幸福度のピークは「年収1125万円」幸せなお金持ちと不幸せなお金持ちの違いとは

歯科医師で作家の井上裕之氏は、「お金があることと幸せであることは必ずしもイコールではない」と話す。「お金持ちの中には不幸せな人もいる」と話す井上氏が、どうすれば“幸せなお金持ち”になれるのかを解説する。全3回中の1回目。
※本稿は井上裕之『なぜかいつも上手くいく人のお金の使い方』(あさ出版)から抜粋、再構成したものです。
第2回:豊かな人生を送るために知るべき、お金の「絶対的な価値」とは……悪いエネルギーを良いエネルギーに転換できる思考法
第3回:「会社が給料を上げてくれない」と不満を抱いたらすべき“上司への質問”……転職を考えるのはそれからでいい
目次
世帯年収「2000~3000万円」で幸福度は頭打ち
お金を持っていれば、幸せになれるのでしょうか?年収が増えるほど、幸福度も高まるのでしょうか?
お金と幸福度の関連性についての研究は、これまでも世界各国で繰り返し行われています。
プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマン名誉教授(ノーベル経済学賞受賞者)らの研究結果などを見ると、「経済的に恵まれていることと、幸福感の高さには一定の相関がある」ことは明らかです。
● ダニエル・カーネマン研究結果
収入と幸福度は比例して上昇するが、「年収7万5000ドル(1ドル=150円とすると1125万円)」をピークに横ばいになる。
● 内閣府(経済社会総合研究所)「生活の質に関する調査の結果について」
幸福を判断する際に重視した項目は、家計の状況(所得・消費)がもっとも多く、次いで健康、家族関係の順。
● 内閣府(政策統括官)「『満足度・生活の質に関する調査』に関する第4次報告書」
幸福度(=総合主観満足度)は、年収に応じて高くなるが、世帯年収2000万円〜3000万円で頭打ちになる。
「不幸せなお金持ち」の正体
ただ、私は「お金があること」と「幸せでいること」は必ずしもイコールではないと考えています。
その大きな理由は、「バランス」です。私はこれまで、多くのお金持ち(富裕層)と接してきました(「お金持ち」に公的な定義はないため、調査会社によって基準が異なります。国内では、野村総合研究所の分類が有名です。純金融資産保有額が1億円以上5億円未満を「富裕層」と定義しています)。
そのお金持ちの人たちの中にも、「幸せなお金持ち」と「不幸せなお金持ち」がいます。
ここでの不幸せなお金持ちとは、
「経済的に恵まれているのに、心の充足感、充実感、満足感が足りない人」
「お金は足りているのに、幸せの感性が足りない人」
のことです。
「不幸せなお金持ち」は、「健康、人間関係、仕事、お金、社会貢献のバランス」が整っていません。だから、心が満たされない。
「幸せなお金持ち」と「不幸せなお金持ち」の違いは何かというと、先述の通り、「バランス」なのです。
「貯蓄が3億円ある。けれど、仕事にまったくやりがいを感じない」
「貯蓄が3億円ある。けれど、もう何年も入院していて、不安が続いている」
「貯蓄が3億円ある。けれど、人のためには1円も使いたくない」
これではどれほどお金があっても、「幸せ」を感じにくいでしょう。
“幸せの要素”すべてを満たす人はわずか7%
では、どのようなバランスが必要なのでしょうか?私たちが、「幸せ」を感じるときに重視する要素・項目は、収入、健康、人間関係など、さまざまです。
世界最大の世論調査会社「ギャラップ社」は、50年以上かけて世界150カ国を調査・分析した結果として、「幸福度を高めるために必要な5つの要素」を明らかにしています(参照:『幸福の習慣』トム・ラス/ジム・ハーター著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
【幸福を構成する5つの要素】
① 仕事の幸福
② 人間関係の幸福
③ 経済的な幸福(お金)
④ 身体的な幸福(健康)
⑤ 地域社会の幸福
ギャラップ社は、「どれかひとつの要素で高得点をとるのは比較的簡単で66%が実現。しかし、5つの要素すべてで高得点を獲得できる人は、わずか7%にすぎない」と分析しています。
この結果は、
「経済的な幸福で高得点が取れていても、他の要素での得点が低ければ、『幸せなお金持ち』にはなりにくい」
「あまりあるお金を持っていても、5つの要素がバランスよく整っていなければ、幸せを感じにくい」
ことを示唆しています。つまり幸せとは、こうした要素の「バランス」が整った状態のことを言うのです。
「幸せ」とは「バランス」のこと
ではなぜ、不幸せなお金持ちは、バランスを崩してしまうのでしょうか。
私が見てきた「不幸せなお金持ち」に共通していたのは、「お金を稼ぐ」、あるいは、「お金を使わない」ことへの執着心が強いことです。
たとえば、
「他人よりもお金をたくさん持っていれば、他人よりも幸せになれる」
「成功者とは、お金をたくさん持っている人のことである」
「お金をたくさん持っている人=正義、お金を持っていない人=悪」
と盲信し、お金を稼ぐことに躍起になる。
または、他人を押し退け、自分の利益だけを追い求めたり、お金があることをアピールして悦に入ったりする……。不幸せなお金持ちは、「バランスを整えるためにお金を使う」という発想に乏しい気がします。
ですが、仕事、人間関係、お金、健康、社会貢献のバランスが整っていないと、「幸せを感じる感性」は弱くなります。
「健康状態が良くない」「自分を認めてくれたり、気づかってくれたりする人がいない」「人とのつながりがなく、孤独である」「今の仕事が自分に合っていない」など、構成要素のバランスが崩れていれば、充足感、充実感、満足感が不足するのも当然です。
一方、「幸せなお金持ち」に共通しているのは、「お金を稼ぐ(貯める)」ことに執着しないことです。
「体力が衰えないように、今は健康に力を入れよう」
「新規事業をはじめたばかりだから、今は仕事に力を入れよう」
「部下の人数が増えたので、今は人間関係に力を入れよう」
といったように、自分のライフステージに合わせて、「今の自分に必要なこと」にお金を使ってバランスを整えています。
「幸せ=バランス」です。
「幸せなお金持ち」になる上で大切なのは、「お金を増やす」こと以上に、「バランスを整えるためにお金を使う」ことなのです。
-671x1024.jpg)