新宿ゴールデン街を訪れた”童貞をこじらせた男”は「え、童貞なの!私とホテル行っちゃう?」という女性の誘いにどう答えたのか

なぜ、童貞はいつまで経っても童貞のままなのか。自身も長らく素人童貞だったという作家の山下素童氏が、童貞を分析した。童貞は決して尊いものなどではない。
目次
朝方、店にやってきた童貞Aと童貞B
当たり前のことだが、童貞にもいろんなタイプの童貞がいる。そんな当然の事実に未だに慣れない自分がいることに気がついたのは、2人組の童貞と邂逅したからだった。
筆者は新宿ゴールデン街の文壇バーで週に1度だけ店番をしている。文学と童貞は相性がよいのだろうか、文壇バーで働いていると「自分は童貞です」と自己紹介してくる男性がたまに飲みに来ることがある。1年間文壇バーで働いて出会った童貞の数は、両手の指では数え切れないほどだ。
ある日の朝方。酔っぱらった男2人組が店にやってきた。
「僕、童貞です」
「僕も、童貞です」
カウンター席に座るや否や、2人はそんな自己紹介をしてきた。聞くと、2人とも年齢は若く20代前半とのことだった。
童貞の2人組が来てから10分ほどすると、今度はゴールデン街でよく飲んでいる性にオープンな女性が店にやってきた。朝方に店に来る人間の99%はそうなのだが、その女性も他の店でたくさん飲んで来たようで既にかなり酔っ払っていて、2人の童貞を半ば強引に引き離してその間の席に座った。「ハイボールつくって」とだけ頼んでくると、両隣の童貞と会話をしはじめた。
童貞Aが女性からのセックスの誘いを断った理由
「お兄さんたちは、ここら辺でよく飲むの?」
「いや、お金ないのであまり…」
「そうなんだ。2人とも学生さん?」
「いえ、どちらも社会人です」
「私は君たちのことを知りたいんだけど、2人はどんな人なの?」
「僕、童貞で」
「僕も、童貞なんです」
「なに!? 2人とも童貞っ!? 私とホテル行っちゃう? 3Pしちゃう?」
エロ漫画みたいな突然のセックスへの誘いが巻き起こった。童貞Aは顔を引きつらせながら、