財産分与の「基準日」を知らないと大損する。離婚準備で順番を間違えると消えるお金
離婚の準備で多くの女性が最初に間違えるのは「何をするか」ではなく「何の順番で動くか」だ——弁護士法人かがりび綜合法律事務所の代表・野条健人弁護士はそう言う。
例えば財産分与には「基準日」がある。別居した日だ。その日より前に相手が資産を動かしていても、把握していなければ請求できない。離婚で損をしない女性になるために知っておくべき順番とお金の話を、野条弁護士に聞いた。全3回の第1回
みんかぶマガジン連載「絶対に損はしたくない!泥沼離婚のマネー戦略」
目次
別居前が唯一の「情報収集期間」。数千万円規模の取りこぼしを防げることも
Q:別居する前に資産を調べておかないと、何が起きるんですか?
「一度家を出てしまうと、相手の財産が何かを調査するのが難しくなる時があります。別居した日が財産分与の基準日になるので、それより前に相手がお金を動かしていると、もう取り戻せない。来る前から相手が何を持っているかを把握できているとより進みやすかったな、と感じることはよくありますね」
Q:自営業や経営者の夫だと、資産の把握はさらに難しくなりますか?
「そうですね。自営業の場合、税務署でさえ把握していないお金が存在することがあります。経営者であれば、資産が複数の口座や事業に分散しているケースも多い。ただ、それなりの仕事についている人はお金の管理もきっちりしてるんですよ。丁寧に調べていけば、意外なところから資産が出てくることも少なくありません」
別居した瞬間から財産分与の計算が始まる。逆に言えば、別居前が唯一の「情報収集期間」だ。退職金・生命保険の解約返戻金・社内預金・暗号資産など、現金以外の資産は意識しなければ見落とす。把握さえしていれば数千万円規模の取りこぼしを防ぐことができる。
「夫が隠している財産」を見つける意外な手がかり
Q:日常では気づきにくい資産はどう把握すればいいですか?
「社内預金や財形は給与明細がヒントになります。課税証明書を取ると生命保険料控除をしているかどうかが分かるので、どんな保険に入っているかが見えてくる。あと生命保険は保険会社からはがきが届くので、そこからわかることもある」
Q:取りこぼしやすい資産は?それを裁判所などを通して見つけることは可能ですか?
「目に見えないものが見落とされやすい。退職金、生命保険の解約返戻金、社内預金、財形貯蓄。それに最近では暗号資産やネット証券もあります。ネット証券はSBIか楽天がほとんどなので、どちらかやっているなら『調査嘱託』といって裁判官に開示を命じてもらうことができます。それで大きな資産が見つかることもあれば、全然入っていなかったということもありますね」
財産分与は原則2分の1だが、相手の財産を知らなければ請求できない。弁護士に事前相談すると「何を探すべきか」のチェックリストが手に入る。それを持った上で別居に踏み切るのと、手ぶらで家を出るのでは、最終的に手元に残るお金が大きく変わる。