離婚か、卒婚か、我慢か。「熟年離婚予備軍」が知っておくべき第三の選択肢
「もう嫌だ、早く家を出たい」——長年の我慢が限界に達し、熟年離婚を考える女性の多くは、一刻も早く新しい人生をスタートさせたいと焦るものだ。しかし、「なんとかなる」という見切り発車で飛び出した結果、生活費が足りずに立ち行かなくなるケースは少なくない。「離婚はゴールではなく、新たな人生のスタート」。だからこそ、感情ではなく戦略で動かなければ、本当の意味での自由は手に入らないという。
数多くの離婚相談を受けて岡野あつこ氏は、「どちらを選ぶにしても、準備なしで動くと損をするのは自分」と警鐘を鳴らす。では、離婚後に苦しまないための「事前の準備」とは何か。また、多くの女性が憧れる「卒婚」を成立させるために必要な条件とは。
今回は岡野氏に、熟年離婚を考える女性が陥りやすい罠と、離婚後の生活を安定させるための絶対ルールについて話を伺った。全4回の第4回。
みんかぶマガジン連載「絶対に損はしたくない!泥沼離婚のマネー戦略」第4回
目次
「同居人」になっていませんか?熟年離婚予備軍に共通するサイン
——熟年離婚を考えている方に、共通して見られる状態はありますか?
「会話が事務連絡のみ、一緒にいると疲れる、将来の話をしない、感謝も謝罪もない。これが揃っていたら、もう夫婦ではなく同居人です。気づかないうちにそうなってしまっているケースが多くて、この話をすると『あ、うちそうだ』とはっとされる方が多いですね」
——熟年離婚に踏み切るきっかけはどんなことが多いですか?
「夫の退職、子どもの独立、介護問題などが多いです。ただ、これらが原因というよりは、引き金になるという表現の方が正確だと思います。根底には、この人と残りの人生を歩めないという気持ちがずっとあった。それが表面化するタイミングがこうした節目なんです。70代、80代まで生きる時代になって、あと20年この状態が続くのかと考えたとき、もう限界だという気持ちが噴き出す。そこから準備に入る方が多いですね」
熟年離婚を考える女性は、一時の感情で動いているわけではない。長い年月をかけて積み上がった疲弊と、老後への現実的な不安が重なったとき、初めて「準備」を始める。だからこそ、その覚悟を正しい形で実現するための知識が必要になる。
離婚後に安定する女性と苦しくなる女性、その差はどこにあるのか
——離婚後の生活が安定する方とそうでない方、違いはどこにあると思いますか?
「安定する方に共通しているのは、事前にお金の流れを把握している、働く準備をしている、相談先を持っているということです。逆に苦しくなる方は、なんとかなると思っている、情報を取らない、プライドで相談できない。ここで差がつくんです」
——準備をしない方が多い理由は何だと思いますか?
「感情的になっているからです。早く出たい、もう嫌だという気持ちが先に立ってしまって、細かいことを考えられない。でも離婚してから生活費が足りないと気づいても、そこから立て直すのはとても難しい。熟年になると、次の仕事を見つけるのが難しい方もいます。だからこそ、まだ婚姻関係が続いている間に、婚姻費用をもらいながら時間をかけて準備を整える。その時間が後の安定に直結するんです」
離婚はゴールではなく、新たな人生のスタートだ。離婚した後の生活をどう作るか、それを見据えて準備した人だけが、離婚後に本当の意味で自由になれる。