投資を始めた40代が知っておきたい!マネーコンサルタントが教える「定年後の出口戦略」

新NISAの開始以降、インデックス投資に踏み出す現役世代は一気に増えた。毎月積み立てをしながらも、「本当にこのペースで老後資金は足りるのか」という不安の声も多い。
「オルカンやS&P500を毎月必死に積み立てをしている人は多いかもしれません。そんなみなさんに朗報です。大丈夫です。老後はなんとかなります」。マネーコンサルタントの頼藤太希氏は断言する。
そもそも老後に必要なお金はいくらか。ゆとりある老後を送るにはいくら必要か。定年前後で取るべきお金の戦略とはー。
ライフプランニングと資金戦略のプロが語る、いまからやっておくべき人生戦略。連載全3回の第1回。
目次
最低限、夫婦で1000万円あれば「なんとかなる」
老後のために、いくら貯めておけばいいのかー。現役世代の多くが抱える不安ですが、私がよく申し上げているのは、最低限の医療費と介護費さえあれば、基本的になんとかなるということです。
具体的には夫婦で1000万円あれば大丈夫。「え、それだけでいいの?」と驚かれるかもしれません。もちろん、これはあくまで「最低限、生活が成り立つライン」です。ゆとりある老後を送りたいのであれば、もう少し資産を積み上げておく必要があります。
ただ、65歳時点で「1人あたり500万円」という最低ラインが見えていれば、過剰な不安からはかなり解放されるはずです。
なぜ、500万円で足りるのか。大きな理由の一つは定年を過ぎると生活費が低下することです。一般的に定年後の毎月の生活費は、現役時代(50代)の「0.7掛け」程度に下がります。
皆さんの毎月の家計を考えてみてください。住宅ローン・子どもの教育費・将来への貯金が出費の多くを占めているのではないでしょうか。
しかし、定年後は住宅ローンの返済が終わっている、子どもが独立している。そうなると、これまで大きな比重を占めていた支出が一気に減るんです。
通勤が減れば外食や飲み会も減り、スーツなどの被服費も減ります。
それに加えて、老後は将来のための貯蓄をする必要がなくなります。現役時代のお金は、「収入=生活費+将来への貯蓄」という構造でした。ところが定年後は、「将来への貯蓄」という項目がそもそも必要なくなります。
働けるうちは、無理なく働くべき
老後の捉え方を変えるうえで、もう一つ重要なのが「働き方」です。昔のように、60歳で完全に引退してあとは年金生活、という人は今や少数派。健康寿命も伸びていますし、男性だと75歳まで働いている方が4割に達します。
「働きたいときに働ける」状態を維持しておくこと自体が、老後最大のセーフティーネットになります。健康なうちはある程度働き続ける方が、現実的な選択肢として広がっています。
働くことは、収入面だけでなく、生きがいや社会との接点という意味でも大きな意味を持ちます。完全に引退してしまうと、意外と生活に張りがなくなってしまいます。月5〜10万円と無理なく働く「ちょい働き」くらいの感覚で、マイペースに働けると老後の資金的な余裕や選択肢が大きく広がります。
「老後も働き続けるのか」と悲観しないでください。60歳から65歳くらいまでは月30万円、68歳くらいからは月20万円、70歳からは月10万円。こんなふうに、段階的に勤労収入を下げていき、働けるうちは無理のない範囲で働きつつ、徐々に余暇を楽しみましょう。
働き口は、思っている以上に多様です。今はクラウドソーシングのようなサービスを通じて、自分のスキルをオンラインで提供することもできますし、ネットを使って小さく副業を始めるハードルもぐっと下がっています。
これまで会社で身につけてきたスキルや経験を、フリーランス的に切り売りする働き方も一般的になってきました。もちろん、地域に関わる仕事や、趣味を活かした小商い、若い世代に教える働き方を選ぶ方もいます。一つの会社に縛られていた時代とは違って、自分の関心や得意を軸に働き方を選べるのが、定年後の面白いところです。
しかも、人の手や経験が必要な仕事は、AIに代替されにくい領域として残り続けます。今後も働き口は十分にありますから、「働きたいときに働ける」状態は維持できます。
定年前後でみなさんの収入は下記のように変わります。
・ 現役時代:勤労収入のみ(生活費+将来への貯蓄)
・ 老後前半(65歳〜75歳ごろ):勤労収入+年金+資産運用収入
・ 老後後半(75歳以降):年金+資産運用収入+資産取り崩し
基本的なお金の使い方は「生活費は年金から、ゆとり資金は勤労収入・資産収入から使う」というものです。大切なのは、いきなり勤労収入をゼロにしないこと。完全引退ではなく、段階的に勤労収入を下げていく形が、現代の老後の主流です。