サピックス偏差値40台からトップクラスの中高一貫校に合格!逆転合格を実現するための中受過去問演習戦略を教育投資ジャーナリストが徹底解説
中学受験生にとって、小6の秋は過去問演習に取り組み始める時期だ。親御さんも、どのように取り組むか悩まれている頃だろう。教育投資ジャーナリストの戦記氏が、過去問演習についての自身の体験と知見を余すところなく解説するーー。
みんかぶプレミアム特集「秋から偏差値爆上げ! 逆転の中学受験戦略」
サピックス偏差値40台からトップクラスの中高一貫校に合格
教育投資ジャーナリストの戦記(@SenkiWork)と申します。
2027年中学受験シーズンが近づいてきました。中学受験の「過去問」は、多くの御家庭で「小6の夏休み以降に、志望校の問題を解く教材」と位置付けられているのではないでしょうか。大手塾のカリキュラムも、概ねそのような設計になっています。
しかし我が家では、サピックスの「有名中学入試問題集」(通称「有名中」)を使い、娘が小4の頃から実際の入試問題に触れてきました。そして小6の夏からは、声の教育社が学校別に発行している「過去問」に切り替え、本番直前まで解き続けました。
今回は、2016年6月から続けているブログ『戦記』(senkiwork.com)にリアルタイムで記録してきたファクトをもとに、過去問の活用法を時系列で整理し、過去問の使い方を議論してみたいと思います。
最初に申し上げますが、娘は2022年の中学受験において第一志望群の女子校として2校を本気で受験しましたが、完勝したわけではありません。しかし、小1サピックス偏差値42というどん底から開始した試行錯誤の旅路の結末としては、大変満足しております。我が家の過去問の使い方は少しユニークだと思いますが、読者の方々の参考になれば幸いです。
過去問を解き始めるのは、早ければ早いほど良い
私が「有名中」の存在を知り、実際に入手したのは、娘が新小3になる2018年1月のことでした。当時のブログには「試験モノは全て同じですが、過去問からスタートしないと効率が悪すぎます」と書いています。受験であれ仕事であれ、プロジェクトは段取り八分です。ゴールを知らなければ、段取りは組めません。
では、過去問から何が分かるのか。テストの過去問を解く意味について、2018年5月には、①難易度、②傾向、③形式、の3点が分かると整理しました。過去問があるのにそれを分析せずに受験するのは、もったいない。きちんと対策をして試験に臨む受験者は一定数いるからです。そして、「最大の公開テストは入試本番である」とも書き残しています。
実際、新小3の2月に厚さ5cmの有名中を全ページめくってみただけでも、学びは多くありました。国語は、このレベルの文章を読解できる力がそもそも必要になること。算数は、立体図形・回転体・切断が目立ち、早めに各単元を押さえることが大事であること。理科は、知識の背後にある「原理」と、それを「利用」する力が問われること。社会は、正確な漢字表記を早いうちに確実にすることが大事であること。低学年であっても、ゴールから逆算して「ざっくりとした仮説」を持てることに意味があると感じました。
親が有名中を読む順序にも工夫があります。①解答用紙、②解説解答、③問題用紙、の順です。解答用紙の枠を見れば、記述偏重なのか選択肢偏重なのかが一瞬で分かります。解説解答を読めば、求められる記述の量と質が分かります。これで、短時間で「小6の2月に到達すべきゴール」を把握できます。問題用紙から読み始めると、時間切れになるか、永遠に開始されません。
そして、子供自身が解くことで「ゴールとの距離」が分かります。2021年2月のブログでは、組分けテストやマンスリーテストを「腕相撲」、入試本番を「総合格闘技」に例えました。塾のテストでも立ち位置は分かりますが、入試とは形式が大きく異なります。本番が総合格闘技であることを最速で知るには、有名中の入試問題を1校で良いから解いてみることです。
娘の受験本番を目前にした2022年1月、後輩の保護者向けに書いた結論は「過去問を解くのは早ければ早いほど良い」でした。中学受験の学力は、永遠に完成しないからです。「小6のGWになったら」「夏前になったら」と考えがちですが、結局は入試前日まで完成しません。過去問を大事に取っておく理由は、どこにもありません。
今の自分とゴールとの距離感を把握しながら塾の授業を受けるのと、距離感を意識せずに漫然と受けるのとでは、大きな違いが生まれます。「自分には何が足りないのか」を認識する最強のツールが、過去問なのです。
小4からでも過去問は解ける
「過去問は受験直前に解くもの」という固定観念を外すと、過去問は小4からでも使える教材になります。ただし、使い方には工夫が必要です。我が家の方針はシンプルで、「娘が絶対に受験しない学校の問題を解く」ことでした。娘は女子なので、男子校を受けることはありません。本番で受けない学校なので緊張せず、いわば「レジャー」として解くことができます。以下、ブログの記録をもとに時系列で整理します。
- 時系列の要約
- 新小3の1月(2018年):有名中を入手
- 小4の8月(2019年):国語(読むだけ)
- 小4の10月(2019年):社会(歴史分野)を解き始める
- 新小5の2月(2020年):国語(口頭で解く)
- 新小5の3月(2020年):社会(地理・歴史)を本格化
- 小5の4月(2020年):算数(図形問題を一部)
- 小5の8月(2020年):理科
- 新小6の1月(2021年):国語をテスト形式で解く
- 小6の7月(2021年):サピックスの有名中が始まり、算数も本格化
①新小3(2018年1〜2月):有名中を入手し、「実験」してみる
有名中の存在に気が付いたのは、SPICAの図書コーナーでした。平成28年度版と平成29年度版を入手し、私が眺めていたところ、娘が「あ、私これ解けるかも!」と反応しました。H28聖光学院の理科(浮沈子)の問題で、前年にサピックスの理科実験で扱った内容でした。また、「ホンモノの受験問題の方がワクワクする!」という娘に、H28桜蔭の算数の計算問題を出したところ、4分16秒かけてミスなく正解しました。この段階はあくまで「実験」ですが、本物の入試問題が子供の知的好奇心を刺激することが分かりました。
②小3の10月(2018年):国語の出題作品から読書リストをつくる
有名中は、読書のヒントの宝庫でもあります。国語の長文読解の出題作品を眺め、娘が食いつきそうな作品を約30冊リストアップし、図書館で予約して本棚に並べました。読まなければそれまで、という気楽な使い方です。
③小4の8月(2019年):有名中の国語を「読む」
小4の夏、娘の読書選択が難しくなってきました。岩波ジュニア新書では簡単すぎ、大人向けの文庫ではハードルが高い、という端境期です。そこで、有名中に掲載されている国語の文章を「読む」ことにしました。ポイントは、「読む」だけで「解かない」ことです。解くことを前提にした読書は、あまり面白くないからです。最初の1校は2018年開成で、娘は5分で読み終え「すごい面白い!」と反応しました。
その後、以下のルールに落ち着きました。
- 有名中は2冊用意する。裁断しない。
- 親子で同じ文章を同時に読む。
- 読後に意見交換をする。
各中学校の先生が1年をかけて選んだ文章なので、面白くないはずがありません。娘も「さすが、いろいろな中学校の国語の先生が選んだ文章だから、どれも面白いね」と言っていました。また、有名中の解答用紙集を見せたところ、記述の枠しかない解答用紙(通称「弁当箱」)に娘は大喜びしました。各校が求めるアウトプットが一目で分かるので、低学年の保護者ほど見ておく価値があります。
④小4の10月(2019年):社会(歴史分野)を実際に解き始める
娘が有名中の問題を実際に「解き」始めたのは、小4の2019年10月12日です。最初の1問は、2018年慶應普通部の社会の歴史分野(大問4・5)でした。正答率は50%程度です。
この企画の目的は、「できないこと」を確認するための実験でした。サピックスで歴史が始まるのは小5の10月です。「小6の夏前に歴史の基礎ができていない場合、何が起こるのか」を1.5年前に体験しておく、というのがゴールでした。
解き方は、試行錯誤の末に以下に落ち着きました。
- 有名中をB4でコピーする。問題用紙には書き込まない。
- 答えはB4の白紙に書く。
- 解答もB4でコピーし、娘が自分で丸付けをする。
- 復習は、学校別の束を見ながらB4の白紙に解き直すだけ。
対象は、娘が受験することのない学校として、男子校と、受験の可能性がない共学校から18校を選びました。小4の12月に18校分を終え、この時点で6割程度は取れる状態でした。
12月からは2回転目に入りましたが、ここで面白いことが起きます。10月に初見で解いた問題を再び解くと、同じところが出来ていないのです。間違えた問題は宝の山です。2020年3月に3回転目に入った際、娘自身も「間違えるところは、ほんといつも同じなんだね」と言っていました。
⑤新小5の2月(2020年):国語を「口頭で解く」
2020年2月からは、2019年の有名中の国語に進みました。今度は実際に問題を解きますが、記述は書かず、親子で議論して要旨のみを言うルールです。娘が男子校を受けることはないので、最初の開成から順に男子校を潰していきました。
⑥新小5の3月(2020年):社会を本格化、そして失敗
ここで私は一つ失敗をしています。2018年の有名中から「歴史」部分だけをコピーしていたのです。最初から社会全部をコピーしておけば、地理も、来るべき公民も、そのまま解けました。そこで2019年の有名中は、男子校17校分の社会全部をコピーし直しました(2時間かかりました)。
サピックスの白地図トレーニングと歴史年表第1部、四谷大塚の小5社会演習問題集(上下)が完了したことから、2020年3月16日に2019年開成の社会(公民を除く)から本格的に開始しました。正答率はざっくり50%でした。娘は「サピックスや四谷の知識では不足することが分かる」と話していました。
新小5の3月時点で、以下のように整理しています。国語・歴史・地理は家庭学習で対応でき、やろうと思えば小4からできる。一方、算数・理科・公民は、塾の授業を受けた後でないと効率が悪い。
⑦小5の4月(2020年):社会の男子校17校を終え、算数にも触れる
2020年4月24日のラ・サールで、2019年の男子校17校の社会を解き終えました。娘は17校を解いた結果、「県のマーク・鳥・木・花」や「政令指定都市」は全て暗記しておいた方が良い、と自分で気付きました。複数校を横断して解くからこそ得られる学びです。その後は2018年分へ進みました。
算数は、2020年4月に「消去法的に」始めています。ジュニア算数オリンピックを受けるかどうかが決まらない中、娘が図形問題を解きたいというので、2019年武蔵の大問2と2019年早稲田の大問2(1)を解きました。小5の4月でも、解ける問題はあります。
⑧小5の8月(2020年):理科を開始(サピックスより1年前倒し)
理科は、四谷大塚の演習問題集(小5分野)、コアプラスの暗記、サピックスの小5理科基礎トレを終えた段階で、2020年8月に開始しました。社会は知識問題なので難易度をあまり考慮せず開成から解きましたが、理科は難易度の差があるため、有名中の後ろのページの学校から解きました。1校目の2019年世田谷学園は、試験時間30分のところ38分かかり、29点/50点(58%)でした。
サピックスが有名中を配布するのは例年7月なので、小6生が過去問を解き始めるのは7〜8月になります。娘はそれよりも1年前倒しで理科に取り組んだことになります。ここまでで、国語(小4の8月)→社会(小4の10月)→理科(小5の8月)の順序で駒を進めたことになります。
⑨新小6の1〜2月(2021年):国語をテスト形式に、社会は50校に到達
2021年1月24日、有名中の国語を正式にテスト形式で解き始めました。1校目の2020年世田谷学園は、47分/50分で81点/100点でした。
社会は、2021年2月までに、フルセットで33校、公民を学ぶ前の地理・歴史のみで17校、合計50校を解き終えました。受験本番の1年前の時点で、社会の過去問を解き終えている状態です。2回転目の1校目、2018年開成は72%でした。理科は2019年開成まで16校を解き、合格最低点のすぐ下くらいの状況でした。
そして2021年2月1日、四谷大塚の桜蔭入試同日体験受験で、社会は1年前倒しで合格水準に到達していることが確認できました。
⑩小6の7月(2021年):サピックスの有名中が始まる
小6の7月、サピックスの指示に従い、有名中が本格的に始まりました。我が家では、過去の学びを活かして裁断はせず、B4コピーで運用しました。算数を過去問として本格的に解き始めたのは、この時期です。
⑪有名中の運用のコツ
数年間の試行錯誤から、有名中の運用は以下に落ち着きました。
- 裁断しない。B4でコピーする。
- 科目ごとに、問題用紙・解答用紙・解説をB4でセットにする(見直しと復習が圧倒的に楽になる)。
- 同じ日に同じ科目を何校分も解かない(記憶が混ざる)。
- コピーの在庫は、各科目5校分くらいあれば困らない。
有名中は年度が古くても十分に使えます。我が家では過去年度の有名中をメルカリで購入し、コレクションしていました。2021年1月には、2021年組が手放したとみられる2020年版も入手しています。
⑫後輩へのアドバイス(2022年1月)
娘の受験本番の直前、2022年1月に、新小6の保護者から「過去問の解き方は何がベストか」と質問を頂き、以下のように回答しました。
- 解く順序は、社会→理科→国語→算数。サピックス上位200位に安定的にいる層を除けば、能力的に解けない順序が算数→国語→理科→社会だから。社会はやればやるほど記憶の複利効果が発揮されやすいので、最初に取り組むべき。
- 男子は女子校、女子は男子校の過去問を解く。絶対に本番で受験しないので、緊張しない。
- サピックスの言う「Aタイプ」(知識系)の学校を選ぶ。「Bタイプ」(記述系)は、親も子も採点に困る。
- 具体的には、男子校なら立教新座・学習院・世田谷学園、女子校なら浦和明の星・大妻・共立女子。1冊ずつ選ぶなら「学習院」と「大妻」。クセが無く、小5が1年前倒しで挑戦するには程よい距離感になる。
なお、サピックスが小6の夏前に配布する「有名中学入試問題集 難易度表」は、各校の問題を科目別に「Aタイプ・ABタイプ・Bタイプ」×「標準・応用・発展」で分類しており、学校選びの参考になります。
- 重要なブログ記事
・2018年2月12日:新小3/有名中:H28の問題集を俯瞰しての所感
https://senkiwork.com/entry-12352204886.html
・2019年8月4日:小4/国語:有名中の国語(①問題を「読む」方法論を模索)
https://senkiwork.com/entry-12501330416.html
・2019年8月8日:小4/国語:有名中の国語(③有名中を2冊用意し一緒に読むのがベスト)
https://senkiwork.com/entry-12502752202.html
・2019年9月21日:SenkiChat:「有名中」の読み方
https://senkiwork.com/entry-12527916446.html
・2019年10月14日:小4/社会:有名中の歴史分野(事前調査)
https://senkiwork.com/entry-12535534766.html
・2019年10月22日:小4/社会:有名中の歴史分野(2018年は18校で確定、解答の導入)
https://senkiwork.com/entry-12538228295.html
・2020年3月4日:新小5/有名中シリーズ:今後の展望
https://senkiwork.com/entry-12579603489.html
・2020年3月10日:新小5/有名中の歴史:やり方を失敗しました
https://senkiwork.com/entry-12581055300.html
・2020年3月16日:新小5/有名中の社会:2019年開成から開始する(除く公民)
https://senkiwork.com/entry-12582565825.html
・2020年4月10日:小5/有名中の算数:消去法的に開始/2019年武蔵大問2、早稲田大問2
https://senkiwork.com/entry-12588483478.html
・2020年8月9日:小5/有名中の理科:開始することにします
https://senkiwork.com/entry-12616643879.html
・2021年1月24日:新小6/有名中の国語:1校目/2020年世田谷学園
https://senkiwork.com/entry-post-65380.html
・2021年1月25日:新小6/サピックス:有名中のコピー
https://senkiwork.com/entry-post-65415.html
・2021年2月11日:新小6/有名中の社会:フルセット33校 + 地理・歴史 17校 = 50校
https://senkiwork.com/entry-post-65831.html
・2021年2月11日:スタディアップ:社会先取りのトラックレコード
https://senkiwork.com/entry-post-65821.html
・2021年6月27日:小6/サピックス:2022年度受験用「有名中学入試問題集 難易度表」
https://senkiwork.com/entry-post-69651.html
・2022年1月18日:新中1/2023年組へ:現小5(=新小6)向けの過去問の解き方