「部長の奥さんに寝顔送信!」33歳不倫OLが絶望した新三郷の排他性とコストコのソーダ無料リフィル…連載TOKYO探訪「新三郷」(窓際三等兵)

あの、天才タワマン文学作家の窓際三等兵先生がついに不倫に切り込みます。連載「TOKYO探訪」第10話では、不倫相手の部長が住む新三郷にマジ〇チOLが上陸します。まず向かったのはコストコだった。会員カードさえあれば、誰でも受け入れてくれるはずのコストコ、しかし不倫OLはそこで底知れぬ排他性にぶつかります。そして次に向かうのは部長の家か……!?
不倫相手と食べる2万円の寿司 vs コストコの5000円寿司
「コストコのお寿司って、美味しいの?」。ヴィラフォンテーヌのベッドでシーツにくるまり、ふと訪ねる。シャワーを浴びたぶちょーはちょっと狼狽し、でも冷静に「大したこと無いよ」と呟いた。新三郷の自宅で愛する家族と食べる4980円の寿司。それは不倫相手とつまむ客単価2万円の寿司とどう違うんだろう。
外資系SaaSの肉食系営業部長と、派遣のアラサー女子。新橋のお寿司屋さんでは笑っちゃうくらいありがちな組み合わせで、ラブホでもシティホテルでもなく、なぜか毎回ヴィラフォンテーヌを選ぶその雑な所も含めて楽だった。ぶちょーはぶちょーで、後腐れがない相手としか見てなかったんだろうけど。
天皇誕生日が2月になったという事実がしっくり来ないまま、令和も5年目を迎えた。28歳だった私も、もう33歳だ。汐留のビジホで妻帯者に抱かれて、喜んでいるような年齢でもない。今年の正月、実家の母は「良い人はいないの?」と聞いてこなかった。3歳下の妹の腕では、生後3ヶ月の姪が寝息を立てていた。
新三郷は東京の独身を排除する
しっくりこない2月後半の祝日。なんとなく、ぶちょーの住んでいる家を見たくなった。南北線に乗って1時間、武蔵野線に乗り換えて5駅。車窓から見える景色は、どこか故郷に似ていた。「あの頃は金がなくて郊外しか買えなくてさ」と嘆くぶちょーの顔を思い出して、ちょっと切なくなった。