不倫15回より「1回」の方が高額になる? 離婚慰謝料のリアルと、泣き寝入りしない証拠戦略
「慰謝料をたくさんもらえる」と思って離婚に踏み切った結果、手元に残ったのは想定を大きく下回る金額だった——そんなケースは珍しくない。
離婚で損をしない女性になるために、不倫慰謝料の金額は何で決まるのか。モラハラの証拠はどう積み上げるべきか、弁護士法人かがりび綜合法律事務所の代表・野条健人弁護士が、知っておくべき現実を率直に語る。全3回の第2回
みんかぶマガジン連載「絶対に損はしたくない!泥沼離婚のマネー戦略」
目次
不倫15回より1回の方が慰謝料が高くなることがある。その理由
Q:不倫慰謝料の金額はどのように決まるのですか?
「裁判所が一番見るのは、婚姻関係に与えた破壊の程度です。不倫の期間が長い、回数が多い、それが原因で婚姻が破綻したというケースが高くなりやすい。逆に、期間が短くて回数が少ない、発覚後も同居を続けているというケースは低くなる。数十万から100万円台で終わることが多いというのが正直なところです。昭和の方が高かった時代もあるんですよ。今は物価が上がってちょっと戻ってきていますけどね」
Q:ネットで500万円などの高額な慰謝料事例を見ることがありますが、実際はどういうケースですか?
「あれは相手側の事情で高くなるケースが多いです。例えば夫が不倫相手と結婚したくて、お花畑になって全財産を失ってでも一緒になりたいという時は、裁判所の認定とは関係なく向こうが払ってくることがある。それか、会社にバレたくない、ダブルインカムで資産を持っているという人が裁判で大ごとになるよりお金で終わらせようとなるケース。裁判所が高額を出したというより、相手の都合で高くなっているんですよ」
不倫の回数が多くても、発覚後に夫婦関係が続いていれば金額は上がりにくい。逆に1回の不倫でも婚姻破綻の直接原因になれば高くなる。裁判所は精神的苦痛の大きさではなく「婚姻関係への損害」という視点で判断している。
マッチングアプリで知り合った不倫相手に、慰謝料を請求できるのか
Q:不倫相手への慰謝料請求が難しくなるケースはありますか?
「まず身元が特定できないケース。例えば大阪市内に住んでいるとなんとなくわかっていても、どこの誰かがわからないと、連絡も書面の送付もできません。北新地の『みゆ』って名前の女性に請求したくても、その名前はいっぱいいますから。それから最近増えているのが、マッチングアプリで知り合ったケースです。相手が『既婚者とは知りませんでした』と言い出した場合、既婚と知りながら関係を持っていたことを証明できるかどうかが勝負になります」
Q:マッチングアプリだと、今後こういうケースはさらに増えそうですね。
「そうなんです。アプリのプロフィールに既婚と書いていないケースも多いので、知っていたに違いないというところまで証明できるかどうかはちょっと難しくなってくる。相手の身元の特定自体も難しい。だから配偶者への請求は全然できますけど、マッチングアプリで知り合ったその相手の方への請求は、戦い方がなかなかしんどくなってきますね」
慰謝料は「請求すれば必ずもらえる」ものではない。相手の特定、既婚と知っていたことの立証、婚姻破壊の程度の証明——これらが揃って初めて請求が成立する。感情が先走って証拠を揃える前に動いてしまうと、相手に逃げ道を与える結果になりかねない。