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ハーバード卒芸人パックン「給料の3割は投資しなさい」…自販機の100円ジュースを買うと3200円損する理由

 25年以上の投資歴を持つハーバード大卒エリート芸人パックン。そんなパックンは、「投資をするお金を貯めるには節約が必要」と話す。「毎月お金が残らない」と嘆く人にこそお届けしたい、パックン式節約術とは――。全4回中の1回目。 

※本稿はパトリック・ハーラン著『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』(朝日新聞出版)から抜粋・編集したものです。 

「3・5・2の法則」で無理なく投資 

 「節約なんてまわりくどい」と思っている人は、「節約こそが一番確実な儲け方」だと今すぐに考え直しましょう。英語のことわざに、「A penny saved is a penny earned.(1円の節約は1円の儲け)」というものがありますが、今でも僕はこの精神で、いかにお金を節約するかを考えています。 

 たとえばタクシーに乗ると往復1000円かかるとしても、もし自転車で移動することができれば1000円の節約になりますよね。カフェラテを3杯我慢しても1000円くらいの節約になります。これは1000円儲けたのと同じです。 

 やってみるとわかるけど、自分で働いて1000円稼ぐのは結構大変です。手取りで考えると、コンビニのバイトで1時間以上働かなければもらえない。だけどタクシーを自転車にすれば、同じ儲けを得られます。しかも、いい運動にもなるしね。 

 100円を節約したら、「100円分我慢した」ではなく「100円儲かった!」と考えよう。そのほうが、きっとハッピーになれるよ! 

 節約のポイントになるのは、無理をしないこと。僕は子どもの頃から節約が身についていたので、今もあまり苦労なく節約できます。細かい出費はいちいちチェックしていないのですが、それでも月の支出が収入を超えたことはほとんどありません。 

 でも、おそらく多くの人は、何かしら節約の目安があったほうがいいと思います。そこで一つ参考になるのが、アメリカのファイナンシャルアドバイザーがよく勧めている「5・3・2の法則」。月々の収入を次のように割り振ろうという考えです。 

  • 5割:生活費
  • 3割:投資
  • 2割:自由に使える娯楽費

 たとえば手取りの月給が30万円なら、15万円を生活費に、9万円を投資に、6万円を自由に使うという感じです。では、早速やってみてください! 

 ……って言ってもできないよね。きっと「15万円で生活するなんて無理!」「娯楽費が6万円じゃ足りない!」とか、いろいろと思うんじゃないでしょうか。そして結局は「生活費を25万円使ったから、5万円しか残っていない」「5万円は娯楽費に使っちゃおう」なんてことになりがちです。それで結局、今月も1円も投資ができない……。 

 こんなふうに「生活費が余ったら投資をしよう」と思っていたら、おそらくあなたは永遠に投資を始められません。そこで僕が強く勧めたいのが「5・3・2の法則」じゃなくて「3・5・2の法則」です。つまり、まずは「3割を投資する」を最優先にするということです。そして、残ったお金の中から生活費としてやりくりします。それでも残ったら、ご褒美として娯楽費にします。 

 不思議なことに、人間は「これだけのお金がある」と思うと、めいっぱい使ってしまいます。30万円あると思えば30万円を使うけれど、20万円しかないと思えば20万円で済む。不思議だよね。だから、最初に投資資金を抜いておくことが、無駄遣いを防ぐためにもっとも効果的なのです。 

“節約筋” を鍛えよう 

 僕がお金のない子ども時代を過ごしたことによって、辛かったことだけでなく得したことだってあります。その中でも、「節約筋」を鍛えられたことはかなり大きいです。 

 上腕二頭筋を鍛えるには、バーベルでカールしたりして、上腕二頭筋を動かすしかないよね。同じように、節約筋を鍛えるには、節約をするしかありません。そして、バーベルの重さをちょっとずつ上げていくようなイメージで、節約筋も少しずつ鍛えるのが王道です。いきなり高いレベルにチャレンジするとケガをするので、スモールステップが大事です。 

 そこで最初は「自分が使っているお金」を少しだけ意識してみてください。お金を無駄遣いしている人は、結構無意識にお金を使っていることが多いので、まずは意識するだけでも大きな進歩です。 

 そして、お金を払うときに「その価値があるのか?」ということをシビアに考えてみて。500円払ったら、500円の価値があったか自分に聞いてみてください。僕はこういう思考が癖になっているから、自分が感じたおいしさよりも、実際は値段が高かった食事代を払うとすごく悔しくなります。 

 僕だって、たまには奮発をして3000円くらいのランチを食べることがありますが、そのとき「これは2000円の味だ」と思ったら、差額の1000円分は苦味になっちゃう。 

 もう一つ、節約筋のトレーニングになるのが「仕事の苦労を思い浮かべる」ということです。僕が最初にお金を稼いだのは新聞配達だったので、お金を使うときにはつい「これは新聞配達30軒分だな」などと考えるのが癖になっています。

 早朝に30軒分の新聞を配るというのは、並大抵のことではありません。だから、その苦労を思い返すと、僕は無駄遣いしたい気持ちが収まります。 

 また、今仕事をしている人は、一度、時給換算してみるといいでしょう。もしあなたの時給が1000円なら、税金などを引いた手取りは800円くらいですよね。だから、たとえば5000円のモノを買おうとするときは「6時間分の仕事の苦労に見合っているのか」と考えられます。 

 そういう意味で、環境さえあるのなら、若い頃からアルバイトで苦労をしておくことをおすすめします。日本では大学生になるまでアルバイトをしたことのない人が多いようですが、アメリカでは15歳からバイトをする人がほとんどですし、15歳未満でも近所の家でベビーシッターのお手伝いなどをして、お金を稼ぐ経験をしている人も多いです。 

 実感に結び付いた数字でお金のことを意識できるようになれば、節約筋はどんどん強くなっていきます。そして、どんどん楽に節約できるようになっていくはず。そうそう、節約筋を鍛えるためにプロテインを飲んでも意味はないです。それは、ただの無駄遣いだからやめてね! 

一人に一つ「老後計算機」を持とう

 節約筋を鍛えるためにめちゃくちゃ役立つツールが一つあります。それが「老後計算機」です。もちろん「計算機」といっても、カシオやシャープのカタログに老後計算機は載っていません。頭の中で「このお金を老後まで取っておけば、どうなるかな」と計算をすることを、僕は老後計算機と呼んでいるのです。 

 たとえば、仕事の帰り道。喉が渇いたら、飲み物を買いたくなりますよね。ちょうど目の前の自販機で100円のボトルウォーターが売られていたら、「たった100円なら……」と思って、買う人が多いのかもしれない。 

 でも、アメリカの株式市場は年間でだいたい7%くらいの利益率を見込めるので、「72÷利益率=倍増する年数」という72の法則で計算すると10年おきに投資額が倍増することがわかる。だから、今あなたが使おうとしているお金は、10年後に2倍、20年後に4倍、30年後に8倍……。そして50年後には32倍になる可能性がある。 

 というわけで100円を老後計算機にかけると「50年後には3200円に膨らむ」ということに気づけます。では、50年後から現代に戻ってきてください。100円のボトルウォーターを老後計算機にかければ3200円です。 

 今、あなたが自販機に何気なく突っ込もうとしているのは、1枚の百円玉ではなく、千円札3枚と百円玉2枚だ、と考えてください。そうすると、きっと我慢して「家に帰って水を飲もう」と思うのではないでしょうか。 

 タイムスリップができるのは、現在から未来に向けてだけです。過去に戻ることはできません。だから「今」の行動がカギ。さっきのボトルウォーターの話だと、外で頻繁に水を飲みたくなる人は、水筒に水を詰めていけばいい。日本の水道水はかなりおいしいよ!  

 水筒を忘れてしまって「どうしても飲みたい」というときも、コンビニや自販機は使わないで、安いドラッグストアやスーパーで買うようにしよう。将来の自分が感謝しますよ。 

パトリック・ハーラン著『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』(朝日新聞出版)
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この記事の著者
パトリック ・ハーラン

1970年生まれ、米コロラド州出身。ハーバード大学比較宗教学部卒。吉田眞と「パックンマックン」を結成し、「パックン」の愛称で、お茶の間から支持を集める。その後、俳優やコメンテーターとしても活躍。流ちょうな日本語で番組MCとしても人気を博す。投資歴は20年に及び、ニュースやマネー関連のインタビューなどにも多数登場している。

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