30%以上の安定した配当を継続!社会課題に対応する企業 NISSOホールディングス株式会社<9332>

 独自の観点で注目企業の価値を分析するMINKABUマトリクス企業分析。

 今回は製造業向けの人材派遣・請負サービスを中心に事業を展開するNISSOホールディングス株式会社<9332>(以下、NISSOホールディングス)をピックアップします。

Key Points

・従業員の教育・訓練に力を入れることで、即戦力となる高度な技能を持つ人材を派遣

・少子高齢化や労働力不足といった社会課題に対応するため、介護分野など事業の多角化を進める

・気候変動に対するTCFD提言への賛同を表明。社外役員は62.5%と高い透明性を誇る

目次

NISSOホールディングスってどんな会社?

 NISSOホールディングスは、人材サービス業界で事業を展開する日総グループ(1971年創業)の純粋持株会社として2023年10月に設立されました。

 同社の主な事業は、製造業向けの人材派遣・請負サービスです。特に自動車、電機、精密機器などの分野で強みを持っており、技術者派遣が8割を占めています。また、介護福祉サービスも提供しています。

即戦力となる人材を派遣できるのが強み

 従業員の教育・訓練に力を入れることで、即戦力となる高度な技能を持つ人材を派遣できるのが同社の大きな特徴。人材の質の高さが評価されており、顧客企業のニーズに応えています。

「人」を中心に据えた人的資本経営を企業理念とし、国内で多くの研修施設を運営。特に近年ニーズが高まっているEVや半導体需要に合わせ、2024年3月に蓄電池製造などにかかわる人材を育成する中核研修拠点「日総EVテクニカルセンター関西」を開設、半導体製造向け人材の育成に特化した「日総テクニカルセンター熊本」を同5月に増設するなど、人材育成のための施設拡充を進めています。

 また、少子高齢化や労働力不足といった社会課題に対応するため、介護分野など事業の多角化を進めることで、変化する労働市場と企業のニーズに柔軟に対応しながら成長を続けています。

NISSOホールディングスの企業価値を4つの独自視点からチェック!

 次に、NISSOホールディングスの企業価値について分析していきましょう。評判(価値)、実利(実績)、共感(志向)、姿勢(ESG)の4つの観点からチェックしていきます。

 各分析の結果はこちら。

  1. 評判価値:Excellent

 2024年6月7日現在の時価総額は284億4千4百万円と、個人および中小型株ファンドがターゲットとするレベルに。配当は、前期の16.0円から20.5円へアップ。配当性向は1.9ポイントアップして35.4%となりました。

  1. 実績(業績)価値:Very Good

 2024年3月期業績は前年同期比「増収増益」。確実に成長しており、今後も期待ができそうです。一方、自己資本比率は-0.3ポイントダウンで48.9%へと推移しています。

  1. 共感(志向)価値:Excellent

 少子高齢化が進む国内労働市場において、時代ニーズを先読みした産業別アプローチとグループ総合力による「総合人材サービス」が強み。日総工産(株)時代からの中期経営計画を引き継いで、明確なKPI目標も設定できています。

  1. 姿勢(ESG)価値:Excellent

 環境面における削減数値をしっかりと開示するなど、オープンな姿勢が高評価。また、管理職における女性比率は11.3%と、サービス業の平均レベルを超えている点も評価ポイントとなりました。

 それでは各項目について詳しく見ていきましょう。

配当性向38.6% 配当金のほかに魅力的な株主優待も

 2024年6月7日現在の時価総額は、284億4千4百万円。個人および中小型株ファンドがターゲットとする時価総額レベルにあります。

 会社の利益と株価の関係を表すPERは10倍以上、会社の純資産と株価の関係を表すPBRは平均1.2〜1.5倍程度といわれているなか1.88倍と高い数値となっています。また配当は、前期の16.0円から20.5円へ、配当性向は1.9ポイントアップして38.6%と魅力的な数値です。

 また、NISSOホールディングスでは配当金のほかに、「NISSOプレミアム優待倶楽部」を導入。毎年3月末日時点で300株以上を保有している株主を対象に、話題の最新家電やグルメ食品と交換できるポイントを保有株数に応じて進呈しています。

積極的な人材育成が奏功 前年同期6.6%UPの増収

 2024年3月期決算を見てみると、売上高は968億5千8百万円。前年同期と比べると6.6%UPの増収となっています。特に、売上高の約8割を占める「製造生産系人材サービス」が好調で、在籍人数の増加・1人あたりの単価が上昇。積極的な人材育成が功を奏しており、今後も期待ができます。また、利益のすべてにおいて二桁増益となっています。

 一方で、自己資本比率は-0.3ポイントダウンで48.9%へと推移。しかし、50%以上あればかなり良好な状態とされるため、財務の健全性レベルは問題無いといえます。

「企業がどれぐらい効率良くお金を稼いでいるか」を示す財務指標ROEは1.7ポイントアップして13.2%。8〜10%といわれる国内平均レベル以上を達成しています。

研修センターの開設を拡大 人材育成の体制を強化

 少子高齢化が進む国内労働市場において、時代ニーズを先読みした産業別アプローチとグループ総合力による「総合人材サービス」が同社の強みです。特に、近年の半導体・EV関連のニーズに合わせ、研修センターの開設を拡大。これにより研修可能人数が3倍になるなど、人材育成強化の体制を整えています。

 また、日総工産時代からの中期経営計画を引継いで、明確なKPI目標を設定できており、市場動向も回復基調にあります。

ESGを意識した経営を実現  社外役員は62.5%と透明性の高さも評価

 サステナブル経営に不可欠なESGを意識した経営を実現しているNISSOホールディングス。気候変動に対するTCFD提言への賛同を表明しており、環境面における削減数値をしっかりと開示しているのは高く評価できるポイントです。

 また、管理職における女性比率は11.3%とサービス業の平均レベルを超えており、今後さらに期待したい結果となっています。

 社外役員は、50%を超えると高い数値と言われるなか、8名中5名で62.5%。また女性役員は2名で20%を超えると高水準と言われるところ、1名で12.5%の状況。透明性が高く、評価のポイントとなっています。

 ESGについて、サステナブル経営を推進する意識と実態が伴った企業は、今後に期待が持てるといえます。日本社会が抱える課題を踏まえたうえで、人材派遣サービスを提供するNISSOホールディングス株式会社<9332>をご紹介しました。

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