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アメリカは信用できるのか?「日本への防衛費負担増」をどう読み解くべきなのか

 アメリカをめぐる国際関係は、大きく変わりつつある。トランプ米大統領は、ドイツに駐留する米軍の一部撤退を打ち出し、日本をはじめとする同盟国へ防衛費負担の増加を求めている一方で、イスラエルはアメリカへの依存度の低下を訴えている。アメリカについて、いま私たちはどう見るべきなのか。東京大学大学院教授/地経学研究所長の鈴木一人氏が解説する。

みんかぶプレミアム連載「鈴木一人 地政学×経済安全保障=地経学」

目次

米軍はドイツから撤退しても、日本では強化する

 いま、アメリカをめぐる国際関係は大きく変化しつつあります。戦後の国際社会では、日本をはじめとするアメリカの同盟国の多くが「何かがあったときには、アメリカが守ってくれるはずだ」と信じていました。

 しかし、いまその前提は大きく揺らいでいます。たとえば5月に入り、トランプ米大統領はドイツに駐留する米軍部隊の一部を撤退させると発表しました。在独米軍は2025年末時点で約3万6000人に上り、欧州に存在する米軍の約半数を占めます。

 軍事的な側面から見れば、現在のアメリカは、ロシアを直接の“脅威”と捉えていません。そこでイラン戦争に批判的なドイツへの不満に加え、「ロシアは欧州にとっての脅威であり、ロシアの抑止は欧州がやることだ。アメリカが負担する必要はない」との思いから、一方的に撤退を決めたのです。

 ただ注意しなければならないのは、アメリカは同盟国を完全に見捨てるつもりはない点です。トランプは撤退した分の兵力を、ポーランドに移すことを検討しています。つまり、ヨーロッパ内での配置換えなんです。ただ、ポーランドへの米軍四千人の派遣も停止することになったため、欧州駐留米軍の純減になります。

 そうなると今度は、「在日米軍はどうなるのか」と思う人も多いと思います。在日米軍については、むしろ強化を検討しています。

 アメリカにとっての軍事的な脅威は、中国です。なお、北朝鮮に対しては、「直接の脅威ではなく、韓国が抑止すべき」だと考えています。

 中国への脅威に対しては、アメリカは日本やフィリピン、オーストラリアといった国々に「中国抑止に協力してほしい」とお願いする側です。それは、米軍の力を借りたいドイツとは、本質が異なります。

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この記事の著者
鈴木一人

立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了、英国サセックス大学大学院ヨーロッパ研究所博士課程修了(現代ヨーロッパ研究)。筑波大学大学院人文社会科学研究科専任講師・准教授、北海道大学公共政策大学院准教授・教授などを経て2020年10月から東京大学公共政策大学院教授。国連安保理イラン制裁専門家パネル委員(2013-15年)。2022年7月、国際文化会館の地経学研究所(IOG)設立に伴い所長就任。

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