「兵庫県知事の何がパワハラだったのか」報告書を完全解説!…前回の出直し選挙の費用は21億円「あまりに高すぎる民主主義のコスト」

兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などの内部告 発をされた問題で、弁護士らで構成する第三者委員会は3月19日、「斎藤知事にはパワハラ行為があった」と断じる調査報告書を県代表監査委員に提出した。県議会の調査特別委員会(百条委員会)は「パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった」と認定していたが、より厳しく認定した形だ。斎藤知事を巡っては、昨年9月に不信任決議が可決されたが、11月の出直し選挙で再選。その時の選挙にかかった費用は21億円でこれを民主主義のコストというのだろうか。県民からは辞職や再選挙を求める声もあがるが、関係者は慎重論も強い。経済アナリストの佐藤健太氏が解説するーー。
目次
一体何がパワハラだったのか
「机を叩くのは相手を威圧する行為であり、パワハラであると認定します。夜間休日にチャットを送り、業務を行うことを求めるのは行き過ぎだと思っています」。県からの委託契約に基づき昨年9月から事実関係の調査をしてきた第三者委員会の藤本久俊委員長はこのように指摘し、調査対象となった16項目のうち10項目の行為をパワハラと認定した。
第三者委員会は6人の委員・調査員で構成。2024年3月、県西播磨県民局長だった男性職員が「告発」し、同4月に県の公益通報窓口に通報した内容などについて調査してきた。公表された86ページにわたる調査報告書を見ると、「パワハラ」「不適切な言動」などに該当するとされたのは次の行為だ。少し長くなるが、重要箇所を抜粋して書いておきたい。
パワハラ行為と認定された1つ目は、出張先の考古博物館のエントランスが自動車進入禁止だったため約20メートル手前で知事が公用車を降りることになった際、出迎えた職員を激しく叱責した。第三者委はこの言動が「指導の必要性がない上に、相当性を欠く方法で行われた」と認定した。
2つ目は、「空飛ぶクルマ」についての報道が企業との連携協定締結式前にされたことに知事が厳しい口調で担当職員を問い詰めた行為。これも「叱責、指導する業務上の必要性はなく、理不尽と言うべきものであって、パワハラに当たる」とされた。
3つ目は、教育委員会が所管する県立美術館が夏休み期間中に休館するとの新聞記事を見た際、知事は「聞いていない」と激怒して関係職員を叱責した。報告書では「他の職員にも知らしめる形で『こんなことでは県立美術館への予算措置はできません』と述べて、怒りの程度が強いことを表現し、圧力をかけた」と不適切行為に認定した。