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「保守ってリベラルでしょ」自民党が喪失した寛容性と、コアな支持層だけを味方につけて憎しみを連鎖させるネット政治の病理

「保守ってリベラルでしょ」自民党が喪失した寛容性と、コアな支持層だけを味方につけて憎しみを連鎖させるネット政治の病理

 連載「鈴木エイトが読む、日本社会の“静かな違和感”」。第6回は、近年の選挙の裏で露骨になってきた「大衆を煽り、分断させる手法」に迫る。ネットやSNSで流れるデマや誹謗中傷によって、有権者の1票が意のままに操られているのではないか――。そんな「社会実験」のような不気味な現状にエイト氏が切り込んでいく。「昔は極右と呼ばれた自分が、今は左翼と呼ばれる」と語る石破茂氏の言葉から見える政治の基準のズレや、当選するためにネット受けを狙って過激な発言を繰り返す若手政治家のリアルな実態…現代政治が抱える「バグ」の正体を明らかにする。

目次

意のままに誘導される有権者。選挙を巡る動きに潜む「社会実験」の影

 この数年、様々な選挙を巡る動きを見ていて、大衆を扇動することで「ある種の社会実験が行われているのではないか」という感覚が拭えない。

 その社会実験とは、どのようにすれば大衆、つまり多くの人々の投票行動を思い通り、意のままに一定方向へ誘導することができるのかという類のものだ。具体的に抱くのは、デマや誹謗中傷などのマイナスの情報をSNS、YouTube等を介して拡散させることによって有権者の投票行動が一定方向に誘導され、民主主義の根幹をなす選挙が歪められてしまっているのではないかといった懸念である。

 この数年の選挙、兵庫県知事選、都知事選、参議院議員選挙、そして直近の参議院議員選挙と続く流れのなかで一層、その思いを強くしてきた。自民党総裁選における中傷動画問題もこの範疇に入るだろう。

もちろん実際には社会実験といったことではなく、様々な意図を持った人たちの策動の結果、そのように見えるというだけなのだろう。だが、何とも言えない嫌な感覚があるのだ。

24年前の「極右」が今や「左翼」に。大衆扇動が書き換えた政治の“正常な基準”

 これらの策動において顕著なのが、対立軸や分断を煽る手法である。日本人と外国人という対立事項を煽る排外主義はその最たるものだが、保守とリベラル、右派と左派といったざっくりとした分け方においても分断を煽る動きが見られる。これは、何らかの策動を行う側にしてみると敵と味方を分けた方が好都合となるのだろう。

 6月6日放送のTBSラジオ『プチ鹿島 赤坂タイムス』において、パーソナリティのプチ鹿島氏がゲスト出演した石破茂前首相に様々な問い掛けを行うなかで印象的なやり取りがあった。

ーー石破さん、「保守」とは何ですか?

 石破茂氏が即答する。

「保守ってリベラルでしょ」

 そしてこう続けた。

「いろんな人の意見を聴いていかないといけない」「保守とはイデオロギーとは思っていない」「自民党の本質は寛容性」「大勢の人たちの意見を聴き協調していって決断していかねばならない」

ーーその「寛容」は、今の自民党にあるんですか?

「少なくとも多数派としてはない」

 また石破氏は、24年前に初めて防衛庁長官に就任した際に「あの極右の石破が」と言われた自分が今や「左翼」と呼ばれると苦笑し「私の言っていることは24年前と今も何も変わっていない。座標軸が大きく動いた」と指摘した。石破茂という「座標軸」を見ても、基準が大きく動いていることが判る。私はその背景に、大衆扇動があると感じている。

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この記事の著者
鈴木エイト

ジャーナリスト・作家、「日本ペンクラブ」理事(言論表現委員会副委員長)、「日本脱カルト協会(JSCPR」理事、「やや日刊カルト新聞」主筆。カルト問題、宗教カルトと政界、カルトの2世問題、選挙、ニセ科学、HPVワクチン訴訟を取材、執筆。著書に『アンビバレント』(講談社)、『NG記者だから見えるもの』『「山上徹也」とは何者だったのか』(講談社+α新書)、『統一教会との格闘、22年』(角川新書/KADOKAWA)、『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』(小学館)、共著・編著多数

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