「子ども部屋に監視カメラ、部下にもやりますか?」開成→東大の塾長が説く、親が守るべき“距離感”

「子どものためを思って、つい口を出してしまう」——成績が気になって勉強を見張ったり、進路を先回りして決めてしまったりした経験のある親は少なくないだろう。
だが、塾長として多くの親子と向き合ってきた小林尚(コバショー)氏は、過干渉も無関心も、どちらも受験の妨げになると言い切る。判断の基準は「職場の部下にやらないことを、子どもにやっていないか」だという。
では、成績が伸びる家庭は何が違うのか。合否に関係なく自分を支え続けてくれた両親の姿、そして避けては通れない「お金」の話——。開成から東大へ進んだ塾長に、子どもの可能性を伸ばすために親ができることを聞く。全3回の最終回。
みんかぶマガジン連載「天才たちの育ち方」
過干渉でも無関心でもない。問われているのは親の”人間力”
成績が伸びる家庭に共通していると感じるのは、親御さんが子どもに関心を持っていることです。ただし、関心がありすぎるせいで、進路や行動を一方的に強制してしまうのは良くありません。
当然、親御さんも仕事や家事、育児で忙しいことがあるでしょう。そのため、24時間すべてを子どもに捧げることは難しいと思います。ただ「できる範囲で何かしてあげよう」「一緒に取り組もう」としている家庭は、家族一丸となって受験と向き合っていけるはずです。
私は運営している塾で、多くの親御さんと面談をしますが、「塾に通わせているから終わり」と無関心な親御さんよりも、子どもの受験に伴走する親御さんのほうが、受験はうまくいくと感じています。世の中では「過干渉」がニュースになりやすいですが、結局、過干渉も無関心も、どちらも受験の弊害になると思っています。
過干渉や無関心の度合いがわからないという方は「お子さんを1人の人間として扱えているかどうか」で判断してください。具体的には「自分が職場の部下に対してやらないことを、子どもに対してやっていないか?」ということです。
「部下にやらないこと」を、子どもにしていないか
たとえば、部下を怒鳴りつけて追い詰めたり、監視カメラをつけたりすることは、まずしませんよね。それなのに、子どもに対しては平気でやってしまう親がいる。一方で、社員のスキルアップのために研修費を出す会社もありますが、それは子どもに教育費を出してあげることと同じです。
面談の場で、子どもに関心があると感じる親御さんは、今の状況だけでなく、そこに至るまでの経緯や、子どもがどう変化してきたかも含めて話してくれる方が多いです。親は子どもを指導する立場ではなく、伴走する立場です。子どもを一人の人間として尊重し、向き合えるかどうか。結局は、親自身の「人間力」が問われるのだと思います。
そもそも受験や勝負の世界は、基本的に結果でしか評価されません。小学生の頃はマラソン大会でビリでも「頑張ったね」と拍手してもらえますが、大人になって仕事の成果でビリだったら「使えないやつ」という扱いを受けてしまう社会です。
でも、唯一、結果が出るかどうかに関係なく、その過程を認めてくれる存在があります。それが家族です。私の両親が、合格するかどうか分からないまま、何年も塾に通わせ、参考書を買い続けてくれたのは、結果ではなく、私が頑張っているプロセスを評価してくれていたからだと思います。私は受験前や卒業前の生徒に「これからも家族を大事にしてほしい」とよく伝えています。