「AIなら買い、宇宙なら買い」はもう通用しない…日経平均10万円シナリオの裏でプロが待つ“次にお金が落ちる場所”
本稿で紹介している個別銘柄:スペースX(SPCX)、三菱電機(6503)、三菱重工業(7011)、IHI(7013)、スカパーJSATホールディングス(9412)、村田製作所(6981)、太陽誘電(6976)
長引く地政学リスクと円安、さらに生活を圧迫する歯止めの効かない物価高。こうした強烈な逆風が吹き荒れる中、高市早苗内閣は新たに「日本成長戦略」を発表した。責任ある積極財政と合わせた施策を打ち出し、日本経済の再興を目指す強い構えを見せている。
日経平均株価が歴史的な乱高下を繰り返す中、この複雑なマクロ環境や成長戦略を背に、私たちはどこに「夏の狙い目」を定めるべきなのだろうか。
投資家・トレーダーとして相場の最前線に立つ窪田剛氏に、これからの市場展望と実践的な戦略を伺った。
みんかぶプレミアム特集「激動相場 この夏の狙い目」第4回。
(2026年6月8日取材)
目次
10万円相場の前に待つ“大きな調整”の正体
ーー日経平均は1年で倍近く上昇しました。成長戦略の追い風もあり、このまま年末10万円へ到達すると強気に見てもよいでしょうか。
基本的には上方向だと見ていますが、これまでと同じスピードで上がり続けると楽観視しない方がいいですね。
ちょうど2025年の夏頃、日経平均は3万円台でした。そこから2026年6月にかけて、およそ1年で倍近くまで上昇しています。
半年間で50%上昇したこれまでのペースが年末まで続けば、計算上は約10万円近辺まで到達することになります。さらに同じペースが来年まで続けば、それ以上の数字を目指す形になります。
とはいえ、そこまで一直線に進む相場は現実的ではありません。
もちろん、アメリカの景気が堅調に推移し、インフレを上手く抑え込みながらAI投資が加速する。
そこに日本国内での積極財政など、さまざまな歯車が完璧に噛み合えば、加速度的に大きく伸びる確率も1〜2割ほどあると私は考えています。
ただ、私自身のメインシナリオとしては、緩やかに上を目指す確率が4割程度。逆に大きく下落して、半年後や1年後に5万円を割るような確率も1〜2割ほどあると見ています。
上昇するにしても、どこかで必ず調整を挟むはずです。右肩上がりのペースは変わってくる前提で、紆余曲折を経ながらの緩やかな上昇を想定しておくのが妥当でしょう。
「宇宙だから買い」は終了。明暗を分ける“たった一つ”の基準
ーー半導体ブームに乗れなかった投資家も多いです。夏以降、成長戦略も踏まえて次に資金が向かうテーマはどこだとお考えですか。
夏から秋にかけて見ておくべき大きなテーマは、「AI」と「宇宙」の2つに尽きると考えています。
なかでも宇宙関連は、スペースX(SPCX)の上場(IPO)が大きな契機になってくる可能性があります。日本の株式市場でも、政府の後押しや成長戦略の一環として、防衛や宇宙の分野に資金が集まりやすくなるでしょう。
一時的なブームではなく、夏から年末、2027年にかけて中長期で見ておきたいテーマです。ただし、宇宙関連銘柄なら何でも上がるわけではありません。
ーー宇宙ビジネスは夢がありますが、赤字企業も多い印象です。銘柄選びで明暗が分かれる具体的な基準はどこにありますか。
一つの大きな基準になるのが、「営業キャッシュフローがプラスかどうか」です。
例えば、三菱電機(6503)や三菱重工業(7011)、IHI(7013)、スカパーJSATホールディングス(9412)などは、宇宙以外にも安定した収益源となる事業を抱えています。
足元の業績が底堅いうえ、宇宙関連への注目が高まれば、株価がさらに上昇する余地もあるでしょう。
一方、宇宙ビジネスに事業を絞り、現在は赤字でありながら、将来性を評価されて買われている新興企業もあります。
こうした国内の新興企業が大きく成長するには、政府の補助金や政策面での後押しが重要な推進力になってきます。
今後は、安定感のある大型株に資金が向かうのか、それとも将来性を期待された赤字企業に集まるのか。宇宙関連株の選別が、これから本格化していくはずです。
「宇宙関連だから」という理由だけで闇雲に手を出すべきではありません。実際に市場の資金が入り、株価が動き始めたことを確認してから乗るくらいの慎重な姿勢が必要だと思います。