この記事はみんかぶプレミアム会員限定です

2024年度下期に供給された首都圏マンションの2割から4割が外国人による購入である事実…牧野知弘「外国人の不動産購入に規制をかけても、不動産価格高騰は止まらない」

 都心マンション価格の高騰が続いているが、その主たる役割を担っているのが外国人不動産投資家の存在だ。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は「外国人の不動産購入に規制をかけても、不動産価格高騰は止まらない」と指摘するーー。

 みんかぶプレミアム連載「牧野知弘 不動産を斬る!」

目次

2024年度下期に供給された首都圏マンションの2割から4割が外国人による購入…普通の日本人はもう買えない

 最近、マンションをはじめとした不動産価格の高騰で一般市民が家を買えないということが問題視されるようになっています。先の参議院議員選挙でも、各党が掲げる政策にこの不動産高騰問題が取り上げられるようになりました。

 論点は外国人が円安を背景に日本の不動産を爆買いするために、日本人が割を食っているというものです。東京都区内で販売される新築マンション価格はすでに1億円の大台を超え、中古マンションでも1億円を超える状況に、悲鳴を上げる人たちが増えているのです。

三菱UFJ信託銀行の調査によれば、2024年度下期に供給された首都圏マンションの2割から4割が外国人による購入であると発表されています。つまり良いマンションが供給されても外国人が買ってしまうので、価格が上がる。日本人が家を買えないのは外国人のせいだということです。

日本の不動産がアジア諸国の外国人富裕層に人気な理由

 日本の不動産マーケットは世界的にみても非常に自由なマーケットです。不動産所有権は日本人と全く同様に保障され、私権が固く守られています。では日本人が海外不動産を所有しようと思っても、日本のように完全にフリーな国は少ないのです。たとえば東南アジア各国で不動産投資を行うにあたっても、土地が所有できない(借地権、賃借権のみ)、コンドミニアムのみ買える、地元資本が過半ないと買えない、など様々な規制があります。シンガポールのように外国人が不動産を買う際には、高額の印紙税を徴求する国もあります。

 自国の不動産を持つことにリスクを感じる外国人もあり、完全に守られ地理的にも近い日本の不動産は特にアジア諸国の人たちに人気なのです。

外国人の不動産購入に制限をかける「相互主義」

 日本も外国と同じように外国人による不動産購入に一定の制限を設けてもよいのではないかという論点のひとつにこの相互主義(互いに相手国と同様の扱いにする)の発想があります。

 国防、安保上の理由もあります。昨今問題視されているのが、国内の自衛隊基地、原子力発電所、水源地の周辺などが中国人に買われているということに対する危機感です。こうした声を受けて国では2022年に重要土地等規制法を施行し、自衛隊基地などの周辺土地に対する国の調査権を設定しましたが、あくまでも事前審査や調査ができるものであって直接購入を禁じるものではありません。

外国人による不動産購入に制限をかけられない大きな理由

今すぐ無料トライアルで続きを読もう
著名な投資家・経営者の独占インタビュー・寄稿が多数
マネーだけでなく介護・教育・不動産など厳選記事が全て読み放題

    この記事はいかがでしたか?
    感想を一言!

みんかぶnote
この記事の著者
牧野知弘

不動産事業プロデューサー。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て三井不動産勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て、2015年にオラガ総研株式会社の代表取締役に就任。ホテルなどの不動産事業プロデュースを展開している。著書に『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)など多数。

マネーカテゴリーの最新記事

その他金融商品・関連サイト

ご注意

【ご注意】『みんかぶ』における「買い」「売り」の情報はあくまでも投稿者の個人的見解によるものであり、情報の真偽、株式の評価に関する正確性・信頼性等については一切保証されておりません。 また、東京証券取引所、名古屋証券取引所、China Investment Information Services、NASDAQ OMX、CME Group Inc.、東京商品取引所、堂島取引所、 S&P Global、S&P Dow Jones Indices、Hang Seng Indexes、bitFlyer 、NTTデータエービック、ICE Data Services等から情報の提供を受けています。 日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。 『みんかぶ』に掲載されている情報は、投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的とするものであり、投資の勧誘を目的とするものではありません。 これらの情報には将来的な業績や出来事に関する予想が含まれていることがありますが、それらの記述はあくまで予想であり、その内容の正確性、信頼性等を保証するものではありません。 これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、投稿者及び情報提供者は一切の責任を負いません。 投資に関するすべての決定は、利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。 個別の投稿が金融商品取引法等に違反しているとご判断される場合には「証券取引等監視委員会への情報提供」から、同委員会へ情報の提供を行ってください。 また、『みんかぶ』において公開されている情報につきましては、営業に利用することはもちろん、第三者へ提供する目的で情報を転用、複製、販売、加工、再利用及び再配信することを固く禁じます。

みんなの売買予想、予想株価がわかる資産形成のための情報メディアです。株価・チャート・ニュース・株主優待・IPO情報等の企業情報に加えSNS機能も提供しています。『証券アナリストの予想』『株価診断』『個人投資家の売買予想』これらを総合的に算出した目標株価を掲載。SNS機能では『ブログ』や『掲示板』で個人投資家同士の意見交換や情報収集をしてみるのもオススメです!

関連リンク
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.