排出量の削減を目標に掲げ、気候変動に関するリスク低減と機会創出に向けて対応策を策定しています。

社会関連データでは、人材の確保と育成が重要な課題と認識しており、「DE&I」に留意して、従業員が最大限に能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでいます。

主に「女性活躍推進」として、同社グループの様々なフィールドで活躍する女性社員で構成される「Mie-Smile」を組織し、職場環境の検討や研修会を実施、また、女性社員の積極的な採用、女性管理職登用に向けた取り組みを実施しています。

また、「人材の育成教育体系」として、従業員の階層別研修、コミュニケーション研修、語学研修などの職能別研修に力を入れています
ガバナンス体制では、社外役員比率は8名中4名と50%。しかし女性取締役はおらず、透明性の高いガバナンス体制の強化の観点からは取締役会における多様性が求められます。
Plan 中期経営計画
同社グループでは、2023年~2025年の3年間を長期的な再成長に向けた重要な期間と位置づけ、新中期経営計画「Planting Seeds for Growth ~成長に向けた種をまこう~」を策定し、既存事業の強靭化を中心として外部環境に左右されない経営体質構築を目指しています。
「ステンレス製管継手」の需要は底堅く推移する見通しですが、材料価格の高騰により調達価格は不安定な状況が続いており注視が必要で、技術力・品質力を生かしたモノづくりのメリットで需要を取り込み、市況に左右されない製品の高付加価値化を目指しています。
新中期経営計画においては、「既存事業の強靭化」「半導体分野などの成長分野への参入」を掲げています。また、ワーキンググループを3つ組成しKPIを定めて「重点施策」をそれぞれ推進しています。

Out Look まとめ
MIEコーポレーションの優位性は、ステンレス製管継手業界における製版一体化による効率経営の実績と信頼です。
B2Bビジネスであり知名度は高くありませんが、業界のリーディングカンパニーとして、さまざまな配管部材を世の中に提供することで、工業生産から社会インフラまで支える存在として、今後の成長余力は十分にありそうです。

グループ各社とのシナジーで製販一体となって新たなマーケットの開拓を推し進め、一層の成長を目指すという同社の企業姿勢は「◎」です。
その他注目の「配管資材」関連テーマ株
管工機材の卸売り専業。排水・汚水関連で首位級。製造、物流を全国展開。
ファスナー、プリント基板収納ラックなど工業用プラスチック製品を製造。素材を自主開発。