建設倒産“過去10年最多”の衝撃…社長が警鐘を鳴らす「危険な会社の共通点」

帝国データバンクは2026年1月、2025年に発生した「建設業」の倒産件数が、過去10年で最多となる2021件だったと発表した。現在、中東情勢の悪化により、苦境に立たされている建設会社は少なくない。2026年の倒産件数は、前年をさらに上回る可能性もある。今後、「生き残れる建設会社」になるためには、どのような経営戦略が必要なのか。今回、主に鳶工事や鍛冶工事、基礎工事などを手がける、東京都大田区に本社を置く建設会社「株式会社野谷組」の代表取締役社長であり、SNS総フォロワー30万人を数える“野谷のオヤジ”こと野谷朋也氏に、「生き残れる建設会社」になるために必要な考え方などについて話を聞いた。(聞き手・望月悠木)
目次
取引先1社依存は特に危険
――今回のような中東情勢の悪化を受けて、「生き残れる建設会社」と「厳しくなる建設会社」の違いはどこにあると感じていますか。
昔は腕が良ければ食べていける業界でした。もちろん今でも技術力は大前提として重要です。ただ、これからは技術だけでは生き残れない時代に入ったと感じています。実際、建設業界には技術力は高い一方で、経営面に課題を抱える会社が本当に多い。施工品質には誇りを持っており、現場力も高い。ただ、財務管理、資金繰り、営業、採用、情報収集といった部分を後回しにしてきた会社も少なくありません。
これまでは、それでも何とかなっていた部分がありました。多少景気が悪くなっても、工事が回っていれば耐えられた。ただ、今のように中東情勢による資材高騰や供給不安、人件費上昇、物流コスト増加といった“外部ショック”が同時多発的に起きると、経営の弱さが一気に表面化してしまいます。
特に倒産が危惧される会社の特徴
――特に危険だと感じている経営の形はありますか。
やはり“取引先1社依存”です。昔ながらの建設会社では、特定の元請け1社から継続的に仕事をもらう形が珍しくありません。それ自体は悪いことではなく、長年積み上げた信頼関係でもあります。
ただ、今はその元請け側ですら厳しい。案件延期や予算縮小、資材不足による工事停止も起きています。そうなると、1社依存の会社は一気に仕事が止まる。売上が止まれば、資金繰りも一気に崩れます。
現実問題として、「ずっと仕事をもらっていた現場が急に止まった」という話も増えています。建設業界は「今月の入金で今月の支払いをする」という会社も多く、1〜2か月止まるだけでもかなり危険です。
だからこそ、今後は「どれだけ取引先を分散できているか」が重要になると思います。営業を強化して複数の取引先を持つ、地域を広げる、新規開拓をする。昔ながらの“専属協力会社”の形だけでは、今後かなり厳しくなる可能性があります。