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高市早苗が負けた2つの理由…「なぜスピーチで公明党への感謝を述べたのか」麻生の支援もむなしく岸田に蹴散らされ

 岸田文雄首相の退陣表明を受けた自民党総裁選は、9月27日に党本部で投開票が行われた。1回目の投票では、どの候補者も過半数を獲得できず、高市早苗経済安全保障担当相(63)と石破茂元幹事長(67)の上位2名による決選投票に進むこととなった。

 1回目の投票では、高市氏が議員票72票、党員票109票の合計181票を獲得しトップに立った。しかし、決選投票では、石破氏が議員票46票、党員票108票の合計154票で2位だったにもかかわらず、最終的に石破氏が議員票189票、都道府県票26票の合計215票を獲得し、勝利を収めた。

 一方の高市氏は、議員票173票、都道府県票21票の合計194票に留まり、敗北を喫した。

 なぜ高市氏は決選投票で敗れたのか。経済誌プレジデント元編集長で作家の小倉健一氏が分析するーー。

目次

高市早苗が負けた2つの理由

 識者の間では、派閥の力学や支持の移り変わりが指摘されているが、筆者は、高市氏が負けた理由は大きく二つあると思う。

 まず一つ目が、高市氏本人の油断や慢心、そしてリーダーシップの脆弱さが一因ではないかと考える。2つ目が、自民党議員の見識のなさだ。第一の理由を感じた最も大きな理由は、決選投票前に行われた石破氏と高市氏による5分間のスピーチであった。高市氏は内容や語り口において、対立候補に比べ説得力が欠けていた印象を受け、ここに勝敗を分けた要因があったのではないかと強く感じている。

 石破氏が語気を強め、特に大きなミスなく無難にスピーチを終えた後、続いて高市氏が登壇した。しかし、これまでの高市氏の力強い演説とは異なり、声は震えがちで、話の流れも冗長であった。メッセージの一貫性が欠け、結果として総裁選の運営側から持ち時間の5分を超過した段階でメモが手渡された。筆者が確認した動画によると、話し始めてから既に6分20秒が経過しており、メモが渡される直後、高市氏は「すいません」「(持ち時間?)終了でございます」と謝罪していることから、時間超過を伝えるメモだったと推察できる。

 しかしながら、高市氏は謝罪後もスピーチを冗長に続けており、話がまとまらないまま終わりに近づいた。普段の高市氏の発言を聞いていると、この場面では意図的に声を抑え、弱いトーンで話しているようにも感じられた。スピーチの全体にわたって、力強さや自信に欠ける印象が残り、それが聴衆にも影響を与えた可能性が高い。

総裁選のスピーチ最後で公明党への感謝を述べた高市早苗

 内容を見ていこう。前段は何をするというよりは、自陣営、他候補、他陣営、自民党員への感謝で埋め尽くされていて、内容に特徴的なものはない。気になるのは最後の部分だ。

<さて、小渕恵三元総裁の大変なご尽力によって自公連立政権ができてから来月の5日で25年になります。その25年、長く一生懸命共に働いてまいりました。明日は公明党大会と聞いております。新代表のご活躍を祈りそしてこれまで頑張って来られた山口代表に敬意を捧げ、これからも皆さんと一緒に勝ち続ける、国でも地方でも選挙に勝ち続ける自民党を作ってまいりたい、そう思っております。よろしくお願い申し上げます>

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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