「女性であること」は壁にも武器になる。安保奈緒美氏が見た経営の現場と、伸びる女性リーダー需要
経営者・経営幹部向けにコーチングを行う株式会社エヌグランディール代表取締役の安保奈緒美氏。同社が手がける事業の中で、近年急速に依頼が増えているのが女性リーダー育成の分野だ。女性であることが仕事の現場で壁になった経験、そしてそれが今は武器になっているという実感を聞いた。全4回の第3回
みんかぶマガジン連載「バリキャリ女性社長のワークライフ・ルール」
目次
女性活躍を掲げる企業が、密かに抱えている悩み
エヌグランディールが手がけるコンサルティングは、組織づくりや人材育成が主軸だ。経営幹部や管理職向けの支援が中心だが、将来のリーダー候補となる20代の若手層を対象にしたケースも少なくない。その中で、最近特に依頼が増えているのが女性リーダーの育成だという。
「女性が経営者を務める企業からのご依頼もありますが、経営者が男性で、社内に女性リーダーがいらっしゃらないため、外部の私たちに頼ってくださるケースが、今増えてきているんです」と安保氏は話す。
社内に女性リーダーのロールモデルがいない企業ほど、外部のコーチングサービスを活用する傾向があるという。組織内でキャリアの相談先を見つけにくい女性層にとって、外部の専門家への需要が高まっている実態がうかがえる。
また、エヌグランディールが手がける支援対象は、年齢層の幅広さに加えて、女性ならではのキャリアの悩みに寄り添える点も、依頼が増えている要因の一つだとみられる。
「キャリアについては皆さん悩まれることが多いので、そういったセミナーなども行っています。組織開発や研修というと集団向けの一斉型プログラムを想像される方も多いんですが、私たちが行っているのはほぼ一対一の対話型組織開発、いわゆる1on1が中心です。それを外部の人間が担う形でサポートしています」
個別のキャリアの悩みに向き合う形式だからこそ、女性特有の事情にも踏み込んだ対話が可能になっている。
「女性であること」が不利になった過去と、「強みになった」今
安保氏自身、20代後半に人事コンサルティング会社で管理職向けの面談業務を担当していた経験がある。産業カウンセラーの資格を持って業務にあたっていたが、若い女性であることで不利な扱いを受けた場面があったという。
「若い女性が担当に来たというだけで軽く見られて、プライベートな質問をされるなど、嫌な思いをした経験があります。女性であることが専門性より先に扱われてしまう場面はありましたね」
一方で、現在の本業であるコーチングにおいては、女性であることがむしろ優位に働く場面が多いと安保氏は語る。
「コーチングでは柔らかさや共感力が求められます。男性が男性に話すよりも、女性の方が抵抗感なく自分の弱みをさらけ出せると言っていただけることも多いんです。40代を超えてからは、女性であることを武器だとしか思っていません」
共感力や対話力、人の感情を丁寧に扱う力は、コーチングという業務において直接的な強みになる。同じ女性であるという属性が、業務の文脈によって壁にも武器にもなるという実感を、安保氏は率直に語った。