東大王・後藤弘の幼少期。「習い事」と「本の習慣」で受験の土台を作った親の教育術

「国語の読解力をつけるために、幼少期から名作文学を読ませるべきだ」――そんな思い込みから、ハードルの高い本を無理に押し付け、かえって子供を本嫌いにしてしまう家庭は少なくない。惜しまれつつ終了した大人気TV番組「東大王」の元レギュラーであり、現在株式会社bestieeを経営している後藤弘氏は、親のそんな教育の先回りに疑問を投げかける。
本稿では、後藤氏に「地頭の土台を作る読書習慣と習い事の真実」を徹底解説していただいた。子供を本嫌いにしないラフな入り口の選び方や、勝手に本を読み始めるリビングの環境誘導、そして得点力を底上げする読解力の秘密とは。東大王が実体験から語る、合格メソッドを余すところなくお届けする。全4回の第3回。
みんかぶプレミアム特集「中学受験 夏休みで伸びまくるコツ」
目次
親の先回りが本嫌いを生むリスク。子供が自発的にステップアップしていくステップ
中学受験において国語の読解力をつけるために、「子供には小さいうちから名作文学を読ませるべきだ」と考えている親御様は非常に多いのではないでしょうか。しかし、最初からそのようなハードルの高い本を無理に押し付けても、子供にとっては苦痛でしかなく、かえって本嫌いになってしまうリスクがあります。私自身の幼少期を振り返ってみても、最初からいわゆる「ためになる難しい本」を自発的に読んでいたわけでは決してありませんでした。
私が幼稚園から小学1年生の頃に最初に夢中になって読んでいたのは、当時周りのみんなが読んでいた「かいけつゾロリ」のような、とてもラフでカジュアルな本でした。まずは誰もが楽しんで読めるふざけた本から入り、文字を読む楽しさを知っていったのです。
入り口は決して高尚な文学作品ではなく、漫画やイラストの多いカジュアルな本だったのですが、それらを読んでいるうちに自然と「次はもう少し硬いものも読んでみようかな」という気持ちが芽生えていきました。そして小学1年生の頃、少し上の学年向けの本にチャレンジしたときに、親が「今の段階でこんな本が読めているなんてすごいね」と褒めてくれたのです。
そのおかげで、また次へとステップアップしていくことができました。国語の土台を作るために本当に必要なのは、名作を無理強いすることではなく、子供が自発的に「楽しい」と思えるカジュアルな入り口を用意することなのだと感じています。
親が仕掛けた「子供が勝手に本を読み始める」環境づくりの工夫
では、私がどのようにして具体的な読書習慣を身につけていったのかというと、そこには母親が仕掛けた、子供に一切の無理強いを感じさせない見事な「環境誘導」の作戦がありました。
幼稚園や小学校低学年の子供が、完全に自分の意思だけで「よし、図書館に行って本を借りてこよう」と行動するのは、やはりハードルが高すぎます。放っておけば、スマートフォンやYouTubeのショート動画のような、楽で刺激的な娯楽へとどんどん流されていってしまいます。私の母親はそれをよく理解していたようで、私の代わりに図書館へ行き、毎回借りられる上限の冊数まで、あらゆるジャンルの本をドサッと借りてきてくれていたのです。
母親が借りてきた大量の本は、リビングの机の上にずらりと並べて置いてありました。同時に、父親がいつもリビングで楽しそうに本を読んでいる姿を私に見せていたのです。子供というのは不思議なもので、親がやっていることを見ていると、なんとなく真似をしたくなるものです。ふと父親の真似をして本を読もうとした瞬間、目の前の机に必要なハードルを一切挟まず、パッと手を伸ばせばすぐに読める本が並んでいる。この極限までハードルを下げた環境が用意されていました。
並べられた本のうち、実際に私が手にとって読むのは12〜13冊のうちの1〜2冊程度で、残りの本は全く読まないことも普通にありました。しかし母親は、読まなかった本に対しても「なんで読まないの」と責めることは一切なく、期日が来たら全部そのまま図書館に返し、また次の新しいジャンルの本を上限まで借りてきて並べ直してくれました。この「さりげない誘導」によって、私は読書を勉強ではなく、リビングにある当たり前の日常として楽しむことができるようになったのです。