「連鎖倒産が起きかねない」中東情勢悪化で建設業界に異変…SNS30万人社長が語る「今、本当に怖いこと」

中東情勢の悪化が問題視されるようになって数か月が経過したが、事態は改善に向かっているとは言い難い。中でも深刻な打撃を受けている建設業界では、先行き不安から、事業継続か倒産かの選択を迫られている事業者も少なくない。そこで今回、主に鳶工事や鍛冶工事、基礎工事などを手がける、東京都大田区に本社を置く建設会社「株式会社野谷組」の代表取締役社長であり、SNS総フォロワー30万人を数える“野谷のオヤジ”こと野谷朋也氏に、建設業界の現状について話を聞いた。(聞き手・望月悠木)
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「連鎖倒産が起きかねない」
――建設業界は苦境に立たされていますが、野谷組の経営状況はいかがですか。
当社は、解体や土木など、ナフサ由来資材の不足や高騰の影響を比較的受けにくい建築関連事業を複数展開しています。また、建設関連でも躯体工事(柱や床など、建物の構造物を作ること)を展開していますが、躯体工事も資材の有無に大きく左右されるわけではなく、現時点では致命的なダメージには至っていません。
ただ、原油価格の上昇により、重機やダンプの燃料費は確実に増えています。「以前と変わらず仕事ができている」という状況ではないです。一応、政府の補助によってガソリン価格が一時的に抑えられた時期もありましたが、あれはあくまで一時的な措置に近い。根本的な解決にはなっていません。
また、仮に資材不足によって建築計画そのものが延期・中止になれば、当然躯体工事の案件も止まってしまう。こうした状況が続けば、経営への不安は一気に高まります。
――それでも、野谷組のように多種多様な事業を展開していることがリスクヘッジになっていると言えそうですね。
それはあると思います。例えば「塗装専門」「解体専門」のように、事業領域が限定されている会社は、現場が止まった時に別分野へシフトしづらい。特に建設業界は、一人親方や小規模事業者の割合が非常に高い業界です。規模が小さいほど事業の幅も狭くなるため、急激な環境変化に柔軟に対応するのは簡単ではありません。
加えて、現在は資材価格だけでなく、燃料費や人件費も上昇を続けています。もともと自転車操業に近い状態で踏ん張っていた会社も少なくありません。そのため、「この先の収益が見込めないから廃業する」という人もいれば、「今は持ちこたえているが、この状況が続けば危ない」と判断し、早めに会社を畳むケースも出てきています。
――苦渋の決断を下す同業者を見ていると、精神的にもつらいですね。
はい。ただ、精神的につらいだけではなく、仕事面への影響も非常に大きい。建設業界は、多重下請け構造によって成り立っています。一社だけで完結する仕事は少なく、多くの事業者が連携して一つの現場を動かしています。元請けがあり、その下に一次下請け、二次下請け、一人親方、職人がいる。だからこそ、一社が止まると影響が連鎖しやすい。
先述した通り、建築計画が延期や中止になれば、下請けの仕事も消える。その影響はさらに先の業者へ広がっていきます。「自社はまだ大丈夫」と思っていても、取引先が倒れた瞬間に資金繰りが悪化し、連鎖倒産が起きかねない。そこは非常に怖い部分です。