「信用取引」とは?普通の取引(現物取引)との違い

みんかぶ編集室
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信用取引,空売り,仕組み

ひとこと解説

  • 証券会社からお金や株を借りて行う取引のこと
  • 自分が持っている資金以上の取引ができる
  • 空売りをすることで株価が下落する局面でも利益をあげることができる

信用取引とは?信用取引の魅力

信用取引とは、証券会社からお金、または株券を借りて株式を売買する取引のことです。信用取引をうまく利用すれば、株で効率的に利益を上げるチャンスが拡がります。

一般的に、株式投資には一定以上の資金が必要で、資金が多いほど有利になります。
しかし、初めから資金をたくさん持っている人は少ないでしょうし、手持ちの資金をできるだけ効率的に活用して利益を出したいものです。

そんな時にオススメなのが、信用取引という制度です。信用取引は、簡単にいえば手持ち資金以上のお金を使って株の取引ができるというものです。てこ(leverage)の原理のように少ないお金で大きなお金を動かすことができるので、レバレッジ取引とも言います。

さらに信用取引を使うと、通常の現物取引にはできない売りから入る取引もできるようになります。

現金や金融商品を担保として差し入れて、お金や株券を借り、取引するということから「信用取引」と言われています。

ただ、株を始めたばかりの初心者にとって「証券会社から借りる」という仕組みは少し分かりづらいので、普通の取引(現物取引)となにが違うのか、比較しながら理解していきましょう。

目次

「信用取引」は普通の取引(現物取引)違い

入金している金額以上に取引ができる

普通の取引(現物取引)では、もちろん証券会社に預けた金額以上の取引はできません。しかし信用取引では、証券会社に預けた資金を担保にして、それ以上の金額の取引をすることができます。

取引するにあたっての条件は証券会社によって違いますが、みんなの株式信用取引口座ランキング1位(2020年12月時点)の楽天証券を例に見てみると、下記の2つの条件を満たせば、資金の約3.3倍までの取引をすることができます。

(例)楽天証券の場合
最低委託保証金
(最低限必要になる担保金)
委託保証金率
(取引に必要な担保金の割合)
30万円 30%以上

※保証金は、制度信用取引と一般信用取引の建玉を合算して、建玉の30%に相当する保証金が必要です(制度信用取引と一般信用取引については、本記事の「売買の期限がある」にて解説)。
※参照:信用取引の基本ルール – 楽天証券公式HP

約3.3倍の資金で取引ができるということは、現物取引に比べ、同じ値動きでも最大約3.3倍の利益と損失がでるということです。その分注意して取引しないと大きな損失になってしまうので気をつけましょう。

実際には、委託保証金の3倍までの取引ができますが、慣れるまでは1.2〜1.5倍くらいまで(保証金率70%以上)の取引に抑えることをおすすめします。

「売り」から取引することができる

現物取引では、まず株を買い、後で売ることで値上がりした分の利益を狙います。 一方で信用取引では、先に株を売り、後で買うという通常と逆の取引も可能です。このため株価が下がる場面でも利益を出すことができます。 売りから取引をはじめることを「空売り」と呼びます。

ここで一つ注意が必要なことがあります。それは、値下がりには0円という限界値がある一方で、値上がりには限界値がないということです。つまり空売りは無限に損失を出してしまう可能性があります。
そのため昔から「買いは家まで、売りは命まで」という相場格言もあるほどです。
空売りをする前に、青天井で損失が膨らんでいく危険性もあることを知っておくと良いでしょう。

空売りの利益の出し方

空売りの利益の出し方
空売りの利益の出し方

※別途、売買手数料・貸株料(株を借りる費用)はかかります。

空売りの流れ

空売りの流れを具体的に説明すると、下記のような順番で行われています。

空売りの流れ

空売りの流れ
A社の株を100株借りた場合の利益の出し方の例

空売りの流れ

※別途、売買手数料・貸株料(株を借りる費用)はかかります。

ネット証券で取引をする場合は、1と4の手続きの必要はなく注文をクリックするだけで簡単に空売りすることができます。

実際に取引をする場合は、値下がりすると思った銘柄に投資(空売り)して、利益を狙うことができるということを覚えておきましょう。

【ポイント】

  • 売りからの取引(空売り)で、値下がり(右肩下がりのチャート)局面で利益を狙える

売買の期限がある

信用取引には、制度信用取引一般信用取引と2種類の取引方法があります。

制度信用取引では、取引を行ってから6ヶ月以内に*反対売買をする必要があります。
一般信用取引では、証券会社がそれぞれ定めた期限で反対売買をする必要があります。

*反対売買・・・買った株を売る、もしくは空売りで売った株を買い戻すこと

現物取引の場合は、買った銘柄が上場廃止等にならない限りずっと保有し続けられますが、制度信用取引の場合、どんなに利益がある状態で保有し続けたいと思っても、どんなに損失が出ても、一定期間で強制的に決済されてしまいますので注意しましょう。

また、証券会社からお金や株券を借りている状態なので、日々金利や手数料が取られています。信用取引で長期保有を検討している場合には、注意が必要です。

あわせて制度信用取引と一般信用取引の違いを簡単に比較表で説明すると、以下のようになります。

制度信用取引と一般信用取引の違い
  制度信用取引 一般信用取引
概要 取引できる銘柄、借入れた現金や株式を返済する期限などが、取引所規則により決まっている信用取引のこと 投資家と証券会社の間で返済期限などを自由に設定できる信用取引のことで、証券会社によって様々なプランが用意されている
対象銘柄 取引所が選定 原則全上場銘柄
返済期限 最長6か月 顧客と証券会社との間で決定
品貸料 *1 取引所が発表 顧客と証券会社との間で決定
権利処理 *2 取引所が定める方法 顧客と証券会社との間で決定
貸借取引 *3 ×

*1 品貸料:空売りをした場合に追加でかかるコスト
*2 権利処理:配当などの権利の扱い方のこと
*3 貸借取引:保有している株を他人に貸すことで金利を得ることができる取引

制度信用取引は、証券取引所が選定した銘柄での信用取引になるので選定基準が厳しい分、リスクも一般信用取引に比べて低いため、貸し出し金利は低めになっています。

信用取引の詳しいサービスの違いは、「信用取引口座のおすすめランキング」でご確認ください。

信用取引口座のおすすめランキング

【ポイント】

  • 制度信用取引は、6ヶ月以内に決済する必要があるので長期保有はできない
  • 制度信用取引は、取引所選定した銘柄のみ信用取引できるサービス
  • 一般信用取引は、証券会社ごとに選定した銘柄や条件で信用取引できるサービス

売買手数料の他に諸経費(金利)がかかる:逆日歩に注意!

信用取引は証券会社からお金や株券を借りて取引するサービスのため、保有中の期間に金利など様々なコストがかかります。

ここではそのコストについて、楽天証券の信用取引を例にとり、株を買っている場合と売っている場合に分けて説明します。

信用取引で株を買っている場合
コストの項目 掛かる費用
金利 2.80%
事務管理費 1株あたり11銭(税込)
名義書換料 1売買単位あたり55円(税込)

金利

信用取引で株を買った場合には金利が生じます。お金を借りて株を買っているので、借りた分の金利を払う必要があります。

事務管理費

管理のための費用として、一か月経過するごとに1株あたり11銭のコストが発生します。

名義書換料

配当の受取権など株主としての権利が確定する日(権利確定日)を経た時に、権利処理の手数料として1売買単位あたり55円のコストが発生します。1売買単位は一般的な株式の場合100株です(ETFなど、10株や1株が売買単位になっている場合もあります)。

信用取引で株を売っている場合(空売り)
コストの項目 掛かる費用
貸株料 1.10%
逆日歩 状況により変動
事務管理費 1株あたり11銭(税込)
配当金相当額 配当の金額相当

貸株料

空売りをしている場合には貸株料が生じます。株を借りて来ているので、借りた分のレンタル料を払う必要があります。

逆日歩(ぎゃくひぶ)

大勢の投資家が大量に空売りを行った場合、証券会社に空売りのために貸し出すことのできる株がなくなってしまうことがあります。その場合、空売りを行っている投資家に逆日歩というコストが追加で発生してしまいます。なぜなら、証券会社は不足した株を他の金融機関などから借りてくる必要があるため、その際のレンタル料を負担しなければならないからです。逆日歩は株がどの程度不足しているかによって決まるため、時に思わぬような高額になったり、何日も払う必要が生じたりするため注意が必要です。

事務管理費

管理のための費用として、一か月ごとに1株あたり11銭のコストが発生します。

配当金相当額

空売りをしている銘柄に配当金が生じた場合、本来その配当金を受け取るはずだった貸主にその分の金額を支払う必要があります。

上記のような費用が掛かる事を覚えておきましょう。

信用取引は、上手に活用することで利益を大きくする手段になりますが、良いことばかりではないので使用する際には十分注意しましょう。

【ポイント】

  • 信用取引には、手数料以外の諸経費がかかる

「信用取引」に向いている投資家

短期間で利益を狙う

長期保有で利益を狙わず、テクニカル指標を使ったチャートの値動きなどで短期間で利益を狙う方は信用取引が向いていると言えます。

前章までで説明しているように、信用取引には様々な手数料や取引期限が設けられています。そのため信用取引は現物取引と違って、長期間保有するには適さない取引と言えます。

逆に、ここぞというポイントなど、短期間で勝てる(可能性が高い)と思えるタイミングで、自己資金以上の金額で大きく利益を狙うということに適した取引が信用取引の醍醐味です。

損切りのルールをしっかり設定した上で、短期間で現物取引以上の利益を狙う場合に利用してみましょう。

【ポイント】

  • 長期取引(数ヶ月〜数年)に、信用取引は向いていない
  • 短・中期取引で、ここぞというタイミングの取引に適している

きちんとリスク管理ができる方

ここで言う「リスク管理」は、利益の出ない銘柄を塩漬け(損益がマイナスの状態で長期間保有し続けること)にせず自分の意志でしっかり損切りができることを言います。

現物取引の場合は、企業が倒産しない限り株価が0円になり資産がなくなるということはありません。一方で信用取引の場合、最大約3.3倍の資金量で取引するわけですから、その時に30%株価が下落すると資産がマイナスになる可能性があります。

※実際には、特殊な場合を除いて、証券会社が一定の水準で強制的に決済を行い、マイナスになるのを防ぐ仕組みなどが用意されています。

現物取引の場合、損失が出ている株を塩漬けして見て見ぬふりをする投資家も多いですが、信用取引の場合、長期間もっているとかなりのコストがかかってしまいます。なにより株価の下落で資産が0になる可能性も大いにあります。自分のルールを作って取引できるようになってから信用取引をはじめましょう。

【ポイント】

  • 信用取引での塩漬けは現物取引と違って0やマイナスになるリスクがあります。しっかりリスク管理ができるようになってから信用取引をはじめること!

株主優待をリスク少なく手に入れたい方

株主優待を貰える権利が発生する日を「権利付き最終日」と言い、この日に株を所有していれば株主の権利を取得できるので、権利付き最終日の翌日(「権利落ち日」)に株を売っても、配当金や株主優待の権利は得られます。

そのため権利落ち日以降は、株主優待や配当金だけが目当てだった投資家の売りに押され、株価が下がってしまう事もあります。

この現象を利用して以下の方法で信用取引を行うと、値下がりリスクを抑えて株主優待を手に入れることができます。

  1. 権利付き最終日までに、欲しい株主優待の銘柄を買う(現物買い)
  2. 1と同じタイミングで、1と同じ銘柄を信用売り(空売り)する
  3. 権利落ち日(翌日)に、現物買いした株主優待銘柄の売却と、信用売りした銘柄を返済買いする

欲しい株主優待の銘柄に対して「現物買い」と「空売り」を同時に行うことで、価格変動のリスクがなくなり優待を手に入れることができます。
ただし空売りによる逆日歩コストが発生することがあるので、そこだけは注意が必要です。

【ポイント】

  • 欲しい株主優待の銘柄に対して「現物買い」と「空売り」を同時に行うと価格変動リスクなく株主優待を手に入れられる

「信用取引」って危険なの?

信用取引は、危険な取引というイメージを持たれることも多いですが、実際には気をつけるポイントを理解していれば大丈夫です。

前の章までの説明の繰り返しになりますが、以下の3点を注意して、信用取引をはじめてみましょう。

  • 資金管理(レバレッジ)をコントロール
  • 資金がなくなる前に自分で損切り(ロスカット)する
  • 逆日歩や貸株料などのコストを意識する

【ポイント】

  • 信用取引は自己資金の約3.3倍までの取引をすることができます。
  • ただし、3.3倍で取引するとリスクが高くなりすぎ、大きな損失を生んでしまうことがあるので、1.2〜1.5倍までの取引で慣れていきましょう
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