あなたの人生を劇的に変える「コミュニティ」……常識を捨て、起業よりも先にコミュニティをつくれ

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 10代で起業し、現在は実業家、投資家、映画プロデューサーなど多様な顔を持つ嶋村吉洋氏。多数のビジネスを成功させ、所有株式の評価額は実に数百億円を越える嶋村氏だが、その成功の秘訣として「コミュニティ」の存在を挙げる。なぜいま、個人でも会社でもない「コミュニティ」が重要なのか、嶋村氏が解説する。全3回中の1回目。

※本稿は嶋村吉洋著『人生100年時代を生き抜くための億万長者のコミュニティ資本論』(プレジデント社)から抜粋、再構成したものです。

第2回:飲み会がビジネスにつながる!「1つ1万円のお菓子」でもコミュニティビジネスなら売れてしまう理由

第3回:「集まって楽しい」の一歩先へ……コミュニティが売上を生み出していくための3つのステップ

目次

私のコミュニティから脱サラ者が続出する理由

 会社組織にいるにせよ、あるいはコミュニティを活用して生きるにせよ、いずれの場合でも「幸せなお金持ち」になるために必要なのは、人生を通じて、以下の3つの資本をバランスよく築いていくことだと思います。

・社会資本(ソーシャル・キャピタル)……信頼できる人間関係やネットワーク
・人的資本(ヒューマン・キャピタル)……自分で働いて稼ぐ力
・金融資本(ファイナンシャル・キャピタル)……お金や資産

 私のコミュニティに参加している人々は、基本的にこの3つの資本を意識しながら人生を設計しています。

 人は環境の生き物である、とよく言われます。「どんなコミュニティに属するか」、あるいは「どんなコミュニティを自分で築くか」が、あなたの人生を大きく左右するでしょう。

 たとえば、私のコミュニティでは、初めは従業員として参加した人でも、当たり前のように脱サラするケースが多いです。

 これは、私のコミュニティに属しながら3つの資本を本気で得ようとすると、「従業員のままでは限界が見えてくる」という現実に直面するからかもしれません。しかし、何よりも私のコミュニティに属することによって、「当たり前」や「常識」が変化したことが大きいと思います。

草野球では「大谷翔平」になれない

 繰り返しますが、人は環境の生き物です。環境の生き物だから、自分の求めている目的・目標・ライフスタイルに合ったコミュニティを選ぶことが大切です。

 コミュニティのメンバーによく話すことですが、従業員をしながら草野球を続けていて、「気がついたら大谷翔平になっていた」ということは絶対にありません。

 本気で一流を目指すなら、最初からその道を、その環境を選ぶ必要があります。私は、現在のようなコミュニティをつくり上げるまで、いろいろな仕事をしてきました。

 たとえば、関西でトラック運転手をしていた時期もあります。その際、同業者からは「もっと大きなトラックで長距離を走れば、もっと稼げるよ」とよくアドバイスを受けました。 

 そのアドバイスはとてもありがたかったのですが、私はその道を選びませんでした。なぜなら、長距離運送を始めてしまうと、真の目的であるコミュニティをつくる活動に割ける時間がほとんどなくなってしまうからです。

 当時、駆け出しだった頃の私のコミュニティはまだまだ小さく、そこから収入を得られる状況ではありませんでしたが、それでも自分の本業はコミュニティづくりにあると考えていました。

 世の中には本当に多くのコミュニティや組織があり、そこで生まれる人間関係や「当たり前」が、知らないうちに自分の人生を形づくっていることがあるように思います。逆に言うと、属しているコミュニティの影響で「気がついたら望まない人生を選んでいた」という人を、これまでに何人も見てきました。

 だからこそ、コミュニティを選ぶ前に「自分がどんな人生をつくり上げたいのか」について、真剣に考えてみることが大切なのではないでしょうか。

起業より先に「コミュニティづくり」をすべき

 私のこれまでの人生は、まさにコミュニティづくりを中心に組み立てられています。以前、あるメディアのインタビューで「嶋村さんの趣味を教えていただけますか?」と聞かれたことがあります。

 お金持ちならきっと何か驚くような趣味を持っているのではないか、という意図を感じる質問でしたが、私は「趣味も仕事も遊びも、すべてコミュニティづくりですよ」と答えました。

 私がコミュニティづくりを「サイコー!」だと思うようになったきっかけと、コミュニティづくりの価値についてお伝えします。

「なぜコミュニティを先につくったほうがいいのですか?」とよく聞かれますが、私はシンプルに「泥縄にならないためです」と答えます。

 泥縄とは、何かトラブルが起きてから慌てて対策を立てることを揶揄する言葉です。私自身には他人を揶揄する意図はまったくありませんが、物事には正しい順番があるものだと考えています。

 非常に下品なたとえで恐縮ですが、トイレに行った際、
 「パンツを下ろす」→「用を足す」
 という順番であれば問題ありません。

 しかし、
 「用を足す」→「パンツを下ろす」
 という誤った順番では“非常事態”を引き起こしてしまいます。

 通常は、「起業する」→「コミュニティをつくる」というのが一般的です。しかし、私はこれを逆にするのがよいのではと考えました。

 起業してからコミュニティづくりを始めると、資金・メンタル・人材・体力などのあらゆる面で非常に苦しくなるからです。先に自分や自社のコミュニティづくりをしてから起業すれば、この苦しさの多くを回避できるはずです。

 これは起業だけでなく、他の分野でも同じことが言えるでしょう。

コロナ禍で繁盛した「私たちのパーラー」

 毎年、私は沖縄のある島で仕事をしています。以前、その島のビーチの目の前には小さな丘の上にパーラーがありました。

 そこを運営していたのが、Mさんという謎のおじさんでした。そのパーラーには面白い人たちが集まり、目の前の海で獲った魚などを食べたり、お酒を飲んだりしながら、楽しい時間をすごしていました。

 彼らと仲良くなった私は、このパーラーに漂う不思議な文化に気づきました。店主のMさんが海にタコを獲りに行って不在のときや、Mさんがお店の中で爆睡しているときも、お客さんたちが勝手にキッチンに行って自分で料理をつくり、食べたり、冷蔵庫から勝手にお酒を出して飲んだりしていました。

 自分で食材を持ってきて調理し、なぜか代金を払って帰るのです。さらに、お客さん自身が飲食代金を計算し、レジを開けて代金を払い、お釣りも自分で取っていたのです。

 このように盗み放題にもかかわらず、誰も何も盗りませんでした。お客さんが自主的にスタッフとして掃除や料理をし、さらにはお店の売上をアップさせるための戦略会議まで開いていたのです。

 そして、彼らは報酬をもらうどころか、自分の飲食の代金を支払って帰っていたのです。

 このパーラーは、「お店(Mさん)」と「お客さん」という関係ではなく、「私たちのパーラー」「私たちのコミュニティ」だったのです。

 私はこれが非常に強固なコミュニティだと感じました。このパーラーがなくなっても困らない人は多いと思いますが、「私たちのパーラー」がなくなるとコミュニティのメンバーは非常に困るのです。

 数年前のコロナのとき、Mさんのお店は逆に繁盛しました。コミュニティメンバーが、 「俺たちのパーラーを潰してはならない!」「私たちのコミュニティを逆に大きくしてやる!」「今こそ私たちのパーラーを皆に教えてあげないと!」と殺到したからです。

 1秒でも早く、1円でも安く、お客様は神様であると信じ、苦労に苦労を重ねてきたにもかかわらず、非常事態宣言が出たとたんにお客様からそっぽを向かれた経営者の中には、この話が信じられないと思う人がいるかもしれません。

 実際、私は経営者から悩みや愚痴の相談を受けることもあります。そんなとき、私は「コミュニティを先につくったらどうですか」とアドバイスします。人生を劇的に変える可能性があるのが、このコミュニティづくりなのです。

 今回の記事では、コミュニティが持つ力について紹介した。ただし、一口に「コミュニティ」と言っても、一体どのような人が集まり、何をしているのか。次回の記事では、嶋村氏が展開するコミュニティに集う人々の特性や、場の進め方について紹介する。

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この記事の著者
嶋村吉洋

10代で起業し、実業や不動産、映画ビジネスなど、ビジネス領域は多岐にわたる。 現在は投資家として、サイバーエージェント、朝日放送など数社の大株主であり、テレビ東京、オリコンの個人筆頭株主でもある。 保有している株式の評価額は数百億円に達する。 エグゼクティブプロデューサーを担当した映画3作品が国際映画祭で受賞。 最新作は、Netflixで6カ国の1位・2位、アメリカの配信で初登場1位にランクイン。

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