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イランとアメリカの停戦協議はなぜ進まないのか?イラン戦争がAI・半導体相場に与える影響とは

 アメリカとイランの停戦協議は、一向に進んでいない。東京大学大学院教授/地経学研究所長の鈴木一人氏は、「お互い、歩み寄ることができない状態にある」と話す。停戦協議が進まない理由と今後の行方について、鈴木氏が解説する。

みんかぶプレミアム連載「鈴木一人 地政学×経済安全保障=地経学」

目次

AI・半導体相場の上昇に違和感はない

 イランとアメリカの停戦協議は、多くの人が期待する通りに進んでいません。当面は進まないだろうと考えています。

 株式市場に目を転じると、イラン戦争は世界経済にとって明確に悪材料ですが、それでもAI・半導体がけん引する形で日経平均株価は最高値を更新しています。これは、いま世界にお金が余っているからです。

 AI・半導体はこれからも需要が高く、各国がいま競うように資金を投入しています。また、AI・半導体の分野は、ほかの業界に比べ、原油価格高騰の影響が少ない分野でもあります。そのため、お金の行き場を求めてAI・半導体に資金が流れ込み、株価が上昇すること自体に違和感はありません。

 あえて今回のイラン戦争が半導体に与えうるリスクを挙げるとすれば、天然ガスの精製プロセスの中で副産物として抽出されるヘリウムです。世界最大級のヘリウム供給国であるカタールがイランの攻撃を受けたことで供給網が混乱し、ヘリウム価格が高騰しています。

 ひとくちに「半導体」といっても、シリコンウェーハ上に回路を形成する「前工程」と、それを切断・パッケージ化して製品に仕上げる「後工程」があり、さらにその製品の検査装置を扱うメーカーがあります。ヘリウムはこのうち、エッジングの熱処理などの前工程で大量に必要となるため、半導体企業でも前工程に強みを持つ会社は、ある程度影響を受ける可能性があります。

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この記事の著者
鈴木一人

立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了、英国サセックス大学大学院ヨーロッパ研究所博士課程修了(現代ヨーロッパ研究)。筑波大学大学院人文社会科学研究科専任講師・准教授、北海道大学公共政策大学院准教授・教授などを経て2020年10月から東京大学公共政策大学院教授。国連安保理イラン制裁専門家パネル委員(2013-15年)。2022年7月、国際文化会館の地経学研究所(IOG)設立に伴い所長就任。

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