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「ストレートエッジ」炎上問題から考える西野亮廣という男ーーバッシングを飲み込み“興行”に変える猪木的発想

 キングコングは、コンビ揃って何かと世間から叩かれやすい。前回は、意図せぬ「ズレ」で炎上を招いてしまう梶原雄太の損な性格について触れたが、相方の西野亮廣に対する世間の反発は、また種類が違う。アパレルブランド「ストレートエッジ」の騒動でも「拝金主義」といった批判が相次いでいるが、プロインタビュアー・吉田豪氏は、そうしたバッシングの多くが「西野さんへの解像度が低いまま行われている」と指摘する。かつてラジオ番組での不用意な一言から、西野と確執があった豪氏。当時の彼を「いけ好かない」と断じた理由、そして再会して気づかされた「現代の興行師」としての圧倒的な手腕とは。二人の因縁の答え合わせから、西野亮廣という男の本質を掘り下げる。

 みんかぶプレミアム連載「吉田豪の月イチ気になる話。」

目次

「ストレートエッジ」炎上で感じた“どっちもどっち”な違和感

 最近、西野さんが関わっているブランド「ストレートエッジ」が炎上してましたね。「ストレートエッジ」とは「ドラッグ・アルコール・煙草・快楽目的の性行為などを拒否する禁欲的な考え方であり、それを貫くライフスタイル」のことなので、それとは正反対なスタイルで生きてる人がそれを利用しようとしたら反発されて当然だし、元ネタがそこにあると公言してブランド名にした上に商標登録しようとするのはもちろん完全にアウトなんですよ。ただ、「西野は文化への理解度が低すぎる!」って怒ってる人の中には、ボクから見ると「あなたもキングコング西野への理解度が低すぎる!」って感じる人がすごく多かったんですよね。

 そもそも実態を調べると、今回の“主犯”は西野さん本人じゃなくてヘアサロンの会社をやってる廣江一也氏という代表っぽいんですよ。西野さんのオンラインサロン会員でもある、その人が昔バンドをやっていて、自分の好きな文化をブランドに持ち込み、株式会社SXEというのを設立して、西野さんはそこの「ストーリー作り」を頼まれたっていう関わり方だと思われるんですよ。なので、「概念を覆すことをファッションで真面目にやる」「人間社会の価値観やルールが生まれる以前に存在していた『恐竜』を象徴とする」といったストーリーを考えたり、Tシャツにもなってる恐竜のイラストを描いたりしてるのは西野さんなんだろうけど、西野さんを主犯扱いするには証拠が足りない。反対署名も盛り上がってますけど、それを伝えるネットニュースが「西野亮廣の『STRAIGHT EDGE』商標登録に反対する署名運動が開始」になってるのは、ちょっと正確じゃないと思いますね。

 そして、みんな「西野=守銭奴、拝金主義」っていうふわっとしたイメージだけで「金儲け主義のやつがストレートエッジを名乗るな!」って怒っている。「カルチャー好きを装って実は金儲けしか考えてない」とかボクの知人もツイートしてたんですけど、その解像度の低さがボクにはすごく現代のSNSっぽく見えちゃったんですよ。

稼いだ金を「面白いこと」に溶かす“猪木的”発想

 西野さんは『夢と金』って本を出したり、早い時期にクラウドファンディングをやって叩かれたり、NFTにも早々に参入したりで、昔から金の匂いをさせてきた人ではありますけど、西野さんを「金儲け主義」と呼ぶのは根本的に間違っていると思うんです。確かにお金は稼ぐけど、彼は稼いだ金を「面白いもの」に全部つぎ込むタイプなんですよ。西野さんの主張は「お金がないと面白いことができない」「夢を実現させるためにはお金が必要」「でも、そういう生々しい部分を日本では言わない人が多いのは良くないから自分はお金のことを積極的に言う」ってことなんですね。

 吉本時代に稼いだ金で本社にクリスマスツリーを寄贈したり、いろんなところに寄付をしたり、映画にとんでもない金をつぎ込んだり……そこでクリスマスツリーを選ぶ感じがまたイラッとくるんですけど(笑)。寄付も、西野さんの絵本を大量に配ったりしてるのは、それよりも現金で配れよ!とも思うんですけど、寄付でもあり宣伝でもあるのが西野さん流で。そしてこれ、誤解を恐れずに言えば、アントニオ猪木的な発想だと思うんです。

 猪木さんも、世間をあっと言わせるのが目的で、怪しげな業者とも組んでいろんな事業をやるじゃないですか。詐欺まがいな行為とかもあったりしながら、でも誰も猪木さんのことを「金儲け主義」とは呼ばない。なぜなら、とんでもない金をいろんなものに突っ込んで、莫大な赤字を生み出してきたのがわかっているから。

 西野さんもそれに似たタイプ。世間をあっと言わせる方向性が、猪木さん的な豪快さとは少し違って、ちょっとイラッとする要素が入ってるから伝わりづらくなってるだけで、本質は「興行師」なんですよね。お金をどう残すかではなく、どうやってインパクトを与えるかに命をかけている。その過程で怪しげな事業とか怪しげな宗教に関わったりしてきたのが猪木さんでしたけど、それと比べたらまだ西野さんのほうがマシな気すらしてくるんですよ。

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この記事の著者
吉田豪

1970年、東京都出身。プロ書評家、プロインタビュアー、ライター。徹底した事前調査をもとにしたインタビューに定評があり、『男気万字固め』、『人間コク宝』シリーズ、『サブカル・スーパースター鬱伝』『吉田豪の喋る!!道場破り プロレスラーガチンコインタビュー集』などインタビュー集を多数手がけている。

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