なぜお金持ちはタワマンに住まないのか。富裕層が「本当にお金をかけるもの」の正体
『お金持ちはケチだ』『お金は汚いもの』。こうした固定観念が、日本人のお金との向き合い方を長年縛ってきた。しかし実際に富を築いた人たちの行動を見ると、その実像はまったく異なる。節約家でも浪費家でもない--。では、彼らは何が違うのか。
ファイナンシャルプランナーの立川健悟氏も、こうした日本人のお金に対する固定観念を問い直す一人だ。不動産テック企業の営業職として富裕層の思考習慣を学び、自ら実践することで金融資産3億円超を達成。
本稿では、立川氏への取材をもとに、値段ではなく価値で判断する「価値思考」から、時間をお金で買う「時間投資」、生活水準と健康の最適化、人生100年時代のライフプランと出口戦略、そして日本人特有のお金への苦手意識の克服まで、豊かな人生を切り拓くためのヒントを紐解いていく。全5回の第3回。
みんかぶプレミアム連載「富裕層たちの黄金法則」
目次
生活水準を上げれば幸せになれるという「幻想」
前回は、時間をお金で買い、長期的な視点で投資するという話をしました。では、収入が増えたとき、富裕層はどのように生活を変えるのでしょうか。実はここにも、多くの人が陥りやすい落とし穴があります。
年収が上がるたびに引越しをし、車を買い替え、外食の頻度を増やす。収入増に合わせて生活水準を上げていくことを「ライフスタイル・クリープ」といいます。収入増を上回るペースで支出が膨らみ、気づけばいくら稼いでも手元に残らない。こうした罠にはまってしまった人の話を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、真の富裕層は、むやみに生活水準を上げません。タワーマンションに住むことが富裕層の証だというイメージがありますが、真の富裕層でそのブランド性のためにタワマンを選ぶ方はごく少数です。利便性や立地を重視した結果としてタワマンになることはあっても、「タワマンに住んでいる」という見栄のために高い家賃を払い続けることはしません。
着ている服がユニクロというお金持ちは少なくありませんし、古い国産車に乗り続けている方もいました。「普段着なんて気にしないし、車は移動手段」と割り切っているので、ぱっと見では「この人、本当にお金持ちなのか?」と思ってしまうこともたくさんありました。しかし大切なパーティーや特別な場では、相応の高級品を身に纏っている。日常と非日常のメリハリが明確なのです。何にお金をかけるかは人それぞれですが、共通しているのは「見栄のためにお金を使わない」という一点です。
1日の中で「何時間使うか」見栄より実利を取る判断基準
では、富裕層の方々はどのような基準でお金をかけるものを選んでいるのか。
よく挙がる判断基準が、「1日の中でそれを何時間使うか」という視点です。寝具・パジャマ・履物・椅子など、毎日長時間使うものには惜しまずお金をかけています。一方、ブランドバッグに富裕層が示す関心は、一般の人ほどではありません。それぞれを1日のうち何時間使うかを考えれば、その理由は明らかです。出番の少ないブランドバッグより、毎晩の睡眠の質を高める寝具や、リビングで快適に過ごすための家具のほうが、人生に与える影響はずっと大きい。逆に、長い時間を共にするものにケチると、小さな不満やストレスが毎日積み重なる恐れがあります。「1日の中での使用時間」はシンプルかつ合理的な、お金のかけ方の指標です。