東大卒の父は50歳で脱サラ、母は新宿駅前で歌う…教育起業家が語る「完全放置」の家庭

「子ども時代、我が家は完全放置でした」——世界各地で教育事業を展開する起業家は、自身の育ちをそう振り返る。
松田悠介氏は、グローバル人材育成事業を手がける教育起業家だ。海外進学塾として世界最大級の規模を持つ「Crimson Education」と、オンラインのインターナショナルスクール「Crimson Global Academy」を運営。
体育教師、教育委員会での勤務、ハーバード教育大学院への留学、NPO法人Teach For Japanの創業を経て、現在の事業に至っている。
本稿では、まず現在の事業の全体像と、その原点にある4人兄弟の家庭環境について聞く。全3回の第1回。
みんかぶマガジン連載「天才たちの育ち方」
世界30カ所で教育事業、それでも自身の家庭は「教育熱心とは真逆」
現在、私が手がけているのは主に2つの事業です。1つ目は、海外進学塾「Crimson Education」の日本展開を担う「Crimson Education Japan」です。Crimson Educationは世界最大級の海外進学塾として世界30カ所で展開しており、合格実績世界No.1を掲げています。ハーバードやスタンフォードで実際に入学審査官を務めていた人材が支援に入り、合格基準から逆算した学習計画の策定と実行をサポートしています。
もう1つが、オンラインのインターナショナルスクール「Crimson Global Academy」です。少人数制・習熟度別の個別最適な学びによって、同じ内容を学ぶ時間をおよそ半分に圧縮し、空いた時間を課外活動や探究に充てられるようにしています。
教育を生業にしている私ですが、自分自身が教育熱心な家庭で育ったかというと、まったくそうではありません。むしろ、正反対でした。
両親とも経済的に厳しい家庭出身。それでも4兄弟には「あれをやれ」と言わなかった
私は4人兄弟の長子です。家庭の教育方針は、一言で言えば完全放置でした。4人とも、これをやれ、あれはやるなとは、ほとんど言われた記憶がありません。「自分の人生は自分で切り開くしかない」という考え方が、家庭の空気として強くありました。
私の両親はともに、ひとり親家庭で育っています。そして、両親の育った環境を考えれば、私自身も貧困の連鎖によって経済的に厳しい家庭で育っていてもおかしくなかったと思います。それでも両親は、与えられた環境のせいにするのではなく、自分の力で状況を切り開いていく生き方を選んできました。