経済的勝利! 幼稚園でW不倫された30代妻の壮絶復讐劇…相場より高い慰謝料500万円をどうやって勝ち取ったのか

 2020年の離婚件数は約19万3千組。一方で婚姻数が52万5490件で、単純計算でだいたい3組に1組以上が離婚している。そして、離婚後は必ずしも「悠々自適」な日々が待っているとは限らない。2019年の国民生活基礎調査では、生活について、シングルマザー(母子家庭)の41.9%が「大変苦しい」、44.8%が「苦しい」と回答。経済的に辛い状況に陥ってしまう人がいる。なぜ、永遠の愛を誓ったカップルは離婚してしまうのか。ライターの古川諭香氏が、伊藤靖子さん(仮名)が元夫とその不倫相手から、離婚後を見据えて高額の慰謝料を勝ち取るまでを綴る。

子どもの入園式で夫が他の子のママに一目惚れ

 本来なら、子どもの成長に触れる場所である幼稚園が、近頃は不倫の温床になっている。どうやら、保護者同士のW不倫が増えているようだ。

 伊藤靖子さん(仮名・36)は3年半前、夫の翔平さんが同級生のママに恋をして不倫関係となり、地獄を見た。

「これからお話するのは、不倫が発覚した後に夫を問い詰めて吐かせた話です。聞いた時は頭がおかしくなるんじゃないかと思うほど、激しい怒りがこみ上げてきました」

 裕福な家庭で育った靖子さんは友達が次々と結婚していく中、ひとり取り残されたくないという思いから、当時、猛アプローチしてくれていた夫・翔平さんと結婚。

 夫の顔がどうしても好きになれなかったが、「男は顔より中身。お金に困らん人ならええがね」という母の言葉に背中を押され、一緒に生きていく覚悟を決めた。

「夫は年収900万円ほどの高収入。顔で勝負できないから、金を稼げる男になったんだと言っていました。モテないから浮気の心配がないし、金銭的に苦労しないのなら、夫婦生活を維持していけるかもしれないと思って、一緒になりました」

 タイプではない顔とキスやセックスをしなければならないことは苦痛だったが、息子が生まれたことで夜の営みはなくなり、安堵。仕事が終われば、まっすぐ帰宅する夫と平穏な家庭を築いていた。

 だが、我が子が幼稚園に入ったのを機に、靖子さんの暮らしは一変。なぜなら、入園式で、翔平さんが他の子のママ・佳奈子さん(仮名・38)に一目惚れをしてしまったからだ。

 どうにか親しくなりたいと考えた翔平さんは佳奈子さんの子どもと仲良くするよう、我が子にこっそり毎日、言い聞かせていたという。幸いにも、子ども同士は本当に気が合ったよう。翔平さんは子どもたちの関係性を利用して、佳奈子さんに近づき始めた。

里返り出産中に夫が意中のママと不倫関係に

 翔平さんは子煩悩で幼稚園の行事には積極的に顔を出していた。だが、その裏には行事を通して、佳奈子さんと距離を縮めたいという邪な思いもあったようだ。

 挨拶を交わす仲になった後は「うちの子とお宅のお子さん、すごく仲がいいみたいなので、ご迷惑をおかけしていないかなと心配で…」と気遣いつつ、「仲良しな子ども同士が遊びやすくなるように、大人同士も仲良くできたらいいですね」と、さりげなく距離を縮めたい気持ちがあることをアピールしたそう。

 そんな風に他の女性に心が向いている時でも、夫婦間のセックスはあった。ほどなくして、靖子さんは第2子を妊娠。翔平さんに子どもを任せ、里返り出産をすることになった。

 毎日、子どもの送り迎えをするようになった翔平さんは車の中でじっと待ち、佳奈子さんとお迎えのタイミングが偶然重なったかのように装っていたそう。

「姿が見えると、幼稚園へ向かい、『今日もお迎えの時間、一緒になりましたね』と声をかけ、たわいのない会話を楽しむのが日々の楽しみだった、と言っていました」

 翔平さんは次第に、「妻がいないと、ご飯も適当になっちゃって困るんです」や「子どもの面倒をひとりで見るのは、なかなか大変で…」と弱音をこぼすように。すると、佳奈子さんは「よかったら、週末に料理を作りにいきましょうか? うちの子を連れて行っていいのなら、子ども同士遊べるし、ちょうどいいかなと思って…」と気遣ってくれたという。

「こっちが大変な思いをしている中、あの人は他の女性を自宅にあげたんです。建てたばかりのマイホームですよ? 信じられます?」

3回目の自宅訪問で肉体関係を結んだ

 週末、佳奈子さんは我が子を連れて翔平さんの家へ。親の下心など知らない我が子は仲良しの友達と思う存分遊べることを無邪気に喜んでいたという。

「相手の女はご主人に怪しまれないよう、『幼稚園でできた友達に自傷癖があって、最近、夫婦関係で悩んで精神状態が心配だから、しばらくの間、毎週末、子どもを連れて様子を見に行ってくる』と伝えていたそうです」

 1~2回目の自宅訪問では佳奈子さんの手料理をみんなで食べたり、子どもと遊んだりと穏やかな時間が流れていったそう。だが、3回目の自宅訪問時、我慢できなくなった翔平さんが玉砕覚悟で積極的に迫ったことから、2人の関係は進展してしまう。

 翔平さんは昼食を終えた後、キッチンに立って洗い物をする佳奈子さんに後ろから抱きついたそう。佳奈子さんは初め、「え、どうしたんですか」と驚き、硬直したが、翔平さんが「俺の気持ちに気づいてませんか?」と聞くと、甘い沈黙が流れ、ふたりはごく自然にキスを交わした。

 そして、欲望を止められなくなった翔平さんたちは遊んでいる子どもたちをリビングに残したまま、寝室へ。靖子さんを何度も抱いた寝室で、2人は肉体関係を結んだのだ。

不倫相手から貰ったお金で妻にプレゼントを購入

 その後も、2人は毎週末に翔平さん宅で愛を育み続けた。うちの奥さんはキツイ性格だから、本当は離婚したいけれど、結婚前に作った借金を奥さんの実家に返済してもらっているから別れられない――。翔平さんはそう嘘をつき、「一緒になりたい」という佳奈子さんを宥めていたそう。

 だが、佳奈子さんは金銭的な問題が解決すれば、一緒になれるかもしれないと思ったよう。やがて、「借金返済の足しにして欲しい」と月に10万円ほど、翔平さんに渡すようになった。靖子さんはこう述べる。

「夫は、それを競馬やパチンコに使っていました。一度、里帰り中に突然、郵送で『体をゆっくり休めて、また綺麗なママでいてね』とネックレスが贈られてきたことがあったんですが、それも不倫相手のお金で買ったそうです。嬉しい気持ちになった、あの時間を返してほしいですね」

 4ヶ月後、里帰り出産から戻ると翔平さんは「おかえり。寂しかったよ」と出迎えてくれ、靖子さんは幸せな気持ちになった。だが、翌日、彼女は想像もしていなかった地獄を見ることとなる。なんと、佳奈子さんが突然、家に尋ねてきたのだ。

里帰り出産から帰宅した翌日に夫の不倫を知った

 靖子さんの顔を見るなり、佳奈子さんは「私と翔平さんは愛し合っています。別れてください」と直談判。状況が飲みこめず、あっけに取られあっけにとられていると、キッチンから翔平さんがやってきた。

「その時、あきらかにたじろいだんです。だから、これは本当に不倫をしていたなと思って、夫を問い詰めました」

 最初、翔平さんは佳奈子さんとの関係を否定し続けていたが、観念したのがポツリポツリと、不倫に至った経緯を話し始めた。

 当然、靖子さんは激怒。しかし、翔平さんは「本気じゃなかった。寂しくて、魔が差しただけ。お前と離婚とか考えられないよ。子どももいるし、今回だけ見逃してほしい」と身勝手な懇願をしてきた。

「そんな都合のいいお願い、聞けませんよね。不倫相手のご主人にも我が家に来てもらい、6時間話し合いをしました」

 結局、靖子さん夫婦は離婚。靖子さんは離婚問題に強い弁護士を雇い、佳奈子さんに250万円の慰謝料を請求した。離婚時の慰謝料相場は50〜300万円だが、今回のケースはW不倫により両方の家庭が壊されたため、比較的高額な250万円を請求できた。被害者の靖子さんの場合、夫の翔平さんにも請求できる。

「夫にも250万円請求しました。マイホームは売却し、住宅ローンを清算。子どもの親権は私にあります。離婚後がどうなるかはその時はまだ不安でしたし、できるだけ多く慰謝料はもらおうとしました。また夫は月に何度か会いたいと言いましたが、突っぱねました。あの人には我が子と一生会えないという罰も与えたかったので」

 靖子さんは慰謝料500万円を得た後、理解ある男性と再婚。現在は、幸せな家庭生活を送っている。

「今の夫もバツイチ。奥さんに不倫されたそうです。不倫されたもの同志、裏切られる苦しみを知っているので、異性問題に怯えなくて済みます。離婚して、本当によかった」

 幸せいっぱいの靖子さんとは反対に、不倫によってお金を失い、我が子というかけがえのない宝物も失った翔平さんは将来、自分がした過ちをどう振り返るのだろうか。

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