現代社会に必要なのは「ラーナビリティ」と「ソフトスキル」!有望な人材を見極めるコツとは

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 これまで大手企業から官公庁、自治体まで、のべ500万人の人材マネジメントを支援してきた小出翔氏は、「ラーナビリティ(学習能力)」と「ソフトスキル」こそが重要だと話す。なぜその2つのスキルが必要なのか、またそのようなスキルを持った人材の見極め方について、小出氏が語る。全3回中の3回目。

※本稿は『誰もが成長し活躍する会社のしくみ 「スキルベース組織」という新しい人材マネジメントの実践法(プレジデント社)』から抜粋、再構成したものです。

第1回:誰もが活躍できる「スキルベース組織」とは?“職務”よりも“スキル”が大事なこれだけの理由

第2回:「ただの雑用」だと思われていた女性社員にが持っていた驚くべき価値!なぜあなたの会社ではリスキリングが進まないのか

目次

「ラーナビリティ(学習能力)」こそ現代に必要な能力

 テクノロジーの進化サイクルが加速する現代において、特定の技術的スキル(ハードスキル)の「賞味期限」は、わずか2年半から5年といわれています。

 つまり、今日採用したその人が持っている「最新スキル」は、入社3年後には「時代遅れの遺物」になっている可能性があります。

 では、賞味期限のないスキルとは何でしょうか?それこそが、新しいスキルを次々と獲得し、自らをアップデートし続ける能力、「ラーナビリティ(Learnability:学習能力)」です。

 これは単に「読書家である」「資格取得が趣味」といった次元の話ではありません。ビジネスの現場におけるラーナビリティとは、「正解のない状況下で、手探りで仮説を立て、失敗からフィードバックを得て、行動を修正し続ける生存能力」のことです。

 そして、さらに重要なのが 「アンラーニング(Unlearning:学習棄却)」です。過去の成功体験や古くなった知識を、勇気を持って捨て去る力です。

 ベテラン社員が新しいシステムに適応できないのは、学習能力が低いのではなく、この 「捨てる力」 が不足しているケースが大半です。

ラーナビリティを見極める質問とは

 面接で「あなたは学習意欲がありますか?」と聞けば、100人が100人とも「はい」と答えるでしょう。

 採用面接の場において、候補者の「学習パフォーマンス(演技)」を見抜き、本質的なラーナビリティを測るためには、質問の解像度を上げなければなりません。以下に、明日から使える具体的な質問例と、評価すべきポイント(合否の分かれ目)を挙げます。

質問例1:知的好奇心の「深さ」と「自走性」を測る

■質問:「最近、業務とは無関係で、個人的に熱中して学んだことは何ですか?なぜそれに興味を持ち、どうやって深めましたか?」

■普通の回答:「最近話題の生成AIを触っています(流行に乗っているだけ)」「ビジネス書を月に10冊読んでいます(インプット量のアピールのみ)」

■評価すべき回答:「実は『苔の育成』にハマっています。湿度の管理が難しく、最初は枯らしてしまったので、海外の論文を読んで土の配合を変えたら、生存率が上がったんです」

[評価のポイント]対象は何でも構いません。重要なのは、「自ら問いを立て」「試行錯誤し(一次情報を当たり)」「自分なりの法則を見つけ出しているか」というプロセスの有無です。

質問例2:アンラーニング(学習棄却)の痛みを伴う経験を測る

■質問:「過去に、自分のやり方が間違っていたと認めざるを得なかった経験はありますか?そのとき、どう感じ、どう行動を変えましたか?」

[評価のポイント]ラーナビリティの高い人は、自分の失敗や無知を隠しません。失敗を「恥」ではなく「データ」として捉えているからです。「最初は反発してしまったが、指摘を受け入れてやり方を百八十度変えた」といった、プライドを捨てて変化した具体的なエピソードが出てくるか注視してください。

AI時代だからこそ、「ソフトスキル」が価値を増す

 ラーナビリティと並んで、今後重要になるのが「ソフトスキル」です。ソフトスキルとは、コミュニケーション能力、リーダーシップ、問題解決能力、創造性といった、特定の職種や業界に限らず、どのような環境でも活用できる普遍的なスキルのことです。これらは「ポータブルスキル(持ち運び可能な能力)」とも呼ばれます。

 しかし、AIがコードを書き、データを分析し、契約書の不備を見つける時代において、人間が勝てる領域は「人間を理解し、動かす力」です。

 世界経済フォーラム(WEF)の「仕事の未来レポート2023」においても、今後5年間で最も重要性が高まるスキルとして、創造的思考と分析的思考(認知スキル)が挙げられ、さらに技術リテラシーが続くとも示されています。

 スキルベース採用では、このソフトスキルを「ふんわりした雰囲気」で評価することを禁止します。「コミュ力が高い」ではなく、「対立する意見を持つ相手に対し、感情的な摩擦を避けながら論点を整理し、合意形成に導くスキル(交渉力・レベル4)」といった具合に、具体的な行動レベルまで分解して定義し、評価します。

 ハードスキルは「足切り」に使えますが、最終的な採用の決め手となり、入社後の活躍を左右するのは、間違いなくこのソフトスキルとラーナビリティです。

面接官は誰しもバイアスを持っている

 採用活動における最大の悲劇は、「ミスマッチ」です。現場は「人が足りない」と悲鳴を上げ、人事は必死で採用する。しかし、入社した社員は3カ月で「話が違う」と辞めていく。あるいは、高い給与で迎えた幹部候補が現場の猛反発を受けて孤立する。

 こうした負のループを断ち切るには、採用のプロセスから「バイアス」を徹底的に排除する必要があります。

 私たち人間は、誰しも無意識のうちに「バイアス(偏見や思い込み)」を持っています。採用面接という限られた時間の中で、このバイアスが評価に大きな影響を与えてしまうことが、様々な研究から明らかになっています。

 たとえば、以下のようなバイアスが挙げられます。

 ハロー効果  候補者の目立つ特徴(たとえば、出身大学や前職の企業名)に引きずられて、ほかの能力まで過大(または過小)評価してしまう。

 確証バイアス  自分の第一印象や仮説を裏付ける情報ばかりを集め、それに反する情報を無視してしまう。

 類似性バイアス 自分と似た経歴や考え方を持つ候補者を高く評価してしまう。

 これらのバイアスは、面接官の経験や勘に頼った採用プロセスでは避けることが困難です。その結果、本来採用すべき人材を見送り、そうでない人材を採用してしまうという「評価の歪み」が生じます。

『誰もが成長し活躍する会社のしくみ 「スキルベース組織」という新しい人材マネジメントの実践法(プレジデント社)』

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この記事の著者
小出翔

株式会社グローネクサス代表取締役。デロイトトーマツコンサルティングでの14年間のコンサルティング業務において、様々な業界の大手企業から官公庁、自治体まで、のべ120社(団体)500万人の人材マネジメントを支援してきた“ 人事戦略のプロ”。独立・起業後も、大手電力・製薬・素材業や金融業等にて人事・組織改革、新規事業創出、業務効率化の戦略策定から実行・伴走支援まで幅広く手掛ける。経済産業省・IPAへの、デジタルスキル標準策定の支援経験もあり、デジタル時代の人材・リスキリング分野に特に強みを持つ。

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