AIPS「100年間のベストアスリート」選出・・・時代のアイコン、マイケル・ジョーダンと羽生結弦(3)

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「それがマイケルなんだ」
自分を信じ、誰でなく自分とひたむきに対峙し続ける人、マイケル・ジョーダン。
羽生結弦もまたそうだ。それが多くの信頼となり、人の愛に昇華する。
「どんなときでもマイケル(ジョーダン)にとって大切なのは信頼なんだ」※1
元ナイキ社員のソニー・ヴァカーロはこう語っている。
彼についてはジョーダンの伝記映画『AIR』(2023年)にマット・デイモン演じるソニー・バッカロという名で登場するが、ジョーダンのエピソードについてこうも語っている。
「あいつ(ジョーダン)は試合でプレーするために万全の態勢を整えようとしたいたんだ。それがマイケルなんだ。どんなひどい雰囲気でも、どんなに環境が悪かろうとも自分の最高の状態でプレーしようとする」
湾岸戦争の慰問、ドイツの駐留するアメリカ陸軍の兵士たちとの小さな体育館でのチャリティゲームだった。控室代わりの男性用小便器がむき出しの便所、ジョーダンは一心にボールを弾ませていた。
「マイケルは、ドイツくんだりで小便臭いおんぼろ便器の場所にいても、スーパードーム(ニューオーリンズ)のノースカロライナ大とジョージタウン大の試合に臨むかのような準備をしていたんだ。このことは、生涯貫き通す彼の精神をよく示しているよ」
まさに「それがマイケルなんだ」である。私が幾度か使った「それが羽生結弦だ」と同じであることは、これも奇遇でなく必然である。最高のアスリートとはそうしたものだ。まして時代の子、歴史の人になるということは。
「これが羽生結弦だ」
マーケティング論で知られる森一彦京都先端科学大学国際学術研究院教授はこうしたナイキのブランド概念について、
ブランドパーソナリティ(存在らしさ)
組織連想(こんな企業だから作った)
カントリー・オブ・オリジン(この国ならではのもの)
ユーザー・イメージ(こんな人たちが使う)
自己表現的便益(自分のこれを表現する)
情緒的便益(それを使うとこんな気持ちになる)
ブランドと顧客の関係性(私にとってこの商品・サービス)
シンボル(これがそうだ) ※2
と、心理学者レフ・ヴィゴツキーの文化的歴史的発達理論も引いて提示しているが、とくに最後の「シンボル(これがそうだ)」はまさに的を射ていると思う。
羽生結弦とするなら、その作品やグッズのみならず羽生結弦という存在そのものにも当てはまる。シンボルーーこれがそうだ、というアイコンとして、その先のシンボルとして。
羽生結弦という存在らしさ、羽生結弦だから作った、羽生結弦という自分のこれを表現する、羽生結弦を観るとどんな気持ちになる、私にとっての羽生結弦、そしてシンボル「これが羽生結弦だ」である。
先にアイコンは大衆の支持によってシンボルになると書いたが、シンボルはアイコンを離れ、その対象人物そのものになる。ジョーダンとエアが一体のように、羽生結弦もまたそうだ。