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「高齢者の医療費は高齢者が負担すべきか」石破首相に直撃「国民の反発はあるだろうが…」

 令和7年(2025年)1月8日、NHK「首相動静」の表記によれば、<16:29 ネットメディア「みんかぶマガジン」のインタビュー(~17:02)>に、石破茂首相へのインタビューを行った。インタビューは、SNS規制、地方創生、減税、経済政策など国政の主要課題について行われた。なお、掲載にあたって読みやすや話題のまとまりを重視して、順序を入れ替えた部分がある。今回は「社会保障」「医療費負担の行方」について。(聞き手は、鈴木聖也みんかぶ編集長、小倉健一)全5回の第4回。

目次

社会保障と経済成長の関係

 年金や介護、医療などの社会保障は、人々の生活を守る仕組みとして重要とされてきた。この社会保障には、経済を支える役割もあると考えられている。他方、社会保障が経済に与える影響は、極めてネガティブだ。

 多くの実証データや研究では、社会保障が増えると経済成長がマイナスの影響を受けると結論づけている。日本銀行の研究(古川尚史・高川泉・植村修一、2000年、「国民負担率と経済成長」『日本銀行調査統計局Working Paper Series』)では、社会保障の規模を表す国民負担率が高くなると、経済成長率や貯蓄率、資本の蓄えにも悪い影響が見られると指摘する。このように、社会保障の規模と経済の関係については、慎重な議論が必要だ。

デジタル化を推進すれば医療コストは抑えられる

――医療や福祉の分野でも無駄が議論されることが多い。例えば、医療費や薬剤費の削減についてどう考えるか。デジタル技術やAIを活用すると無駄が減ると?

石破茂総理大臣

 医療費を最適化していけるのではないか。例えば、現在の医療現場では、患者が複数の医療機関を受診するたびに初診扱いとなり、その都度検査が行われている。このような重複検査は時間と費用の無駄につながっている。もし過去の検査データが一元管理され、他の医療機関でも共有可能であれば、同じ検査を何度も受ける必要はなくなる。これにより、検査費用を削減することができるはずだ。

 また、薬の処方に関しても同様だ。お薬手帳のデジタル化が進めば、患者がどの医療機関でどの薬を処方されたかが簡単に確認できるようになる。これによって、過剰な薬の処方を防ぎ、必要な量だけを適切に提供することが可能になる。複数の病院で処方された薬を全て服用した結果、患者の健康に悪影響が及ぶ事例も現状では珍しくない。こうした問題を未然に防ぐことができれば、医療の質を高めながら費用を抑制することができる。

 医療費が適切に管理され、無駄が削減されれば、結果として社会保険料の上昇を抑える効果が期待できる。例えば、過剰に処方される薬が減れば、それだけ薬剤費が削減される。検査の重複がなくなれば、医療機関での診療コストも抑えられる。これらが積み重なれば、医療全体にかかるコストが軽減され、それが社会保険料の負担軽減にもつながる。

コスト削減されても、デジタル活用で医療の質は向上する

石破茂総理大臣

 医療費の増大は国民全体の負担に直結する課題だが、単に予算を削減するという考え方だけでは解決できない。むしろ、デジタル技術やAIを活用し、必要な医療を必要な人に適切な形で提供する仕組みを構築することが重要だと思う。この仕組みが整えば、社会保険料の上昇を抑えるだけでなく、医療サービスそのものの質を向上させることも可能になる。

 デジタル技術やAIの活用は単なるコスト削減の手段ではない。むしろ、医療サービスの質を高め、国民がより安心して医療を受けられる環境を作ることが目的だ。例えば、どの病院に行っても過去の診療記録や検査結果が共有されていれば、患者は無駄な時間を取られることなく、よりスムーズに治療を受けることができる。

 最適化された医療制度が実現すれば、国民一人ひとりが適切な医療を受ける機会が増えるだけでなく、社会全体としての医療費負担も軽減される。これにより、社会保険料の増加を抑えつつ、国民の満足度向上にもつながると確信している。

負担能力が高い人には相応の貢献をお願いするかもしれない

――医療費削減や社会保障の議論において、医療水準を維持したいのは理解したが、負担のあり方についてはどうお考えですか。

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