トレンドはどこ向いている? ベテラン中長期投資家が「攻める銘柄」と「温めておく銘柄」を切り分けるワケ
神戸を拠点に個人投資家向けの勉強会を主催し、現物中心の中長期投資を続けてきたキリン氏。投資歴は約11年、年間ベースでのマイナスは2018年が最後という安定した戦績を持っています。
もともとは小型グロース株を愛してやまない逆張りの投資家でしたが、半導体・AIが相場を牽引する今年は、その型を大きく崩さざるを得なくなっていると言います。
指数に置いていかれる焦り、グロース投資家がインフレ相場でどう生き残るのかなどを語っていただきました。インタビュー連載全2回の第1回。
目次
グロース相場の終焉?「もう諦めました」
ーー5月末時点でプラス17%とのことですが、ご自身では満足のいく数字ですか?
今年の相場を考えたら、そんなに勝ててはいないです。減ってはいないので最低限としてはOKですが、日経平均はついに7万円を超え、年初来騰落率41%(6月19日終値)まで上がっているので、指数と比べるとつらくなる日々です。
相場と向き合う中で、簡単だと思ったことはこれまで一度もなく、やはり今年も難しいと思っています。
ーー年末に「今年はいけたな」と振り返ることはありますか?
ありません。これは自分だけではないと思いますが、成績が良かった時のことはすぐ忘れてしまうんです。年間通してマイナスになったのは2018年が最後なので、そこから先はなんとかプラスで終えられてはいますが、終わったらすぐ次のことが気になってしまいます。
ーー投資歴が長い人ほど、相場の恐ろしさも知っていて、大きくプラスになっても浮かれませんよね。
歴が長くなって資産が増えてくると、(多くの場合)必然的に分散することになるので、短期のパフォーマンスをパーセンテージで見ると、むしろ歴の浅い人のほうが大きく増えるのは一般的によくあることかなと思います。だからこそ、SNSで「これだけ儲かった」と言いがちなのも微笑ましいです。自分にもそういう時代がありましたから。7、8年前はツイッター(現在はX)で「プラス何%」とよくやっていました。投資歴11年くらいになりますし、自分のパフォーマンスなんて自分以外の誰も興味ないのでもうやっていません。
今はルールを変えるとき?
ーー損切りの条件をあらためて教えてください。
少し前までは、終値を見て保有銘柄を一覧で確認して、含み損になったものは翌朝に売ってしまうというのを基本にしていました。今も大きくは変えていないつもりなんですが、これを徹底しすぎると、ボラティリティが激しい相場だと、買ってすぐ損切り、しかもすぐにリバウンドということが起きてしまうんです。そのため、多少傷口を広げるかもしれないと認識しつつ、前のように損切りルールを徹底しすぎないようにしようと考え、基準は少し緩くなっていますね。
ーー銘柄はそんなに頻繁に入れ替えるわけではないということでしょうか。
激しく入れ替えてはいないので、損切りの判断を毎日迫られるわけではありません。そのうえで、ボラティリティの激しい相場では「買ってすぐ損切り、しかもすぐリバウンド」というのがいちばんもったいないと思っています。これは、自分は万人におすすめしているわけではなく、もちろんスタンスや資産によって違うと思いますので、リスク許容度の許す範囲で、損切りルールを設定するのが一番良いと思います。
ーー今の相場は、1日で3000円下げても、その週のうちに戻ってくることが多いですよね。
毎回怖いですよね。ただ、基本的に現物しかやっていないので、暴落がきたら対応するというスタンスでいます。証券口座に入れているお金の9割くらいは株にしていますが、それは前から変えておらず、暴落前に持ち株を減らすことは今のところしないつもりです。
グロース株投資家には厳しい相場?
ーー日経平均株価が上がっても、グロース株を持っている人の中には「自分のポートフォリオの成績は上がらない」と嘆く人も少なくありません。キリンさんはいかがですか?
これまでの取材でも申し上げてきた通り、私のポートフォリオはグロース株中心でした。
しかし、ここまでくるとさすがに諦めもついてきて銘柄をかなり絞りました。グロース株がゼロというわけではありませんが、トータルの割合でも小型グロースは大きく減らしましたね。「小型グロース」という言葉を聞く機会がかなり少なくなった印象です。ただ、相場の流れはいつ変わるかわかりませんので、銘柄の情報に網をはって、蓄積しておくことを継続しておき、変化に即応できるようにはしたいと思っています。