中東情勢の緊迫化・・・著名投資家が大切にしている「歴史」と「暴落」から学ぶべきこと

イラン・イスラエル間の紛争で世界市場に緊張が走る中、日本国内でもホルムズ海峡閉鎖の懸念や日経平均株価の急落を受け、先行きへの不安が広がっています。
投資家はこの不確実性とどう向き合うべきなのか。今回、話を伺うのは数々の歴史的暴落を経験し、そのメカニズムを著書『暴落大全』(KADOKAWA)にまとめた長期投資家・はっしゃんさん。
有事における為替・原油価格の捉え方から、日本が誇る備蓄という強み、そしてパニックに陥らないための「暴落の定義」まで詳しく伺いました。
目次
危機管理が問われる局面、日本は?
ーーまずは2月後半から懸念されている軍事リスクについて伺います。これは相場にどれほど影響が出ると考えていますか?
現在(取材日:3月6日)のイラン・イスラエル間の紛争において、米国は単なる後方支援にとどまらず、イスラエルと共同で「エピック・フューリー作戦」を展開するなど、軍事行動の主体として深く関与しています。
このまま戦火が拡大し、仮にイランと米国の直接対決が泥沼の全面戦争へと発展しても、トランプ米政権は体制転換まで攻撃の手を緩めない構えです。長期的な視点で見れば、米国の優位は自明であり、焦点は短期的にどう動くかという点にあります。
日本にとってはオイルショックのような国際的な危機管理が問われる局面です。実は日本は備蓄量が非常に多いのですが、他国はそれほど多くありません。国際的なサプライチェーンを考慮すると、たとえ日本単体で備えが十分だったとしても、他国の動きが止まれば非常に大きな影響を受けることになります。
現在は、そうしたリスク管理の必要性が相場に織り込まれている段階と言えるでしょう。非常に不確実な状況ですので、良いニュースが出れば上がり、悪いニュースが出れば影響を受ける。そうした中で判断をしていく時期でしょう。
長期で見ればあれこれと動く必要はありませんが、値動きが激しいため、短期で見ればチャンスは大きいと言えます。ただ、今回の件をきっかけに長期的な変化が生じる可能性もありますので、そこには注意を払っておくべきだと考えています。
「温度計」のような役割
ーーはっしゃんさんは長期投資家ですが、今回の件(取材日:3月4日)で売買の検討や実施はされましたか?
売買は一切していません。売り買いなしのスタンスを維持しています。
ーー現在のポートフォリオについて、攻めと守りの定義、そして現在の比率を教えてください。
私の場合は、ほぼ守りの構成になっています。短期的な利益を追求するのが攻めだとすれば、守りは資産の変動を抑えつつ、資産を保持したり、配当を得たりすることだと考えています。今の状況では、何もしないよりも株を保有していた方がインフレ対策になりますし、配当という形でのリターンも期待できる。そうした意味での「守り」ですね。
注視すべき指標は?
ーー不安定な市場において、特に注視すべき指標はありますか?
こうした戦争に関連する局面では為替と原油価格は見ておくべきです。為替や原油が動いていること自体が、市場の状況を示す温度計のような役割を果たすと考えています。
ーーイランとイスラエルの軍事リスクについて、日本にはどこまで影響が出るとお考えですか?
そこが非常に難しく、正直なところ現段階では読み切れません。どこかの段階でイランが歩み寄り、トランプ政権の軍門に下るような形になれば、大きな影響は出ないと見ています。
しかし、本当に懸念すべきは中東以外への拡散リスクです。具体的には台湾や北朝鮮です。もしも火種がそちらにまで広がれば、日本への影響は全く別次元のものになります。もともとはベネズエラやイラン、パレスチナの問題でしたが、現在はトランプ大統領が世界的に戦火を広げる主役のような立ち位置になっている印象があり、その動向を注視する必要があります。