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アベノミクスが私たちの人生を一変させた。株価だけじゃない、女性活躍社会の素地をつくった

自民党安倍派の政治資金パーティーで、あいさつする安倍晋三元首相=5月17日午後、東京都港区

経済アナリストへの道を示してくれた恩人

7月8日の11時半ごろ、安倍晋三元首相が銃撃・心肺停止との報道がありました。日本全体が不安の底に突き落とされていると思いますが、「アベノミクス」と共に人生をやり直すことができた私にとっては、まるで生みの親を失ったかのような悲しみです。ここに安倍元首相に深く感謝するとともに、故人のご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。

私が経済アナリストとしての今のような道を歩むことができたのは、安倍元首相の存在なくしては語ることはできません。実は大学院卒業後に、全てを失い、病気を煩い、何も残っていなかった私にチャンスを与えてくれたのがアベノミクスだったと思っているのです。

私は就職氷河期まっただ中に卒業した世代で、リーマンショック後の就職活動でどこも受からず、夢も希望も持てないまま社会に放り出されました。経済が冷え込むと、力のない層はモロにダメージを受け、なんのキャリアもない若者たちは社会からはじき出されてしまう。そんなことを感じ、自分の存在する意味すら分からなくなり、「いっそ、消えてしまいたい」と、意気消沈して過ごしていた時期があったのです。多分、私と同じ世代で、こんな思いを持っていた人は少なくなかったのではないでしょうか。当時は自分が「社会から虫けらのように弾き飛ばされた」と思っていましたから。

株価だけでなく弱い者にもチャンスを与えた

しかし、その後、2012年12月の安倍政権の誕生で世の中がガラリと変わりました。私も2013年から資産運用担当者として、金融業界でゼロからのスタートを切りました。アベノミクスとほぼ同時に金融業界に入り、今年で約10年目になります。

だから、大げさではなく、経済アナリストとして、チャレンジする場所を与えてくれたのが安倍元首相だと思っています。野田佳彦首相が衆議院の解散、総選挙を宣言した2012年11月14日から安倍首相が辞意を表明した2020年8月28日までの株価の動きを見てみると、日経平均株価は8,664円から22,800円と14,214円の株価上昇となっています。

また、円高で苦しむ日本経済はアベノミクスによる大規模な金融緩和で1ドル=80円から105円まで約25円の円安の環境をつくりました。多くの上場企業が株高の恩恵を受け、個人投資家の裾野も広がりました。日本株が復調したことで、経済的な恩恵はもちろんですが、多くの人が、私と同様に、人として生きる意義を与えられたとも言えるのではないでしょうか。

まず、安倍政権の功績は、当時の私のような非正規雇用者、女性の活躍ができる社会の素地をつくったことです。実際、2012年から2019年までに雇用者数は499万人増加しています。雇用形態別に見ると、正規が+149万人、非正規が+349万人と、増加した雇用者の7割を非正規が占めています。まさに、私はここにあたります。

非正規雇用者数を増やしたことを、批判する向きもありますが、私は当事者として声を上げます。非正規であっても、雇用をしてもらえる場所があることで、私のように「命」が救われる人もいます。働く場所すら与えてもらえない、そもそもチャンスを与えてもらえないということに、どれだけの絶望を感じることか。チャンスを与えてもらえれば、そこから死に物狂いで這い上がる。それが、私のアベノミクスと共にあった10年であり、実感でもあります。

女性が活躍でき、多様性を認める社会に変化

そして、アベノミクスと安倍首相のもう一つの大きな功績は、多様性を認める社会にしてくれたことです。


私は必ずしも、一般的に「こうあるべき女性の幸せ」という価値観が当てはまらない部分があります。伝統的な家族像や親が望む理想的な娘像とは程遠い。自分の興味があることにフタをしめて、演じる人生は生きることができないのです。そんな自分を感じて、苦しんだこともありました。

それが、今の私のような生き方ができる社会、つまり個人の「多様性」を認める社会になったのも、アベノミクスによって劇的に経済が復調したことが大きいと感じています。不景気が続く窮屈な経済状況では、人々は保守的になり、画一的な価値観に囚われて、身動きが取れなってしまいます。

それが、アベノミクスによって株式市場が明るくなり、社会に波及して好景気をもたらしたことによって、社会の価値観も寛容になってきた。株価が上昇し、経済を好循環に向かわせることは、企業経済や投資家への恩恵だけではなく、力のない層や少数派にも一定のチャンスを与えるのです。私のように、非正規雇用でチャンスを与えてもらえた方や、女性の社会進出支援策の恩恵を受けた人の数は計り知れないでしょう。

私は、アベノミクスによって、金融の本質的な意味を知り、今は金融業界に誇りを持って働いています。決してサヤ取りのビジネスが金融の本質ではありません。世の中で頑張っている人や企業の背中を後押しするのが金融業なのです。本来は、熱いミッションを持つ人間が集まる業界なのだと思っています。

安倍首相が撒いてくれた芽が出るのはもうすぐ

そのひとつが、安倍政権下で打ち上げられた「スタートアップへの投資」分野です。現在、リスクマネーを供給する環境づくりが日本に足りていないということで、さまざまな施策が打たれていますが、これは、何もいま始まったことではなく、安倍政権下ですでに始まっていたことなのです。

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