触った数は多いのに、納品した数はゼロ。茶圓氏が明かす「AIで稼げる人」と「触って終わる人」の決定的な違い
「AIが使える人だけを採りたいとは思っていない」——AI企業の経営者が、あえてそう語る理由がある。
前回は、株式会社デジライズの茶圓将裕氏に企業のAI活用における温度差や定着しない理由に加え、新しいAIに振り回されず成果を出すための「仕事の型」と「環境づくり」について聞いた。最終回となる今回は、AIエージェント時代に人間に残る仕事の価値と、AIで稼げる人と触って終わる人を分ける違い、そして今日からできる最初の一歩について聞く。全3回の最終回。
みんかぶプレミアム連載「AI富裕層への最短ルート」
AIは選択肢を何十個でも出せる。それでも人に残る、5つの仕事
AIは、選択肢を何個でも出せます。しかし、そのどれを選ぶか、どこまでやり切るか、どう事業につなげるかは、いまも人が握っています。
今後も人間に残る仕事は5つだと思っています。
1つ目は「問いの設計」。AIには、本当にあなたがやりたいことの目的やゴールは設定できません。
2つ目は「判断」。出てきた案の良し悪しを見分ける精度は、その領域でどれだけ判断をしてきたかで決まります。
3つ目は「責任」。決裁する、約束する、間違えたときに謝るなど、人と人とのコミュニケーションは必要です。
4つ目は「顧客理解」。現場で何が止まっているか、社内のどこを動かせば事業が進むかなど、現場を理解していなければ、結局何を進めていいのか分かりません。
5つ目は「組織設計」。どこまでAIに任せて、どこで人が確認して、事故が起きたらどう戻すか。この設計そのものが仕事になってきています。
AI時代に価値が上がるのは「現場を知る人」。目利きと接客経験が武器になる理由
よく「AI時代は人がいらなくなる」と言われますが、私は逆だと思っています。誰もが強いAIを使えるようになるほど、何を見るか、何を問うか、どこまでやり切るかの差が開いていきます。
例えば弊社がAI導入を支援した会社に、フランスから超高級ワインを輸入して、日本の高級飲食店に卸している会社があります。現地に足を運んでワインを選ぶ目利きの職人がいて、どの顧客にどれくらいの本数を割り当てるかという、希少性を踏まえた顧客リストの管理をしていました。レストランや酒屋への優先順位づけは、現場に立って初めて分かる勘所です。そこをヒアリングして整理し、AIで管理できる形に落とし込む提案をしました。現場感が分かり、お客様とコミュニケーションが取れる人でなければ、この提案自体ができません。
もう1つの例を挙げると、もともとアパレル業界で対面の仕事をしていた女性が、弊社に入ってインサイドセールス職で働いています。弊社はAIを扱う会社ですが、AIの知識があるかどうかより、まずは業務理解力の高い人を積極的に採用しています。
AIは、自分自身の「仕事の構想」「やりたい仕事のイメージ」があればサポートしてくれます。自分でも気づいていなかった能力に気づかせ、職域を広げてくれるところが、AIを使った仕事の面白さだと思います。
つまり、現場を知っている人、お客様の解像度が高い人、自分で手を動かして最後までやり切れる人。そこにAIがかけ合わさると、人間の価値が何倍にもなります。「現場知とAI活用と実行力の掛け算」です。現場を知っている人ほど、AIとの掛け算で、その人の値打ちはむしろ上がると確信しています。