「ガソリン210円超の悪夢と台湾有事リスク」資源小国・日本を救う高市首相の危機管理投資

高市早苗政権がいよいよ“高市カラー”を前面に押し出す。注目は、中国を念頭に入れた経済安全保障の強化だ。中国によるレアアース(希土類)の輸出規制やイラン情勢の悪化などで「資源小国・日本」は厳しい状況に直面しており、新たな対応が迫られている。「日本列島を強く豊かにしていく」と表明した高市首相は一体、何をしようとしているのか。経済アナリストの山田隆氏が「カラー」の意味を紐解く。
みんかぶプレミアム特集「トランプ、習近平、高市の本音」第5回。
目次
ガソリン210円超の衝撃…「資源小国」日本の脆さ
まず、大前提として国民が認識しておく必要があるのは日本が「資源小国」である点だ。米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けて、ガソリン価格が一気に1リットル200円を超えるガソリンスタンドが見られた。日本は輸入原油の9割を中東に依存しており、原油輸送の要衝・ホルムズ海峡の航行リスクに伴い供給懸念が高まれば当然の流れと言える。
高市政権はガソリン補助金を復活し、全国平均の小売価格を「1リットル170円程度」に抑制する手を打っている。これがなかった場合には「210円超」となる計算だ。問題は、原油の供給懸念が幅広いモノの価格に影響する点にある。石油化学製品はナフサ(粗製ガソリン)、そして原油が元となる。石油由来のマスクや洗剤、ペットボトルなど幅広い製品が影響を受け、電気料金も原油の価格を算定根拠にしている。輸送コストの負担増に伴い食料などの価格にも跳ね返るわけだ。
なぜ高市政権は中東依存の脱却を急ぐのか…新・エネルギー戦略の全貌
資源エネルギー庁によれば、石油備蓄は国が国内消費量の146日分(昨年12月末時点)を備蓄基地に保管し、民間と合わせれば約8カ月分の備蓄がある。高市首相はイラン情勢の悪化を受けた原油の安定供給に対応するため、石油の国家備蓄の放出を決めたが、先行きが見えない状況はリスクを伴う。
このため、首相は「中東以外からのナフサ輸入量を倍増する」としており、中東以外からの新たな調達も強化しようとしている。こうした一極集中からの脱却は、中国によるレアアース(希土類)の輸出規制も踏まえれば当然の観点である。
高市首相は2月の施政方針演説で「エネルギー安全保障の観点からは、省エネ技術の活用を進めるとともに、国産エネルギーを確保することが重要だ。サプライチェーンの強靱性確保を図りながら、脱炭素電源を最大限利用する」と語っている。これはエネルギー・資源安全保障が国家としての重大なテーマであると再認識した上で抜本的に強化していくと表明したことを意味する。
日銀が発表した3月の企業物価指数は前年同月と比べ2.6%上昇した。前月比0.8%の増加であり、原油価格の高騰は企業間の取引価格にも大きな影響が生じている。もちろん、日本だけのことではない。4月10日公表された3月の米消費者物価指数を見ると、前年同月比3.3%も上昇している。原油価格の変動に端を発し、輸入価格や生産コスト、販売価格へと波及していけば、世界中の企業や人々が影響を受ける。