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「国策に売りなし」 中東危機後に求められる政策と株式市場が映し出す次の勝ち組

(c) AdobeStock

中東情勢の緊迫化により、企業も個人も経済的打撃を受けているが、日本政府はいかなる政策を打つべきか。そして、先が読めない現在、投資先はどのように見極めれば良いのか。第一ライフ資産運用経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏に話を聞いた。(聞き手・望月悠木)

目次

資金繰り支援と税制措置

――政府は今回の中東情勢悪化に対して、どのような対策を講じるべきですか。

 短期・緊急対策としては、まず資金繰り支援策が必要です。コロナ禍のゼロゼロ融資ほどの規模でなくてもいいですが、特に中小企業が突然のコスト高騰に直面して倒産に追い込まれる事態を防がなければいけない。「企業すべてに」というわけではなく、ある程度の見極めは重要ですが、そこへの手当ても必要です。

 税制面では、ガソリン系の暫定税率廃止に加え、ナフサの負担軽減策も効果的な可能性があります。また、家計向けには電気・ガスの負担軽減策が重要で、高市政権が打ち出した措置はその方向性として評価できます。ただ、痛み止めの政策をずっと続けるわけにはいかない。あくまで緊急措置として位置づけることが大切です。

――消費税の軽減や所得再分配についてはどうお考えですか。

 エンゲル係数が主要国の中で最も高い水準に上昇してきているので、食料品の消費税率を期間限定で引き下げるという選択肢は理にかなっています。

 また、理想的なのは、海外でも導入が進んでいる給付付き税額控除への移行です。苦しいのは中低所得層なので、そこにピンポイントで支援をする。さらには、単なる給付ではなく就労促進とセットにした設計にすることで、働く人ほど恩恵を受けられる仕組みにする。

 所得の再分配という観点では、すでに所得税の「1億円の壁」の是正が始まっており、高所得層への適度な増税と中低所得層への支援という方向性は悪くないと思います。

調達先多様化と産業構造転換

――中長期的な構造対策としては何が必要ですか。

 最も重要なのは調達先の多様化です。これまで原油やナフサの中東依存度は9割に達していました。今回の危機でその脆弱性が明確になったため、北米や東南アジアからの代替輸入ルートの開拓が急務です。すでに取り組みが始まっていますが、スピードをさらに上げる必要があります。

 産業構造の転換という観点では、バイオマスプラスチックやリサイクル技術への財政支援・規制緩和も重要な選択肢です。原油・ナフサに依存した産業構造そのものを変えていかないと、今後も同じ問題が繰り返されます。

 また、国内生産拠点の強化も見直すべきタイミングです。円安が進んで日本の立地競争力は実は高まっています。「海外で売るものは現地生産」という発想を一度見直し、国内回帰を検討する余地があります。効率性一本やりから安全性・持続可能性重視へ、企業経営者の意識転換を促す政策が求められます。

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この記事の著者
永濱利廣

永濱利廣(ながはま としひろ)。第一ライフ資産運用経済研究所経済調査部首席エコノミスト。1995年早稲田大学理工学部卒業、2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年に第一生命保険に入社し、日本経済研究センターへの出向等を経て、2016年4月より現職。専門分野は内外経済市場の長期予測やマクロ経済分析。 公職として、内閣府経済財政諮問会議民間議員や内閣官房社会保障国民会議有識者、衆議院調査局内閣調査室客員調査員、景気循環学会常務理事などを務める。主な著書に『金融・経済「超」入門』『お金と経済』などがあり、各種メディアでもエキスパートとして精力的に情報発信を行っている。

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