SAPIX最上位クラスで授業が全く分からない。それでも開成→東大へ 子どもの「今の成績」で進路を決めない理由

「塾に入れたのに、授業についていけていない」——わが子がクラスで苦しんでいる姿を見て、塾選びを間違えたのではと悔やむ親もいるだろう。
中学受験を見送った小林尚(コバショー)氏も、高校受験に向けて「楽だ」と聞いて入ったSAPIXで、いきなり最上位クラスに入り、授業がまったく分からない状態からのスタートだった。開成を目指したのも「なりゆき」。成績は最後まで安定せず、東大には合格最低点からわずか2点上で滑り込んでいる。
それでも彼は、なぜ開成、そして東大へとたどり着けたのか。自分でドリルを買って追いついた冬休み、相性の良かった記述式の入試、”ゲーム感覚”で組み立てた受験戦略——。高校受験から東大合格までの道のりを聞く。全3回の第2回。
みんかぶマガジン連載「天才たちの育ち方」
「勉強できないとまずい」中1で芽生えた、自分から勉強する理由
地元の学習塾には小学5年生から中学1年生の終わり頃まで通っていました。受験のための進学塾ほどのプレッシャーもなく、私自身とても楽しく学んでいました。この学習塾では、算数(数学)だけを受講し、小学5年生から1年間、英会話教室にも通いました。レッスンはネイティブの講師が日本語を一切使わずに進めるもので、文法よりも会話が中心でした。 英語の発音は良くなりましたが、文法や単語は身につかず、結局その後、小学6年生から中学1年生まで、文法をしっかりと教えてくれる英語塾に通い直しました。
地元の学習塾や英会話教室に通っていた私でしたが、行きたい大学や将来の夢があったわけではありません。転機になったのは、中学1年生の頃です。
文学作品を読むようになり、人生や自分の存在についていろいろ考えるようになりました。運動も得意ではなく、容姿に自信があるわけでもない。将来、周りに勝てるものがあるとすれば、今の自分にとっては勉強くらいしかないのではないか——そんなふうに思うようになり「自分は勉強できないとまずい、ゴミになってしまう」という危機感を、このころから抱くようになりました。
いま振り返っても、この頃は多くの本を読んでいたと思います。さらに本だけでは飽き足らず、学校の国語の授業で配られる資料集「国語便覧」を何度も読み込んでいました。授業がつまらなくて手持ち無沙汰なときは「国語便覧」を読むようになり、受験に出る文学史や古典の知識も自然と身についていました。
「SAPIXは楽」を信じて入塾、いきなり最上位クラスで地獄を見た
私は学習塾に通っていましたが、高校受験をするにあたり、中学1年生の3学期で塾を変えることになりました。SAPIX、早稲田アカデミー、地元で有名な進学塾の3つの候補がありましたが、どこの塾がよいかわからなかったため、すでに進学塾に通っている友人に評判を聞いて回りました。
地元の学習塾はゆるっとしていて、通うのが楽しかったという実体験があったので、一番楽な進学塾を選びたかったんです。SAPIXに通う友人から「SAPIXは楽だ」という話を聞き、入ることに決めたのですが、実際に入ってみると地獄を見ました(笑)
入塾したのちに分かったのですが、話を聞いた友人はSAPIXの中で一番下のクラスで、プレッシャーがあまりなかったそうなんです。しかし、私が入塾テストで入ったのは最上位クラス。なぜか自分の実力以上のクラスに入ってしまい、授業で先生が何を言っているのかまったく分からない状態からのスタートでした。このままでは塾の授業についていけないと焦った私は、自分でドリルを買って自宅で必死に勉強しました。冬休みに一人でコツコツ勉強したおかげで、塾の授業にだんだんと追いついていきました。