ユスリカ大量発生の万博に生粋の大阪人「いくらなんでも高すぎる!」「必ず行くべきイベントではない」…金に厳しい関西人の本音

開幕前からケチがつきまくっていた大阪・関西万博。開幕してからもトラブルや来場者の不満が噴出している。最近では会場内にユスリカが大量発生していることが話題になったが、日本国際博覧会協会(万博協会)はいまだに有効な対策を打ち出せていないままだ。
そんな大阪・関西万博のなんとも皮肉な現状に、生粋の大阪府民はいま何を思うのか。大阪で生まれ育ち、今回の万博を「大阪の晴れ舞台」と言って憚らない氷河期世代期待の星である中年男性ネット論客・ポンデベッキオ氏に、トラブル続きの万博への本音と、それでも褪せない大阪への愛を語ってもらったーー。
目次
いくらなんでも高すぎる…万博に行くだけで何万円払えばいいのか
いま大阪で盛り上がっているものがある。それが大阪・関西万博だ。
紆余曲折があったものの、無事開催に辿り着いた大阪・関西万博は、開幕から2カ月足らずで累計500万人(速報値)の来場者を超える盛況ぶりだ。大阪在住の筆者も、せっかくなので機会を見て家族で大阪・関西万博に出かけようと考えている。ただ、テレビやネットニュースで万博の情報を集めてはいるものの、まだ万博のチケットは取っていない。なぜチケットを取るのを躊躇してしまっているのか?その理由は3つある。
まず1つ目の理由が費用だ。
大阪・関西万博のチケットは、大人一般の一日券で7,500円となかなか攻めたお値段設定になっている。2005年の愛知万博の普通入場券(当日券)チケットが4,600円だったのと比較すると、その差は一目瞭然だ。
インフレが進む令和とはいえ、かなりの価格アップだと言えるだろう。その価格は世界的なテーマパークである東京ディズニーランドのパークチケット料金(1デーパスポートが大人7,900円~)や、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのチケット料金(1デイ・スタジオ・パスが大人8,900円~)に匹敵する。
さらに会場内の飲食代金も高額だ。庶民的な食べ物であるはずの焼きそばや、大阪の代名詞であるたこ焼き(8個入り)は1,000円超えのものも珍しくなく、当初紅茶を紙コップで提供していたことが波紋を広げた英国パビリオンのアフタヌーンティーセットに至っては5,000円もする。
楽しむ余裕もない大混雑にユスリカ大量発生…ややこしい予約システムが追い打ち
チケット代金に駐車場代、家族みんなの食事やお土産などを合わせた費用は、大阪在住者でもかなりの出費になる。遠方から来る人にとっては、宿泊費も加わるためさらに負担は大きいだろう。
当然のことながら、来場者から高すぎる負担額に対して声が上がり、大阪府の吉村洋文知事が万博協会に対しパークアンドライドの「値下げ」を正式に提案する事態となっている。
万博チケットの購入を躊躇せざるを得ない2つ目の理由が混雑だ。
万博の目玉である各国のパビリオンは、一応当日並んで入ることもできるということになっているが、人気のパビリオンは常に混雑しており、予約なしでふらっと入ることはほぼ不可能だと言われる。
さらに少し調べてみると、予約が取れなくても並べば入れる可能性のあるパビリオン、予約しないと入れないパビリオン、予約を受け付けていないパビリオンなどが並存しており、極めてややこしい。
事前準備なしのノープランで行けば、高いチケット代を払ったにもかかわらず、人ごみに揉まれてほとんどパビリオンに入れず、1,000円のたこ焼きだけ食べて帰ることになりかねない。この時点でかなり来場意欲がそがれてしまった。
さらに体力的な負担も無視できない。万博会場は非常に広く、一日中歩き回る必要がある。
氷河期世代の中高年はもちろん、幼い子供や高齢の親世代と一緒に行くとなると、混雑問題はさらに深刻さを増す。天気が悪かったり夏場で気温が高かったりすればなおさらだ。
会場には休憩スペースはあるものの、そこは常に人でごった返しており、なかなかゆっくり休憩するのが難しい状況となっている。疲れるたびに5,000円のアフタヌーンティーセットで一息ついていたら、お金がいくらあっても足りなくなるだろう。
ネットで何でも見られる時代にわざわざ万博まで出かける意味はあるのか
そして万博チケット購入を躊躇する最後の3つ目の理由が、「そこまでして本当に楽しめるのか?」という不安感だ。
1970年の大阪万博を体験した世代は、みな非常に大きな感動と満足感を得たと聞いているが、今はインターネットもスマートフォンも開発された2025年であり、当時とはまったく状況が違う。
もちろん生で見るパビリオンに期待感はあるが、SNSでいくらでも世界各国の建造物や世界遺産を目にできる現代で、どこまでの感動が得られるのか、正直なところ不安に感じてしまうのが本音だ。
森喜朗元総理がかつて「痰壺」呼ばわりした大阪の晴れ舞台に?
しかし、これだけのデメリットを覚悟してなお、筆者は万博へ行こうと思っている。それには理由がある。
それは今回の大阪・関西万博は55年ぶりに大阪で開催される世界規模のイベントだからだ。
かつて森喜朗元総理に「痰壺」と呼ばれるほどに落ちぶれていた大阪は、梅田や難波、天王寺などの開発によって、大阪らしさを残しつつ急激的に最先端都市へと変貌を遂げた。
30年近い停滞の時代を乗り越えた大阪を日本中にアピールするイベントが大阪万博なのである。
大阪生まれ大阪育ちの筆者としては、この大阪の晴れ舞台にせっかくだし参加しておこうという気持ちが強い。また、家族との思い出作りという観点もある。近場への日帰り家族旅行のようなものと思えば、多少の出費は決して無駄ではないと考えることもできる。
10年後、20年後に子どもが大人になったとき、「家族と一緒に万博に行った」という思い出は、お金では買えない価値を持ってくれるだろう。
それでも万博に行くなら「現実主義」で徹底的に計画を立てろ
とはいえ、無策で灼熱の真夏、人でごった返す夏季休暇期間に夢洲までのこのこと出かけるのはあまりにハイリスクだ。中年男性には十二分な対策が必要だろう。
作戦の中で最も重要なことは、平日の閑散期を狙うことだ。
日帰りで問題ないので、有給を取得し平日に行くべきだ。夏休みシーズンを外したとしても、土日祝日と平日では混雑具合が雲泥の差になるだろう。筆者の友人家族も平日に大阪・関西万博へ行くことで、比較的快適にパビリオンを散策できたと語っていた。
事前の徹底的な情報収集も欠かせない。重要なのが人気パビリオンの予約だ。
大阪・関西万博開幕当初は、予約サイトがパンクするなどして予約を取るのも一苦労だったようだが、今はかなり取りやすくなったとのことだ。
どのパビリオンを優先的に回るか、どのルートで効率良く移動するかを事前に決めておく。あれもこれも見ようとすると、結局何も満足に見られない。3つ程度のパビリオンを絞り込んで、それらをじっくり楽しむほうが満足度は高い。
体力を考慮して現実的なスケジュールを立てることも重要だ。一日ですべてを回ろうとせず、休憩時間を十分に確保する。万博会場内のレストランで昼食を取りながら、ゆっくりと万博の雰囲気を味わうのも良い思い出になる。
遠方から来る場合は、万博だけでなく大阪観光とセットで計画を立てるのも良いだろう。大阪城や道頓堀、USJなどと組み合わせることで、旅費のコストの分まで楽しめるはずだ。
結局万博は「恋人や家族がいる人たち」のためのもの?
筆者自身は大阪万博は行く価値はあると考えるが、一点だけ付け加えるとするのであれば、一人ではなく誰かと行くべきだと感じている。
今はSNSがあるので現地での感動や満足感を気軽にネットでシェアできるが、やはりこういった野外イベントは一人よりも友達や恋人と行くほうが楽しめるからだ。
ただ、高額な出費が家計に響く人や、一緒に行く知り合いが思いつかない人、パビリオンの数々に文化的価値をあまり感じられない人が、無理してまで行くべきではないと感じている。筆者ももし独身だったら、行かなかっただろう。
結局のところ、大阪・関西万博は「全員が必ず行くべき」と言い切れるイベントではない。しかし、少しでも興味が湧いたり、一緒にいける家族や友人、恋人がいたりする人には参加を勧めたいイベントだ。
自分の懐事情と体力、そして何より一緒に楽しめる相手がいるかどうかを冷静に判断して、後悔のない選択をしてほしい。筆者も近いうちにチケットを取って、家族との思い出作りに出かけるつもりだ。