「肘が限界」ゴールデン街“村八分”の私が新宿のバッセンでぶち当たった巨壁…7カ月連続ストラックアウト王「安竹」という男

2024年9月。私は新宿バッティングセンターのホームラン王になるという夢に敗れ、ストラックアウト王になることを決意したのだった。
ストラックアウトとは、ピッチャーマウンドから12球のボールを投げ、ストライクゾーンに立てられた9枚の的を何枚当てることができるか競うゲームだ。
新宿バッティングセンターでは、7枚抜きなら7点、8枚抜きなら10点、パーフェクトの9枚抜きなら15点のポイントが獲得できるようになっている。そして1ヶ月の間に得られたポイントの累積によって、その月のストラックアウト王が決まるのだ。
ちなみに、ストラックアウトがどのくらいの難易度かというと、プロ野球選手でも7枚抜き以上は普通に難しく、9枚抜きのパーフェクトとなると言わずもがなである。
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7ヶ月連続でストラックアウト王になっている男がいる
さて、ここで1つ読者の皆さんに伺いたいことがある。「安竹涼平」という人物をご存知だろうか? もしご存知ない方がいたら、自らの教養レベルを少し疑ったほうがいいかもしれない──なんてことは勿論ないので、安心してほしい。
安竹涼平とは、2024年の2月~8月まで、7ヶ月連続で新宿バッティングセンターのストラックアウト王に居座り続けている男のことだ。ちなみに余力のある人は、2024年1月のストラックアウト王「小貫龍徳」の名前も覚えておくと、その教養がいつかビジネスの場面で役に立って大きな商談が決まるかもしれない。
何はともあれ、2024年9月のストラックアウト王を目指す私にとって、目の前に立ちはだかるのは、直近で1位を7ヶ月連続で取り続けている安竹涼平という男だった。7ヶ月連続で1位を取っているのだから、当然9月も1位を狙ってくるに違いなかった。
敵を倒すには、まず相手を知る必要があると思った。新宿バッティングセンターではその年の過去の戦績が壁に張り出されているので調べてみると、安竹涼平の直近7ヶ月での平均獲得ポイントは200pt。最高獲得ポイントは267ptだった。安竹涼平に勝つために、彼の最高獲得ポイントである267ptを越えることを目標に定めることにした。
しかし、目標を定めたときには既に私は劣勢だった。当初はホームラン王を目指すためにバッティングのほうに力を注いでいたからだ。
安竹涼平はその間にも着実にストラックアウトをやっていて、9月初週が終了した時点で68ptを取得していた。私はといえば、ホームラン王を諦めかけていたときになんとなくストラックアウトを1度だけやって獲得した7ptだけを保持している状態だった。68pt対7pt 。劣勢を強いられているのは火を見るよりも明らかだった。
肩肘は限界を迎えつつあった
私はまず、安竹涼平に追いつくことを目指した。9月9日は15回ストラックアウトをやって、8枚抜きを3回で計30ptを獲得することができた。翌日の9月10日にも15回ストラックアウトをやり、7枚抜きを3回と8枚抜きを1回で計31ptを獲得することができた。これで最初の7ptと合わせて、暫定1位の安竹涼平と68ptで並んだのだった。