これから東大や国立医学部の進学実績を伸ばしそうな中高一貫校3選…「附属校」のイメージを超え始めた理系進学校、伸び盛りの進学校、知られざる伝統校の復活
中学受験生を持つ親であれば、志望校選びに頭を悩ませている時期だろう。御三家などの鉄板の人気校だけではなく、これから伸びる学校にも目を向けたい。受験評論家のじゅそうけん氏が、そんな学校群を紹介するーー。
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これから伸びる学校の共通点
毎年3月になると、教育界では東京大学合格者数ランキングが大きな話題となる。開成や筑波大学附属駒場、灘、聖光学院、渋谷教育学園幕張といった常連校の数字を見て、受験関係者が一喜一憂する光景は、もはや春の風物詩である。
しかし、中学受験を考える家庭にとって本当に重要なのは、直近のランキングではない。
現在小学6年生の子どもが大学入試を迎えるのは6年後である。見るべきなのは、すでに完成された学校の現在地よりも、これからどの学校が伸びていくのかという点だ。
中学入試における入学者層が上昇していること、東京科学大や旧帝大などへ進む理系上位層が厚くなっていること、そして東大や医学部を目指すことが特別ではない校内文化が形成されていることなど、伸びる学校には共通点がある。
今回は、こうした観点から、今後東大や国立医学部の実績をさらに伸ばす可能性を持つ学校3校を取り上げたい。
これから東大、医学部への実績を伸ばしそうな一貫校その1。 「附属校」のイメージを超え始めた理系進学校
最初に取り上げるのは、東京農業大学第一高等学校、通称「農大一高」である。
校名だけを見ると、東京農業大学への内部進学を前提とする附属校を想像する人も多いだろう。
しかし現在の農大一高は、実態としては他大学受験を主軸とする進学校へ変貌している。
2026年は卒業生310人に対し、東大3人、京大1人、一橋大2人、東京科学大3人を輩出した。国公立大学の合格者は81人に達し、医学部医学科でも国公立4人、私立22人の合格者を輩出している。
東大についても2023年度3人、2024年度1人、2025年度5人、2026年度3人と少人数ながら継続的に合格者が出ており、「時折東大合格者が出る学校」から「毎年東大を狙える学校」へ移行しつつある。
注目したいのは、東大合格者数そのものより、その背後にある理系層の厚さだ。2026年は北海道大4人、東北大5人、筑波大4人、東京農工大6人など、難関国立大へ幅広く合格者を送り出した。医学部医学科の合格者も前年の国公立3人・私立6人から、国公立4人・私立22人へ増えている。
東大や国立医学部の実績は、ある日突然伸びるわけではない。上に挙げたような上位大学を狙える理系集団が形成され、その中の最上位層が東大や医学部に届くようになる。
農大一高はまさにその過程にある学校と言える。
また、同校の特色を象徴するのが、「知耕実学」という教育理念である。本物に触れる実学を通じて知を耕すという考え方で、単に知識を暗記するのではなく、体験から仮説を立て、検証し、考えて表現する過程を重視している。
系列の東京農業大学との連携を生かした米や大豆の研究、農場での実習、フィールドワーク、理科実験など、教室内の座学で完結しない学びが多いのも特徴だ。必ずしも医学部だけに照準を合わせた学校ではなく、農学、生命科学、環境、工学などを含めて、理系分野への関心を育てる土壌がある。
2025年には完全中高一貫体制へ移行しており、6年間を見通した教育を行いやすくなった。世田谷区という立地に加え、共学校人気という追い風もある。堅実で実践的な校風の中で、理科実験や探究活動に積極的に取り組みたい生徒には相性の良い学校だろう。
校名から抱かれやすい附属校のイメージと、実際の進学実績との間にはまだギャップがある。このギャップが受験市場に広く認識されれば、優秀な生徒がさらに集まり、東大や国立医学部の実績が一段上がる可能性は高い。